天災のあとは、奇跡の復興
天災「終焉の暴風雨」を退けたものの、街の被害は甚大だった。特に冒険者ギルドの本部は半壊し、多くの家屋が倒壊の危機に瀕している。
「これだけの建物を元通りにするには、国の腕利き建築士を総動員しても数ヶ月はかかるぞ……」
ギルドマスターが頭を抱える中、クロノは瓦礫の前に立ち、その瞳を青く輝かせた。
「いえ、僕の『完全看破』があれば、数日……いや、今日中にでもいけます。みなさん、材料の調達と人手をお願いできますか?」
クロノの中で、新たな職業「神聖建築家」の才能が完全に覚醒した瞬間だった。
「看破」が導く完璧なる設計図
クロノの脳内には、崩れた建物の「構造的欠陥」「地盤の歪み」「もっとも頑丈に組み上がる木材の噛み合わせ」がすべて立体的な3Dモデルとして浮かび上がっていた。
「ガイルさん! その大剣で、あそこにある特大の硬質木材を縦に4等分、長さ10メートルジャストで切り出してください! 1ミリのズレもなしで!」
「おう、任せろ! 今の俺の剣なら、大工仕事もお手の物だ!」
ガイルの神速の斬撃が、寸分の狂いもない最高級の支柱を生み出していく。
「ルナ! 基礎となる土台に、僕が指定する術式で『重力軽減』と『硬化』の魔法を付与して。魔力の配置はここ、ここ、そしてここ!」
「合点承知! クロノの指定通りに魔力を流せば……わっ、コンクリート並みの強度の石畳が、一瞬で組み上がっていくわ!」
ルナの精密な魔法コントロールが、天災にも耐えうる最強の土台を作り上げる。
「ジードさんは、高所での組み立てをお願いします。僕が指示する順番通りに、支柱の凸凹を噛み合わせていってください」
「へえ、釘を一本も使わない古代の組木工法か。俺の身軽さなら、足場がなくても余裕さ」
ジードが風のように建築現場を駆け巡り、信じられないスピードで骨組みが立ち上がっていく。
一日で完成した「難攻不落のギルド」
クロノ自身は、現場全体のタクトを振りながら、自らもハンマーを握って要所を叩いていく。
彼の「看破」は、素材の強度が最大化する「黄金比」を見抜いているため、彼がちょっと手を加えるだけで、ただの木と石の建物が、まるで聖遺物のような輝きを放ち始める。
――そして、夕暮れ時。
そこには、以前のギルド本部を遥かに凌駕する、美しくも荘厳な「難攻不落の要塞ギルド」がそびえ立っていた。
「な、なんだこれは……。美しさもさることながら、防御結界の術式が建物の構造そのものに組み込まれている……。これなら、さっきの天災がもう一度来ても無傷だぞ!?」
ギルドマスターは腰を抜かし、集まった職人たちも「伝説の建築神の再来だ」と涙を流してひざまずいた。
「ふぅ、なんとかなりましたね」
汗を拭うクロノに、ガイルが呆れたように笑いかける。
「おいおい、お前は剣を握れば最強、魔法を操れば至高、今度は街一つを一日で作る建築家かよ。次は何の職業に目覚めるつもりだ?」
「さあ、何でしょうね。でも、みんなの技術と僕の『看破』があれば、どんな仕事でも世界一になれる気がします」
万能の主人公クロノと、彼を信頼するエキスパートたち。彼らの「ものづくり」の噂は、瞬く間に隣国、そして王都へと広がっていくのだった。




