神聖領域のバグ
黄金の光に包まれ、クロノたちが辿り着いたのは、大理石の宮殿と美しい雲海が広がる「天界の最上階層」だった。しかし、その美しさとは裏腹に、天界のあちこちの空間がデジタルノイズのように激しく明滅している。
「これは……世界の管理システムそのものが、限界を迎えて崩壊しかけているのね」
ルナが周囲の異常な魔力の乱れを察知して顔をしかめる。
中心部に鎮座する巨大な神の演算機「エデン」の前で、最高位の天使たちが絶望に暮れていた。彼らがどれだけ聖なる祈りを捧げても、システムに発生した致命的なエラーを修復することができないのだ。
「よくぞ来てくれた、異界の賢者よ。このままでは天界だけでなく、地獄も、あなたたちのいた地上もすべて消滅してしまう……!」
天使たちが縋るような目を向ける中、クロノは静かに歩みを進め、演算機エデンへと手をかざした。彼の「完全看破」の瞳が、全世界の運命を握る膨大なコードを読み解いていく。
「原因は分かりました。天界、地上、地獄――三つの世界のバランスをとるための数式が、長年の運用で肥大化し、互いを『敵』と誤認して排斥し合っている(バグを起こしている)んです」
クロノは不敵に微笑み、手にした純白の杖を高く掲げた。
「皆さん、これが泣いても笑っても最後の『盤面』です。【神への誘い手】の全能力を解放します。世界を正しいルートへ案内しましょう!」




