初めての仲間
面接会場での一件は、またたく間にギルド中に広まり、クロノのもとには我こそはと腕に覚えのある「本物のエキスパート」たちが集まってきた。
最初に現れたのは、誇り高き「剣聖」の異名を持つ男、ガイルだった。
「おい、知識だけで俺たちの領域に並んだという小僧はどいつだ!」
凄まじい威圧感とともに現れたガイルに対し、クロノは平然と「完全看破」を発動する。
「ガイルさん、右膝の古傷をかばって、わずかに左重心になっていますね。あと、その大剣の重心は柄から3センチ上です。そこを意識して振れば、あと2割は威力が上がりますよ」
「……なっ!?」
ガイルは絶句した。数十年誰にも見抜けなかった古傷と、愛剣のほんのわずかな違和感を一瞬で見抜かれたからだ。実際にその通りに大剣を構え直すと、驚くほど身体が軽く感じられた。
「ハハハ! 傑作だ! 俺が一生かけて到達した境地を、君は一瞬で超えてみせるのか。気に入った、俺の剣はお前のために振るおう!」
次にやってきたのは、若き「至高の魔導士」と呼ばれる少女、ルナ。
「あなたの『看破』、私の理論とどちらが上か勝負しなさい!」
彼女が放った最高位の爆発魔法。しかしクロノは、その魔法が完成する前に、魔力の流れの「結び目」を指先でトントンと叩いた。それだけで、大魔法は煙のように消えてしまう。
「魔法っていうのは、数式と同じです。ここが不完全だから、全体のバランスが崩れるんですよ。ほら、ここをこう修正すれば、消費魔力は半分になります」
「――え? うそ、本当に半分で同じ威力が……!? わたしの研究は何だったのよ……でも、すごい! あなたの隣にいれば、私はもっと真理に近づける!」
ルナの瞳は、悔しさから一転してキラキラと輝き始めた。
最後に現れたのは、世界中を旅する「伝説のスカウト(斥候)」、ジード。
彼はクロノの後ろに足音もなく忍び寄り、首元に短剣を突きつけようとした――が、すでにそこにはクロノの剣が置かれていた。
「気配を完全に消しても、空気の『密度』が変わるから分かりますよ、ジードさん」
「……参ったね。俺の隠密を見破ったのは君が初めてだ。どうやら俺の技術も、君にとってはただの『正解のルート』の一つに過ぎないわけだ」
ジードは降参とばかりに両手を挙げ、ニヤリと笑った。
「だけどさ、一人で何でもできる君でも、背中を任せる仲間は必要だろ?」
「ええ、もちろんです。皆さんのようなプロフェッショナルがいてくれれば、僕も『看破』の力を100%活かせますから」
クロノが手を差し伸べると、剣聖、魔導士、斥候の3人は顔を見合わせ、力強くその手を握り返した。
最強の万能主人公と、それぞれの道を極めた超一流のエキスパートたち。常識破りの最強パーティーが、ここに結成された。




