神話の終わり、そして
胸元を貫かれた神ゼノスは、信じられないというように自身の傷口を見つめ、それから静かにクロノたちを見据えた。
「よもや、人間の紡ぐ戦術が我が理を上回るとはな……。認めよう、お前たちは世界に仇なすバグではない。次なる時代を切り拓く、真の『正解』だ」
神の身体が、まばゆい光の粒子となって大地下迷宮の空間へと溶けていく。同時に、敵対国家の残党が遺した呪わしい術式も完全に浄化され、歪んでいた空間の法則が元通りに修復されていった。
静寂が戻った神殿の奥で、ガイルが大剣を回収し、ふうと深く息を吐く。
「おいおい……マジで神様を退けちまったよ。さすがの俺も、生きた心地がしなかったぜ」
「本当よ。でも、クロノの指示通りに動いたら、まるで最初から勝つことが決まっていたみたいに身体が動いたわ」
ルナが感嘆の声を漏らし、ジードも影から姿を現して肩をすくめる。
「神様の攻撃パターンをチェス盤みたいに読み切るなんて、相変わらずとんでもない執政官様だね」
「皆さんのおかげです。どんなに正しいルートが見えても、それを完璧に実行できる皆さんの技術がなければ、神様には届きませんでしたから」
クロノはそう言って、いつものように控えめに笑った。
固有スキル『森羅万象・完全看破』を手に、剣士から始まり、あらゆる職業の真髄を極め、ついには神の領域すらも看破してみせた少年。彼と、彼を支える最強のエキスパートたちの伝説は、これからも世界の歴史に刻まれ続けていくのだった。




