万能のその先へ
王都を揺るがした数々の試練が去り、崩れかけた演習場には再び穏やかな光が差し込んでいた。
命を賭した呪いすらも「大地のエネルギー」で等価交換の式を書き換え、誰も傷つけることなく解決してみせたクロノ。そのあまりにも神懸かった所業を目の当たりにした周囲の魔導士や兵士たちは、圧倒的な畏怖と感謝から、思わず祈るように両手を合わせた。
「神よ……我が国を、我々を救い給え……」
呆然と呟く人々の視線の先で、クロノはいつも通りの様子でロングソードを鞘に収め、小さく苦笑した。
「神様に祈らなくても大丈夫ですよ。僕たちがここにいますから」
その言葉に、ガイルが豪快に笑いながらクロノの肩を叩く。
「ハハハ! そうだな! どんな天災が来ようが、どんな呪いが襲ってこようが、お前が導く『正解』と、俺たちの腕っぷしがあれば神頼みなんて必要ねえ!」
「まったく、頼もしすぎるリーダーね。でも、次はもう少し心臓に良い解決策にして頂戴?」
ルナが腰に手を当てて呆れ顔を見せると、ジードも影からひょっこり顔を出して頷く。
「同感だね。まあ、次がどんな無理難題でも、俺たちは喜んでお前の背中を支えるさ」
かつては「ひ弱な頭脳派」と笑われた固有スキル『森羅万象・完全看破』。
しかしクロノは、その知識をただ右から左へ流すのではなく、自らの経験とし、仲間との絆とし、あらゆる職業の真髄へと昇華させてみせた。
「さあ、王都の復興プランの続きをやりましょう。まだまだやることは山積みですから」
万能の少年と、彼を支える超一流のエキスパートたち。世界に新たな常識を刻み込む彼らの歩みは、これからも決して止まることはない。




