2-8 キサラの街2 (※イラストあり)
「冒険者ギルドで依頼を受けたいのですが。」
買い物帰りにドロシーからこんな提案を受けた。
「ニャー(路銀にはまだ余裕がありますよ)」
「こちらの分の買い物まで全てお支払いいただきありがとうございます。 それもありますが、いきなりダンジョンを攻略するより、クランベールお嬢様に実戦を経験してもらって、足らぬ装備をこの街で整えたいのです。」
「ニャー(なるほど)」
パーティの隊列としては、前衛に剣のドロシー、後衛に魔法のお嬢様とクランベール様、その護衛に自分と考えていたので、とくに装備の必要性を考えていなかったが、ドレスでダンジョンアタックは確かに普通は不自然極まりない。
「ニャー(承知しました)」
でもお嬢様は絶対装備なんてしないだろうなあ。 さて、どう誤魔化そうか。
「ニャー(お嬢様、クランベール様、これから冒険者ギルドで依頼を受けようと思います)」
「おお、モンスターたいじじゃな。 まかせろ。」
「!」
『(ニャー(お嬢様、今日はクランベール様の初陣ですので、お嬢様には小指で倒せるほどのザコ魔物です。 ですので手は出さず、クランベール様を見守ってあげてくださいますようお願いいたします))』
『(なんじゃ、つまらん。 ではとおくのモンスターをたんちしてつぶすとしよう。)』
ドロシーとクランベール様は軽装備に着替えた。
私とお嬢様は、見学だからとそのままの格好である。
「クランベールお嬢様、動きにくいところはございませんか?」
「大丈夫よ、ドロシー。」
冒険者ギルドで常時依頼のゴブリン討伐依頼を受けて街の外に出た。
「ニャー(あっちにゴブリンが5匹いるようです)」
気付いてなさそうなので教えてあげた。
「今日から闇魔法を解禁しますね。」
当然と言えば当然なのだが、人族には闇魔法使い向けの杖はなく、クランベール様は手ぶらだった。
「ニャー(よろしければこれをお使いください)」
収納から闇魔法に対応した初心者向けの杖を取り出し、クランベール様に差し出した。
「これは?」
「ニャー(ネコリーヌ公国では闇魔法の使用者も多くいるものですから)」
「ああ、それで。 ありがとうございます。」
私たちが闇魔法に偏見がなかったこともいいように解釈してくれた。
ゴブリンの群れと遭遇し、ドロシーが攻撃だけを弾き抑えている。
「クランベールお嬢様!」
念のため私が護衛しているクランベール様は杖に魔力を込めると、魔法を行使した。
とたんにゴブリンたちの目の色が変わり、同士討ちを始めた。
残ったゴブリンには即死魔法が行使され、ゴブリンたちは全滅した。
「やりましたね、クランベールお嬢様!」
「ええ!」
喜んでいるふたりを見守る私のそばで、お嬢様は遠くを見つめてニヤついていた。




