第40回「お米おいしいね」
※本作は「小説家になろう」と「カクヨム」に重複投稿しています。
稲荷荘の前――。
今日は、いつもよりたくさんの人が集まっていた。美穂が街の人たちを招待したのだ。
稲刈りを手伝ってくれた人はもちろん――。
話を聞いてやって来た人。
お米を食べてみたいという人。
そして、お腹を空かせた孤児たちの姿もあった。
「今日はみんなで食べよう!」
美穂が笑顔で声をかける。
「はい!」
フロリィも隣で頷く。
やがて、土鍋の中でお米が炊き上がる。
美穂が蓋に手をかける。
「それじゃあ……開けるよ!」
ぱかっ。
ふわぁ……。
白い湯気が、一気に立ち上る。
「わぁ……!」
「すごい匂い……」
「これが、お米……?」
あちこちから声が上がる。
美穂は炊き立てのご飯を手に取る。
「熱っ!」
ぎゅっ、ぎゅっ。
手早く握っていく。
「塩むすび、いっぱい作るよー!」
「私も手伝います!」
フロリィも隣で握り始める。
すると――。
「美穂ちゃん、私たちも手伝うわ!」
街のお母さんたちがやって来た。
「ありがとうございます!」
「でも、熱いわね!」
「本当だ……!」
「でも凄くいい匂い!」
「早く食べてみたいわ!」
お母さんたちも笑いながら、次々と塩むすびを作っていく。
やがて――。
たくさんの塩むすびが並んだ。
「じゃあ、みんな!」
美穂が声を上げる。
「いただきます!」
「「いただきます!」」
みんなが一斉に塩むすびを頬張る。
「……!」
「美味しい!」
「なんだこれ……!」
「こんなに美味しい食べ物が……」
子どもたちも夢中になって食べている。
「おいしい!」
「もう一個!」
そんな声が、あちこちから聞こえてくる。
美穂はその光景を眺めていた。
自分が作ったお米。
田んぼで育てた稲。
それを、今――。
こんなにもたくさんの人が食べている。
美穂は、嬉しそうに笑った。
「お米、美味しいねー!」
「はい! とっても美味しいです!」
フロリィも笑う。
稲荷荘の前に、笑い声が広がる。
この日、この世界に初めて――。
お米をみんなで食べる日が生まれた。
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