第39回「炊き立てご飯」
※本作は「小説家になろう」と「カクヨム」に重複投稿しています。
稲荷荘の台所――。
美穂は、土鍋の前に座っていた。
鍋の中には、今日みんなで収穫したお米。
「まずは、しっかり吸水させるのが大事なんだよ」
美穂は米の様子を確認する。
「これをちゃんとやらないと、美味しく炊けないからね」
フロリィは隣で興味深そうに見ている。
「お米って、炊く前からいろいろあるんですね」
「そうなの!」
やがて、準備が整う。
土鍋を火にかける。
しばらくすると――。
ふつふつ……。
鍋の中から、小さな音が聞こえてくる。
「……」
美穂は、じっと土鍋を見つめる。
フロリィも隣で見守る。
やがて――。
「よし!」
火を止める。
「もう少し蒸らして……」
美穂は待つ。
そして、いよいよ蓋を開ける。
ふわっ。
白い湯気が立ち上る。
「……!」
炊き立てのご飯。
真っ白な米粒が、土鍋いっぱいに輝いている。
「……できた」
美穂は、しばらく言葉を失った。
フロリィも覗き込む。
「これが……炊き立てのお米……」
美穂は嬉しそうに笑う。
「うん、じゃあ、最初はこれだね」
美穂は炊き立てのご飯を手に取る。
ぎゅっ、ぎゅっ。
形を整えていく。
そして――。
「塩むすび!」
小さな塩むすびが完成した。
フロリィにも一つ渡す。
「それじゃあ……」
二人で手を合わせる。
「「いただきます!」」
美穂が塩むすびを一口。
「…………」
次の瞬間――。
「うまー!」
美穂の顔がぱっと明るくなる。
フロリィも一口食べる。
目を大きくする。
「美味しい!」
「でしょー!」
美穂は嬉しそうに笑う。
「これが、お米だよ!」
「はい!」
フロリィは塩むすびを大切そうに味わう。
稲荷荘の前で始まった、初めての稲作。
その一年の成果が――。
今、二人の手の中にあった。
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