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稲り実る〜異世界でも米作りはそれなりに大変〜  作者: さば味リン


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第38回「初めてのお米」

※本作は「小説家になろう」と「カクヨム」に重複投稿しています。

籾と藁くずを分け終えた――。

美穂は、目の前に集められた籾を見つめる。


「よし……次は籾摺りだね」

「まだあるんですか?」

「うん。ここから籾殻を外して、中のお米を取り出すの」


美穂は籾を手に取る。

そして、稲荷荘の納戸から使えそうな道具を探した。


「えーっと……これかな?」


籾を入れ、少しずつ籾殻を外していく。

時間はかかった。

けれど――。


「……あっ」

籾殻の中から、白っぽい粒が現れる。


「これ……!」

美穂は、そっと手のひらに乗せる。


「お米だ……」

「これが……お米」


フロリィも隣から覗き込む。

小さな白い粒。

まだほんの少ししかない。

それでも、美穂にとっては特別なものだった。


「ここまで来たんだ……」


 苗を植えた

 毎日田んぼを見た

 雑草を取った

 出穂を見た

 稲の花も見た

 バッタの魔物から守った

 黄金色の稲穂を収穫した

 稲架に掛けて乾かし

 千歯こきで脱穀して――


そして今。

ようやく、お米になった。


「……すごいなぁ」

美穂は、手のひらのお米を見つめる。


『本当に、ここまで来ましたね』

イナリの声が響く。


「うん……」

美穂は笑う。

「これが、あたしが異世界で初めて作ったお米だよ」


フロリィも、白い粒を一粒つまむ。

「小さいですね」

「そうだね」

「でも……」


フロリィは、その小さな粒を大切そうに見つめる。

「これが、あの黄金の田んぼからできたんですね」

「うん!」

美穂は頷く。


「でも、まだ終わりじゃないよ」

「え?」


「これを――」

美穂は白米を見つめる。

「炊いてみよう!」


フロリィの顔がぱっと明るくなる。

「はい!」


いよいよ――。

異世界で初めてのお米を、食べる時がやって来る。

読んでくれてありがとうございます!

毎日【18時20分】に投稿してます。

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