第37回「風魔法で唐箕」
※本作は「小説家になろう」と「カクヨム」に重複投稿しています。
千歯こきでの脱穀を終えた――。
目の前には、たくさんの籾が積まれている。
けれど――。
「……」
美穂は籾をじっと見る。
籾の間には、細かな藁くずや葉などが混ざっていた。
「これ、どうやって分けよう……」
美穂は腕を組む。
「うちわで仰ぐかな?」
近くにあったうちわを手に取る。
パタパタ。
籾はほとんど動かない。
「……地味に大変そう」
その時、フロリィが籾を覗き込んだ。
「美穂さん」
「ん?」
「風魔法なら、少し使えますよ」
「風魔法?」
フロリィが手を籾の上へかざす。
「やってみますね」
ふわっ。
優しい風が吹く。
美穂が籾を少しずつ落としていく。
サラサラ……。
そこへ、フロリィが風を当てる。
軽い藁くずが――。
ふわっ。
籾から離れて飛んでいく。
「……!」
美穂の目が輝いた。
「そうそう!」
美穂は籾を手に取る。
「籾は重いから落ちて、軽いゴミだけ飛んでいくんだ!」
「こうですか?」
「うん! すごい!」
フロリィが少しずつ風の強さを調整する。
ふわっ。
ふわっ。
籾だけが、きれいに残っていく。
「これなら、うちわよりずっと楽だね!」
「お役に立てましたか?」
「もちろん!」
美穂は嬉しそうに籾を眺める。
そして――。
「でも……唐箕がほしいなぁ……」
「とうみ?」
「うん。こういう籾とゴミを分ける農具があるの」
美穂は、風を送るフロリィを見る。
「フロリィちゃんがいるから、今は何とかなるけど……」
ふと、未来のことを考える。
「お米をもっと作るようになったら、これじゃ大変だよね」
「では、作ってみますか?」
「……作れるかな?」
二人は、残った籾と飛んでいった藁くずを眺める。
異世界の農作業は――。
少しずつ、この世界ならではの方法へ変わり始めていた。
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