第34回「稲刈り」
※本作は「小説家になろう」と「カクヨム」に重複投稿しています。
初穂の儀式を終えると、しばらくして街の人たちがやって来た。
「おはようございます!」
「今日はよろしくお願いします」
何人もの人が、稲荷荘の前に集まっている。
美穂は嬉しそうに手を振った。
「みんな、おはよー!」
その後ろには、フロリィもいる。
「今日はみんなで稲刈りですね」
美穂は草刈りガマを手にする。
「そう! これで稲を刈っていくよ!」
「鎌で刈るんですか?」
美穂が稲の根元にガマを入れる。
「根元をこうやって――」
ザクッ。
黄金色の稲が、手元に倒れる。
「おお……!」
街の人たちから声が上がる。
「じゃあ、みんなもやってみよう!」
「はい!」
一人、また一人と田んぼへ入っていく。
ザクッ。
ザクッ。
ザクッ。
黄金色の稲が、少しずつ刈り取られていく。
「こうですか?」
フロリィが稲を刈る。
「そうそう! 上手!」
「冒険者ですから、このくらいは!」
「ふふっ、頼もしいね!」
街の人たちも、最初は慣れない手つきだった。
けれど、何本か刈るうちに少しずつ上達していく。
「思ったより大変ですね」
「でも、楽しいです!」
「こんな風に収穫するんですね」
美穂は、そんな声を聞きながら笑う。
「そうだよー!」
田んぼの中に、人の声が響く。
風に揺れていた黄金色の稲穂は、少しずつその姿を変えていった。
そして――。
「あと少し!」
美穂が声を上げる。
みんなで最後の稲を刈る。
ザクッ。
最後の一株が刈り取られた。
「……終わった」
美穂は、田んぼを見渡す――。
そこには、黄金色の稲穂ではなく、刈り取られた株が並んでいた。
「収穫できたね」
フロリィが隣で呟く。
「うん!」
美穂は笑顔になる。
「これで、やっとお米が食べられる!」
街の人たちからも、歓声が上がった。
田んぼの初めての稲刈りは――。
みんなの手で、無事に終わった。
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