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稲り実る〜異世界でも米作りはそれなりに大変〜  作者: さば味リン


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33/43

第33回「初穂の儀式」

※本作は「小説家になろう」と「カクヨム」に重複投稿しています。

今日は、稲刈りの日――。

稲荷荘の前には、一面の黄金色の稲穂が広がっている。


「フロリィちゃん、今日はね、稲刈りの前にやることがあるの」

「稲刈りの前に?」

「うん。初穂の儀式!」

「初穂の儀式ですか?」


美穂は、黄金色の稲穂の中へ入っていく。

そして、しばらく稲を眺める。


「うーん……」

一本一本を見比べていく。


「これ!」

美穂が選んだのは、穂が大きく実り、たくさんの籾をつけた稲穂だった。


「これが凄くたわわ!」

「たわわ……?」


「実がいっぱいってこと!」

「なるほど」


美穂はその稲穂を丁寧に刈り取る。

そして、あらかじめ作っておいた小さな祭壇へ向かった。そこには、稲荷荘で使っている道具と、簡素な供物が置かれている。


美穂は初穂を祭壇に捧げる。

そして、静かに頭を下げた。


「田んぼの女神、イナリミノルさま……」

『はい』


「異世界で、初めて作りました稲穂です」

美穂は黄金色の稲穂を見る。


「お納めください」

深く頭を下げる。


しばらくして――。


『……なんか大袈裟ですね』

「大袈裟じゃないよ」

美穂は顔を上げる。


「これは大事なことなんです」

『そうですか?』


美穂は田んぼを振り返る。

「苗を植えて、育てて、守って……」

そして、ここまで育った。


「最初にできたお米を、ちゃんとイナリさまに報告したかったの」

『……』

少しの沈黙。


『……ありがとうございます、美穂』

イナリの声が、いつもより柔らかく響いた。


隣で見ていたフロリィは、静かに微笑む。

「……そういうものなんですね」


「うん!」

美穂は立ち上がる。


「じゃあ、そろそろみんなが来るよ!」

黄金色の田んぼを見渡す。


「いよいよ、稲刈りだー!」

今日は、この田んぼで初めての収穫の日になる。

読んでくれてありがとうございます!

毎日【18時20分】に投稿してます。

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