第31回「黄金の稲穂」
※本作は「小説家になろう」と「カクヨム」に重複投稿しています。
バッタの魔物が現れてから、美穂の田んぼの見回りは、少しだけ厳しくなった。
「今日も異常なし!」
美穂は田んぼを見て回る。
朝も、昼も――。
「バッタ、いないね」
草むしりをしながら、稲の様子を確認する。
夕方にも――。
「よし。今日も大丈夫!」
そんな日々が続いた――。
幸い、それから大きな魔物が現れることはなかった。田んぼは、再び穏やかな時間を取り戻していた。
そして――。
季節が少しずつ進むにつれて、稲の色が変わり始めた。鮮やかな緑だった稲が、少しずつ黄緑へ。
そして、その日がきた――。
美穂は、田んぼの前で立ち止まった。
「…………」
目の前に広がっていたのは、一面の黄金色。
風が吹く――サワァァ……。
無数の稲穂が、波のように揺れている。
「……すごい」
美穂は、ただ田んぼを見つめていた。
田植えの日――。
泥の中に植えた、小さな苗。毎日少しずつ伸びていった。穂が出て、小さな花が咲いた。バッタの魔物からも守った。
そして今――。
「……こんなになるんだ」
美穂は、黄金色の田んぼを眺める。自分の手で作った田んぼ。そこに実った、たくさんの稲穂。
『綺麗ですね、美穂』
イナリの声が聞こえる。
美穂は、ゆっくり笑った。
「うん……すっごく綺麗」
風が、もう一度田んぼを渡っていく。
黄金色の波が、どこまでも続いていた。
◇
その日の午後――。
稲荷荘に、フロリィが遊びに来た。
「美穂さーん!」
「フロリィちゃん、いらっしゃーい!」
美穂が手を振る。
フロリィは、田んぼの方へ顔を向ける。
目の前に広がっているのは、一面の黄金。風が吹くたびに、無数の稲穂が揺れている。まるで、大地そのものが黄金に染まったようだった。
「…………」
フロリィは、しばらく何も言えなかった。
「フロリィちゃん?」
美穂が隣から顔を覗き込む。
フロリィは、ようやく言葉を絞り出した。
「……凄い……」
そして、もう一度田んぼを見る。
「……黄金の絨毯みたい……」
フロリィは、畦道から田んぼを眺める。小さな苗を植えた日のことを思い出す。
「田植えのときは、あんなに小さかったのに……」
フロリィは、畦道から田んぼを眺める。小さな苗を植えた日のことを思い出す。泥だらけになりながら、一緒に田植えをした。
「……本当に、お米になるんですね」
美穂は胸を張る。
「もうすぐ収穫だよ!」
黄金色の稲穂が、風に揺れる。
その光景を、二人は並んで眺めていた。
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