第19回「ゴーレムと遭遇する」
※本作は「小説家になろう」と「カクヨム」に重複投稿しています。
粘土の採取場所――。
美穂は、悲鳴の聞こえた方へ走っていた。
「何事!?」
木々の向こうから、声が聞こえる。
「キャー!」
「いた!」
美穂が木の陰から顔を出す。
そこには――。
「ななっ!」
女の子がいた。
そして、その前には大きな魔物が立っている。
土でできた、人形のような姿。
全長は二メートルほど。
ずしん。
ずしん。
一歩進むたび、大地が揺れる。
「……」
美穂は固まった。
「こえー!」
冒険者ガイドに載っていた魔物の姿を思い出す。
「まさか……ゴーレムってヤツ?」
「助けて……」
女の子が震えながら声を上げる。
「……!」
美穂はゴーレムを見る。
怖い。
明らかに怖い。
でも――。
「ヤバい! 助けないと!」
美穂は周囲を見渡した。
武器なんて持っていない。
そこで、足元に転がっていた石を拾う。
「これで!」
思い切り投げる。
ヒュン!
コンッ!
石がゴーレムに当たった。
「オラッ! あっち行けっ!」
ゴーレムが動きを止める。
そして――。
ゆっくりと、美穂の方を向いた。
「……」
美穂とゴーレムの目が合う。
「あっ」
美穂の顔が引きつる。
「ヤバい?」
ゴーレムが、一歩踏み出す。
ズシン。
「ひぃー!」
美穂は反射的に走り出した。
「こっち来たー!」
後ろから、
ズシン! ズシン!
大きな足音が迫ってくる。
「なんであたしなのー!」
美穂は必死に逃げる。
田んぼの中なら最強。
でも――。
ここは田んぼではない。
「イナリさまー!」
返事はない。
「そうだったー!」
稲荷荘から離れた今、イナリの声は届かない。
美穂は腰を押さえながら、それでも必死に走った。
「追いかけてくるなんて聞いてなーい!」
粘土を探しに来ただけだったはずなのに。
美穂の初めての遠出は――。
思いがけない魔物との遭遇から、一気に逃走劇へと変わっていた。
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