第11回「初めての報酬」
※本作は「小説家になろう」と「カクヨム」に重複投稿しています。
冒険者ギルド――。
薬草採取を終えた美穂は、カスミタウンの冒険者ギルドへ戻ってきた。
受付カウンターへ向かい、採取した薬草を袋から取り出す。
「お願いします」
「はい。確認しますね」
受付嬢は薬草を一つずつ確認していく。
「はい、確かに薬草ですね」
「よかった……」
初めての仕事。
ちゃんと依頼を達成できたことに、美穂は少しだけ安心した。
「では、買い取りを含めて大銅貨四枚になります」
「四枚!」
受付嬢から硬貨を受け取る。
手のひらに、大銅貨が四枚。
美穂はしばらく、それを眺めていた。
「……」
イナリからもらったお金ではない。
これは、自分で働いて手に入れたお金。
「……あたしが働いて稼いだお金」
美穂は、少し嬉しそうに笑った。
たった大銅貨四枚。
日本円にすれば、四千円くらい。
それでも――。
美穂にとっては、特別なお金だった。
「初任給……みたいなものかな」
ここは異世界――。
今までとは何もかも違う場所。
そこで初めて、自分の力で稼いだ。
「大事に使おう」
美穂は大銅貨を財布にしまった。
そして、受付嬢を見る。
「ありがとうございました!」
「お疲れさまでした。またお願いしますね」
美穂はギルドを出る。
手には、初めて自分で稼いだお金。
そして――。
「次は、農具かな」
美穂の頭には、もう次にやることが浮かんでいた。
◇
初めての報酬を手にした美穂は、カスミタウンの街を歩いていた。
「さて、何を買おうかな」
まず必要なのは、食料。
それから日用品。
稲荷荘で暮らしていくためには、最低限の生活用品が必要だ。
美穂は店を回り、パンや保存の利く食料を買っていく。
水を入れる桶
調理に使う道具
洗濯に必要なもの
「これでしばらくは大丈夫かな」
買ったものをまとめる。
そして、美穂は街の農具店へ向かった。
店先には、鍬やスコップ、鎌などが並んでいる。
「おお……」
美穂の目が輝く。
鍬
スコップ
桶
種を入れるための道具
農作業用の服
どれも異世界の品ではあるが、美穂にはどこか見覚えがあった。
「これ、欲しいなぁ」
鍬を手に取り、重さを確かめる。
「うん。これなら使えそう」
しかし――。
「……あれ?」
値札を見る。
「……高い」
鍬一つでも、それなりの値段がする。
必要なものを一通り揃えようとすると、かなりの金額になる。
美穂は財布を取り出す。
今日稼いだ大銅貨は、数枚。
それを見てから、もう一度農具を見る。
「……今日の稼ぎじゃ、買えないな」
美穂は苦笑した。
食料や日用品を買ったことで、残ったお金はさらに少なくなっている。
「まず買うのは、食料と日用品だよなぁ」
生活できなければ、田んぼも作れない。
美穂は農具を棚に戻した。
「農具は、もう少しお金を貯めてから」
必要なものを買えるようになるまで、冒険者として働けばいい。
それに――。
「田んぼは逃げないし」
美穂は店を出た。
農具を買うには、もう少し時間が必要らしい。
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