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半身のペンネーム2  作者: マーたん


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第三十三話 「読切」

ライバルはアニメ化決定

ドリーム館・会議室。


黒瀬が資料を机に叩きつける。


 


「月刊で読切をやれ」


 


雄大が眉をひそめる。


「急ですね」


 


「急じゃない」


 


黒瀬は真顔だ。


 


「アニメ化に対抗するには話題がいる」


 


「週刊は走らせる」


 


「月刊で――勝負しろ」


 


 


篤が腕を組む。


 


「テーマは?」


 


 


黒瀬は一枚の紙を滑らせる。


 


そこに書かれていた一文。


 


“金で過去が買える世界”


 


 


雄大が呟く。


 


「……は?」


 


 


黒瀬は続ける。


 


「設定はこれだけでいい」


 


 


「そして」


 


 


二人を交互に見る。


 


 


「主人公はお前らだ」


 


 


空気が止まる。


 


 


「凸凹コンビの話にしろ」


 


 


篤が笑う。


 


「自伝かよ」


 


 


「違う」


 


黒瀬は首を振る。


 


「フィクションだ」


 


 


「だが本音で書け」


 


 


雄大の心臓が跳ねる。


 


 


「……なんでそれを」


 


 


黒瀬は静かに言う。


 


「読者はもう気づいてる」


 


 


「最近の週刊、温度が違う」


 


 


「お前らの空気が、作品に出てる」


 


 


沈黙。


 


 


「だから逆に使え」


 


 


「喧嘩も、決裂も、全部ネタにしろ」


 


 


篤の目が細くなる。


 


 


「一番になれ」


 


 


黒瀬は断言する。


 


 


「月刊一位」


 


 


「そこで勝てなきゃ、アニメ化なんて夢物語だ」


 


 


 


数日後。


作業部屋。


 


久しぶりに二人が同じ机を挟む。


 


読切用ネーム。


 


タイトルはまだ未定。


 


 


雄大が設定を読む。


 


「金で過去が買える、ね……」


 


 


篤が言う。


 


「例えば?」


 


 


雄大が答える。


 


「失敗を消せる」


 


「告白をやり直せる」


 


「喧嘩をなかったことにできる」


 


 


篤が鼻で笑う。


 


「便利だな」


 


 


「でも」


 


雄大は続ける。


 


「消したら、その失敗から生まれたものも消える」


 


 


静かになる。


 


 


篤がぽつりと言う。


 


「俺らの決裂、消すか?」


 


 


雄大のペンが止まる。


 


 


「……消したら」


 


 


「今の俺らも消えるかもな」


 


 


篤が笑う。


 


「それは嫌だ」


 


 


読切の構成が見えてくる。


 


 


主人公は二人組。


 


一人は衝動型。


 


一人は理論型。


 


 


大喧嘩をする。


 


そして“過去屋”に行く。


 


金を払えば、決裂前に戻れる。


 


 


だが戻った先で気づく。


 


 


喧嘩があったからこそ、


本音が出た。


 


決裂したからこそ、


互いの価値が見えた。


 


 


篤が言う。


 


「最後どうする」


 


 


雄大は静かに答える。


 


「過去は買わない」


 


 


「今を描く」


 


 


篤がニヤリと笑う。


 


「ベタだな」


 


 


「王道だ」


 


 


視線がぶつかる。


 


 


黒瀬の言葉が蘇る。


 


一番になれ。


 


 


雄大が言う。


 


「月刊一位、取るぞ」


 


 


篤が即答する。


 


「当然」


 


 


ライバルはアニメ化。


 


 


ならばこちらは――


 


“物語そのもの”で殴る。


 


 


金で過去が買える世界。


 


だが二人は、買わない。


 


 


それが答え。


 


 


月刊読切。


 


運命の一作が、動き出す。

浮かれてたな


あー

 あー

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