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半身のペンネーム2  作者: マーたん


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第二十七話 「同時制覇」

くー

ドリーム館・編集部。


空気が――おかしい。


前回のざわめきとは質が違う。


 


静かすぎた。


 


「……なんだよこの感じ……」


 


篤が違和感を口にする。


 


誰も目を合わせない。


だが全員がこちらを見ている。


 


雄大の背筋に嫌な汗が流れる。


 


「……嫌な予感しかしない……」


 


その瞬間。


 


バン!!


 


編集部の扉が勢いよく開く。


 


黒瀬真一。


 


だが今回は歩いてこない。


走っていた。


 


「お前ら……」


 


机へ一直線。


紙を叩きつける。


 


「……見ろ」


 


既視感のある光景。


だが――


黒瀬の顔が完全に違う。


 


興奮。


混乱。


そして僅かな恐怖。


 


雄大が震える手で紙を見る。


 


週刊『夢乃奏多』

読者アンケート速報


 


順位。


 


一位


 


「………………は?」


 


理解が拒絶する。


 


「え……?」


 


「いや……ちょっと待って……」


 


視線が泳ぐ。


 


「は?」


 


もう一度確認する。


 


「は???」


 


篤が紙を奪う。


目で追う。


固まる。


 


「……はは……」


 


笑うしかない。


 


「おいおい……」


 


黒瀬がもう一枚の紙を差し出す。


無言で。


 


月刊『月の輪』

アンケート結果


 


順位。


 


一位


 


沈黙。


 


完全な沈黙。


 


編集部の時間が止まる。


 


「……いやいやいやいやいや……」


 


雄大の声が震える。


 


「ちょっと待て」


 


「意味が分からない」


 


「同時って何??」


 


「そんなことある???」


 


 


週刊一位。


 


月刊一位。


 


同じ月。


同じ新人。


 


前代未聞。


 


編集部のざわめきが爆発する。


 


「嘘だろ……」


 


「新人だぞ……?」


 


「しかも同時連載じゃないぞ……?」


 


「ドリームマッチで……?」


 


 


黒瀬が額を押さえる。


珍しく動揺している。


 


「……冗談だろこれ……」


 


本音だった。


 


篤が笑う。


完全に開き直った顔。


 


「だから言ったろ」


 


「やれるって」


 


 


雄大はまだ現実を受け入れられない。


 


「いやいやいやいや……」


 


「週刊って……」


 


「あの化け物雑誌で……?」


 


黒瀬がゆっくり顔を上げる。


 


目が変わっていた。


 


編集者の目。


 


「……化け物だな……お前ら……」


 


素直な評価。


 


「普通はどちらかが落ちる」


 


「体力的にも構成的にも無理だからだ」


 


 


「なのに――両方一位」


 


 


篤が肩を鳴らす。


 


「相性がいいんだろ」


 


 


黒瀬が即座に否定。


 


「違う」


 


断言。


 


「狂ってるだけだ」


 


最高の賛辞。


 


 


だが。


次の瞬間。


空気が一変する。


 


「……決まったな……」


 


黒瀬の低い声。


 


雄大が嫌な顔をする。


 


「……何がですか……」


 


 


「連載」


 


 


篤の目が細くなる。


 


黒瀬が続ける。


 


「両方だ」


 


 


「…………は?」


 


 


「週刊『夢乃奏多』連載確定候補」


 


「月刊『月の輪』連載会議直行」


 


 


逃げ場ゼロ。


 


雄大が頭を抱える。


 


「ちょっと待てぇぇぇぇ!!」


 


「同時連載とか人間のスケジュールじゃない!!」


 


 


黒瀬は満面の笑み。


最悪の笑顔。


 


「大丈夫」


 


根拠ゼロの断言。


 


「君たちなら死なない」


 


 


篤が笑う。


 


「死ぬ前提かよ」


 


 


「週刊と月刊で一位取る新人だぞ?」


 


黒瀬は当然の顔。


 


「今さら普通の扱いするわけないだろ」


 


 


編集部がざわつく。


 


歴史的瞬間。


 


伝説の始まりか。


破滅の序章か。


 


 


雄大が天井を見上げる。


 


「……なんでこんな人生になったんだ……」


 


 


篤が笑う。


 


「決まってんだろ」


 


 


黒瀬がニヤリと笑う。


 


「漫画だからだ」


 


 


週刊一位。


 


月刊一位。


 


新人二人組。


 


ありえない記録。


 


だが物語はまだ続く。


 


むしろここから――


本当の修羅場が始まる。

けー

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