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半身のペンネーム2  作者: マーたん


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第二十三話 「ドリームマッチ」

あー

ドリーム館・編集部。


相変わらず騒がしい。


だが――


今日は少し違った。


 


「さて」


 


黒瀬真一が椅子を回転させる。


妙に楽しそうな顔。


 


「では早速」


 


嫌な予感しかしない前振り。


 


「ドリーム館名物」


 


篤が眉をひそめる。


雄大が身構える。


 


「――ドリームマッチだ」


 


「……は?」


 


雄大の声が裏返る。


 


黒瀬は当然のように続ける。


 


「うちはね」


 


机を指で叩く。


 


「新人を甘やかさない」


 


満面の笑み。


絶対ろくでもない。


 


「まず一つ目」


 


指を一本立てる。


 


「月刊誌 月の輪」


 


ドリーム館の看板月刊。


競争率、異常。


 


「そこで一位になってもらう」


 


沈黙。


 


「…………は?」


 


雄大、思考停止。


 


篤がゆっくり聞き返す。


 


「いきなり?」


 


「いきなり」


 


黒瀬は即答。


一切の冗談感なし。


 


「無理とか言わないよね?」


 


挑発的な笑み。


 


「言うだろ普通は!」


 


雄大が珍しく強くツッコむ。


 


黒瀬は完全に無視した。


 


「で、二つ目」


 


さらに爆弾投下。


 


「週刊誌 夢乃奏多」


 


空気が凍る。


篤の表情が変わる。


雄大の顔色が消える。


 


「……週刊……?」


 


「そう」


 


黒瀬は軽い。


恐ろしいほど軽い。


 


「そっちで連載」


 


「いやいやいやいや!!」


 


雄大、完全崩壊。


 


「ちょっと待ってください黒瀬さん!」


 


「月刊だけでも無茶苦茶なのに!」


 


「週刊連載って!!」


 


黒瀬は真顔で言う。


 


「同時進行」


 


地獄の宣告。


 


「ネームと原稿」


 


「両方書いてくれ」


 


「……」


 


「……」


 


時間が止まる。


 


篤が先に口を開く。


 


「……期間は?」


 


黒瀬が笑う。


最悪の笑顔。


 


「一ヶ月」


 


絶句。


 


「一ヶ月後に載せる」


 


編集部のざわめきすら遠くなる。


雄大の意識が飛びかける。


 


「ちょ……ちょっと待って……」


 


「物理的に無理だろ……」


 


黒瀬は椅子にもたれかかる。


 


「無理じゃない」


 


断言だった。


 


「ドリーム館基準では普通」


 


恐ろしい文化。


 


「新人のうちに壊しておく」


 


さらりと狂ったことを言う。


 


「限界って幻想だから」


 


篤が笑い出す。


 


「はは……」


 


乾いた笑いではない。


 


「最高だな……」


 


雄大が振り向く。


信じられないという顔。


 


「お前正気か!?」


 


篤の目は完全に戦闘モード。


 


「面白ぇじゃん」


 


狂気の適応力。


 


「月刊で一位」


 


「週刊で連載」


 


黒瀬と視線がぶつかる。


 


「やってやるよ」


 


雄大が頭を抱える。


 


「いやいやいやいや無理だろ!!」


 


黒瀬がニヤリと笑う。


 


「いいね」


 


篤を指差す。


 


「そういうバカ、大好きだ」


 


そして雄大を見る。


 


「君は?」


 


逃げ場のない視線。


 


「……俺は……」


 


喉が詰まる。


常識が叫ぶ。


理性が拒絶する。


 


だが。


横を見る。


 


篤はもう覚悟を決めている。


 


「……」


 


深く息を吸う。


 


「……やりますよ……」


 


半ば自棄。


半ば本音。


 


「どうせ逃げ場なんてない」


 


黒瀬が満足そうに笑う。


 


「決まりだ」


 


軽い一言。


だが、その重さは致命的。


 


こうして始まる。


 


ドリーム館名物。


新人破壊装置。


 


ドリームマッチ。


 


一ヶ月。


 


地獄のカウントダウンが始まった。

いー

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