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半身のペンネーム2  作者: マーたん


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22/39

ここまでの物語まとめ

「なあ……夢ってさ、こんなに面倒なもんだったか?」


「最初から楽だなんて思ってねぇよ」


「いや、お前はもう少し疑え」


「疑ったら終わりだろ」


「……それで突っ走るから問題児なんだよ……」


「うるせぇな優等生」


 


交わらないはずだった二人。

相容れないはずだった価値観。


殴り合いから始まった関係は、いつの間にか――


同盟になり、

共犯になり、

そして「半身」になった。


 


「才能は奪い合うものだ」


「数字が全てです」


「甘いわね」


「構いません」


 


夢を見る者。

夢を裁く者。

夢を嗤う者。


それぞれの正義がぶつかり合う世界で、

彼らはまだ入口に立ったに過ぎない。


ここまでの軌跡。

ここからの地獄。


『半身のペンネーム2』――前半戦総括。

物語は、決して相容れない二人の少年から始まった。


不良寄りで、学校にもろくに顔を出さず、

退屈と諦めを纏って生きる男――藤堂篤。


一方。


成績優秀、規律重視、将来は名門大学を約束された優等生――

しかし親の過剰な期待と圧力に押し潰されかけている男――狭間雄大。


本来なら交わらないはずの二人。


だが、運命は皮肉だった。


同じ学校。

最悪の第一印象。

そして、最初の衝突。


漫画家になるという篤の言葉を、雄大は一蹴した。

現実を知らぬ戯言。

無謀な夢。


だが、篤は引かない。


挑発。

口論。

そして――喧嘩。


結果は誰の予想も裏切った。


優等生・雄大の勝利。


ここで終わってもおかしくない関係。

しかし物語は逆へ進む。


殴り合いの末に残ったのは、奇妙な共感だった。


互いに違う地獄を抱えながら、

互いに同じ「逃げ場」を求めていた。


――漫画。


それは娯楽ではなく、生存手段だった。


篤にとっては、腐りきった現実からの脱出路。

雄大にとっては、完璧であることを強制される世界からの避難所。


こうして二人は、歪で危うい同盟を結ぶ。


「半身」。


互いに欠けた部分を埋める存在として。



■ 女優という異物 ― 奈那峰亜紀


二人の前に現れたのは、さらに異質な存在だった。


奈那峰亜紀。


華やかな世界に生きる女優。

だがその実態は、世間の理想とはかけ離れていた。


篤の恋人。

だが単なるヒロインではない。


彼女は現実を知っている。


夢の残酷さも、業界の冷酷さも、

そして「売れる」という言葉の重みも。


二人の無謀な挑戦を笑いながらも、

どこかで信じ、どこかで心配し続ける存在。


この物語における最初の「読者代表」であり、

同時に最初の理解者だった。



■ 持ち込み ― 月園舎と八島歩


舞台は商業誌の世界へ移る。


人気漫画雑誌「ジョップ」。

その発行元――月園舎。


無名の高校生二人が、原稿を抱えて編集部の門を叩く。


ここからが本当の戦場だった。


そこで出会ったのが――

編集者 八島歩。


冷静。

理知的。

そして、異常なまでに「当たり」の確率が高い編集者。


二人の原稿を読み、

迷いなく言い放つ。


「可能性があります」


この一言が、二人の運命を決定づける。


夢ではなく、評価。

慰めではなく、判断。


プロの言葉だった。


だが同時に、火種も生まれる。


歩は、篤の恋人・亜紀の親友だったのだ。


偶然か必然か。

人間関係は絡み合い、緊張を孕み始める。



■ 編集部という地獄


創作の世界は甘くない。


ネームの修正。

方向性の対立。

売れる漫画とは何かという終わりなき議論。


篤は感情で描く。


雄大は理屈で描く。


歩はその狭間で舵を取る。


衝突は避けられない。


そしてついに起きる――

編集部との大きな対立。


「描きたくないものは描かない」


篤の信念。


「商業誌は数字が全て」


編集部の論理。


全面戦争だった。



■ 編集長室 ― 引退宣言寸前


緊張の極致。


編集長との面会。


空気は最初から冷え切っていた。


評価は悪くない。

だが問題が多すぎる。


暴走。

非協力。

誌面カラーとの乖離。


そして突きつけられる残酷な選択。


「描けないなら一筆書け」


――当誌では二度と描かないと。


作家生命を左右する紙。


極限状態。


篤は笑い、ペンを取ろうとする。


その瞬間。


扉が開く。


乱入者。


奈那峰亜紀。


彼女は叫ぶ。


未来を勝手に閉じるな、と。


さらに他の編集者たちも雪崩れ込む。


異例の事態。

編集部の内側での抗議。


そして結論。


「今回は保留」


だが条件付き。


「次で示せ」


猶予という名の死刑宣告だった。



■ ライバル雑誌 ― ドリーム館


追い詰められた二人が向かった先。


最大のライバル誌――ドリーム館。


常識外れの編集長。

直々の交渉。


「欲しい」


才能は奪い合うもの。


業界の剥き出しの現実。


だがそこに現れる最悪の存在。


川島由佳。


元・月園舎編集者。


そして――

八島歩の因縁の相手。



■ 編集者同士の戦争


暴かれる過去。


新人連載枠争奪戦。


勝者と敗者。


切られた作家。

潰された未来。


由佳は歩を断罪する。


「あなたに追い出された」


歩は否定しない。


数字が全てだった世界。

情が通じない世界。


さらに抉られる真実。


かつての歩は冷酷だった。


勝つための編集者。


だが今は違う。


信じる編集者へ。


理想と現実。


価値観の全面衝突。


由佳の宣告。


「あなたはまた負ける」


歩の静かな反撃。


「今度は私の作家が勝ちます」


編集者のプライドを賭けた戦争が始まる。



■ 火種は消えない


ドリーム館からの誘い。


歩の即答。


「お断りします」


理由は単純で、重い。


「あなた達は私の作家です」


信頼。


覚悟。


だが同時に突きつけられる現実。


結果を出せなければ終わり。


連載会議。


数字。


評価。


夢だけでは生き残れない世界。



■ 物語の核心


『半身のペンネーム2』は、単なる青春漫画ではない。


夢を語る物語でもなければ、

努力礼賛の物語でもない。


これは――


才能と現実の衝突の物語。


漫画家志望の二人だけでなく、

編集者、業界、過去、数字、評価。


あらゆる現実が牙を剥く世界。


そしてタイトルの意味。


「半身」。


篤と雄大。


対照的な二人は、互いの欠落を補う存在。


感情と理性。

衝動と構築。

暴走と制御。


どちらか一人では成立しない。


未完成な二人が組むことでのみ生まれる可能性。


だが同時に――


崩壊の危険性も常に孕んでいる。


友情か。

依存か。

共犯関係か。


その答えはまだ出ていない。



物語は今、臨界点へ向かっている。


編集者の因縁。

ライバル雑誌。

連載会議。

才能の証明。


ここから先は、夢の時間ではない。


生き残りの時間である。

「……思ったより酷い世界じゃねぇ?」


「今さらかよ」


「いやだってさ」


「漫画描いてただけだぞ俺たち」


「勝手に平和な幻想抱いてただけだろ」


 


才能だけでは足りない。

努力だけでも生き残れない。


編集者にも戦場があり、

過去にも勝敗があり、

正しさにすら立場がある。


 


「それでも描くんだろ?」


「当たり前だろ」


「なんでそんな即答できんだよ……」


「他にねぇからだよ」


 


不器用で、未熟で、

それでも引き返さない者たちの物語。


火種は残った。

敵も残った。

猶予は、ほとんど残っていない。


 


「次は連載会議だ」


「地獄じゃん……」


「だから面白ぇんだろ」


 


物語はまだ序章。

ここから先は、夢ではなく――証明の時間。

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