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偽りの国のヴェリタ   作者: 楽楽
序章  堕ちた世界
8/20

第8話  ベルという人間

私とリベルはこの一夜で仲間になった。

この世界で初めての仲間、それと同時に新たな問題が私たちを襲った。


『お前名前ないからわかりずらいな…』


そう、私の名前がないっていうことに……

微妙に見えるかもしれないけれど、私たちにとっては致命的な点だった…


『確かに……どうしよう、名前なんて思いつかないよ…』


しばらく考えたが思いつかない。


『お前…の名前か、この世界や自分自身を知りたがってるから"知りたガール"とかにすればいいんじゃないか?』


…沈黙が走る。

この一夜で何回沈黙が走ったのだろう。


『………笑うとこだぞ…』


『えっ…』


おそらくリベルは和むためにボケてくれたのだろう。

この時私はリベルはただただ少し怖い人物だと思っていた。でも私を助けてくれた事、和むためにボケてくれた事、リベルの不器用ながらの優しさを私は感じ取った。


『……ベルなんてどうだ?』


『ベル…?』


『俺はあまり深く考えたくない人間だ。俺のリベルからベルだけを取ったんだよ。』


"ベル"…その名前はリベルから取った名前。

正直適当だとは思ったけれど、リベルは私のために考えてはくれたらしい。


『…ベル、うん、この名前にする』


『…………え、ほんとにそれにするのか?俺適当に考えたんだぞ?』


『うん、適当だったとしても、貴方が私のために考えてくれたことには変わりはないから。』


私はこの偽りの世界で…ベルという人間として生きていくことを決めた。


『まぁ…お前がいいなら』


『……名前も決まった。これでここから出る準備は整ったな。ベル、行けるか?』


『うん』


そうして私たちはこの出会った場を去り、遺跡の外へ出た。

そこには…


『ここが、偽りの国…?』


辺り一面に広がる、草原、登り行く朝日が大地を照らしている。

向こうには川も見え、山など自然が豊かだった。


『偽りの国…危険な世界だが……見た目はまぁまぁいいだろ?』


私はその景色に見惚れた。


『おい、もうそろそろ行くぞ。行かなきゃいけねぇところがあるんだ。』


『行かなきゃいけないところ…?』


私とリベルは歩きながら話し出した。


『デシリア村っていう、小さな村だ。俺はそこの医者の元で働いててな、主に薬草とか、そういうのを集めてんだ。』


『確かに……あの化け物と戦う時…素材集め…って言ってた……そういえば…ロスト?って言ってたよね…?

怪物のことを言ってたの?』


『ん?あぁ…そうか知らないよな。ロストっていうのは偽りの国で生息する人のならざるモノだ。様々な個体がいるんだが…共通して人を襲う』


ここで私はロストとは何か、なぜリベルが素材集めをしていたのかという謎が自然と解けた。


『リベルはロストが怖くないの?』


『ふっ……あんな奴らが怖くないのかって?俺はロストよりもやべぇ奴を知ってんだ。』


『ロストよりやばい奴…?強いの?怖いの?』


『…お前は知らなくていいことだ。』


『…うん。』


(ロストよりやばい奴…なんだろう?怒るのが怖いおじさん?まぁわからないけど…この国にはいろんな人たちがいるんだ…)


『あ、あとお前に言わなくちゃいけねぇことがあんだ……村の話なんだが…』


『村の話?』


リベルの声が真剣になる。


『いいか…?村に入ったら…いや、この世界の住民には絶対に俺が罪人だっていうこと…お前の紋章のことは口が裂けても言うな』


リベルは真剣な表情でそう私に言った。


『う、うん…?もし…言ったらどうなるの?』


『…いいか?偽りの国の住民のほとんどは後悔によって堕ちた"悔人(かいじん)だ。そしてこの国は悔人以外の人間、つまり罪人の存在を許していない。』


『お前の紋章にも罪人の一部が混じってる、異質な存在として見られる…だからお前も罪人の1人だと思っていた方がいい。罪人である俺らが村の奴らにバレたりでもしたら…………大体はわかったか?』


『う……うん…』


この美しい景色の中で、再び残酷な現実を突きつけられた。私たち罪人は、この国では受け入れられない。


『俺はフードを被って首筋を隠せるが……お前の場合はどうするか…?』


そういうとリベルは持ち物を漁り始めた。


『チッ…何かないか…?………あ』


リベルは何かを見つけた。


『……まさかアイツがくれた奴がここで役立つとはな……』


リベルが取り出したのは赤いマフラーだった。

少しボロボロだが、着用するにおいて問題はなさそうだ。


『…これを今からつけとけ。罪人…お前の場合は異質な存在だってバレたらタダじゃ済まないからな…』


私はマフラーをつける。

罪人の人たちはこうしないと死ぬのか、と思いながらも私とリベルは村を目指した。









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