第6話 悔人・罪人の紋章
私は知った。
私が迷い込んだこの場所は、元いた世界とはまったく異なる世界、偽りの国なのだと。
『偽りの国、ここはお前が元いた世界とは違う世界だ。異世界転移…ってやつだが…
まぁ、お前は記憶がないからピンと来ないだろうな』
『俺に、お前…そしてこの国に居る全ての人間は外の世界から堕ちてきたんだ。』
『堕ちてきた…?どういうこと?』
外の世界?そこから堕ちてきた…でもなぜ?
よく言う死後の世界…というものなのだろうか?
『この世界に堕ちてくる人間には2つの種類がある。
1つは心に強い後悔が刻まれ、その後悔に呑まれ堕ちた者。』
するとリベルはジャケットの襟部分を退かした。
『2つ目は……現世で罪を犯し、その罪を洗い切れなかった者、黒き混濁に溺れた者。』
リベルの首筋には黒色のマークが刻まれていた。
十字架のようなものが中心にあり周りはトゲトゲしているマークだった。
『堕ちてきた人間にはその2つのどちらかを象徴する紋章が首筋に刻まれる。前者が"悔人"、後者は"罪人"と呼ばれる』
『そして俺はその罪人の1人だ。』
リベルの首筋に刻まれているマーク。
それが罪人の紋章だった。
だがそれを見て1つの疑問が思い浮かんだ。
『………罪人…じゃあ、貴方は外の世界で…罪を犯したの…?』
また沈黙が起きる。
リベルは気まずそうな顔をする。
『……まぁな。』
罪……なにをしたのだろう?盗み…?それとも破壊行為?……殺人?
今の話を聞くと後悔を抱いた人間もいれば殺人をしているかもしれない犯罪者がこの世界には沢山いると言うこと。
私は危険な世界に堕ちてきてしまったのかもしれない
『お前はどっちだ?悔人か?それとも罪人か?』
私は今まで、紋章があることに気づかなかった。
首筋なんて、自分では確認しづらい場所だ。
私はリベルに首筋を見せる。
『私ってどっちなの?私じゃ見えなくて……』
『わかった、ちょっと見せてみろ………』
リベルは私に刻まれている紋章を見る。
するとリベルの動きが止まった。
『……リベル?どうしたの?』
『………なんだこの紋章は…?』
リベルは少し驚いたような顔をしていた。
私はそれを見て戸惑ってしまう。
私の紋章は周りの人と何か違う…?
『……お前の紋章…悔人でも罪人どちらでもない、初めてみる紋章だ…』
その発言に私も驚いてしまう。
『なんだこの紋章…?でもよく見ると…罪人と悔人の2つの紋章が混ざったような…そんな見た目だな…
俺はこの国に堕ちてきてからまぁまぁ長いが……こんな紋章は見たことがない。』
リベルは私の紋章を見たことがないらしい。
私はこの時、世界で珍しい紋章の持ち主だと知った。
この時の私は知る由もなかった。
この紋章は……私がこの先様々な出来事に巻き込まれ、そして過去も未来も繋ぐ紋章なのだと。




