第5話 偽りの国
この男は味方なのかわからないまま…私は中庭まで歩き始めた。
途中で男は落ちている椅子を持ち、運んだ。
(椅子……何に使うんだろう?)
私と謎の男は中庭に出た。
思ってみたが、まだ男の名前も聞いていない…
でも私も自分の名前がわからないんだけどね……
『…夜明け……随分と長くなっちまったな』
空が少し明るくなっていた。
差し込む朝日が遺跡を照らしていた。
すると男は椅子を置いた。
『座れ、軽く手当てしてやる。』
すると近くには先程の焚き火の跡があった。
この焚き火をしていたのはこの男だったんだろう。
私が椅子に座ると、男は腰につけているバッグから1つの瓶を取り出した。
『………そんな警戒するな、ただの傷薬だ。これを塗ればすぐに治る』
男はそう言うと薬を塗り始めた。
男は私に対して敵意はない…?味方だと思っていいのか…?
私はこの時勇気を振り絞り男へと尋ねた。
『……貴方の名前は?』
『………』
しばらくの沈黙の後、男は薬を塗り終えこう言った。
『……リベル』
リベル……男はそう言った。
するとリベルは私をじっと見つめた。
また沈黙が続いた後、リベルが口を開けた。
『……お前は?』
『…あ……私は……その…』
リベルは私の名前を待ってたらしい。
『……わからない、信じられないかもしれないけど…
ついさっき目覚めて…目覚めたら…ここにいた。
でもここがどこかも分からない…何も分からないの』
私は今思っていることを名前の事と共に吐き出した。
『……さっきの質問に答えてやる。ここがどこかと言ったな?』
リベルは問い詰めることはせずに、先ほどの質問に答えようとしてくれていた。
『……ここは、"偽りの国"さ。』
偽りの国、聞いたことのない言葉だった。
偽物の国…?ということだろうか?
『偽りの国……?そんな場所…聞いた事ない…』
『だろうな、ここは現実世界じゃねぇ。お前は現実世界…外の世界から堕ちてきたんだ』
現実世界…?何を言っているのかわからない。
私は分からなくなりリベルへ尋ねた。
『現実世界…?何を言ってるの……?』
そう言うとリベルは少し驚いていた。
『お前……現実世界での記憶がないのか…?』
リベルはそう言った。
何も分からない、思い出せない。
『ごめん、何も分からない…思い出せないの』
『…無理に思い出すな、今はまずお前に…この世界についてを教えてやる』
男は私にそう言ってくれた。
偽りの国、ここがどこなのかわからない。
もしこれが夢なのなら
早く夢から覚めて欲しかった。




