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偽りの国のヴェリタ   作者: 楽楽
序章  堕ちた世界
14/20

第14話  悔想領域

暗い………

なんだろう?変な感じだ。

例えるなら……寝てる時に意識があるようでない感じ。

ただ意識だけがある感じ……


確か……あの男の人が……核心?何かの核心を探せ……って言ってたな……

最後にありがとう……って、なんだったんだろう……


『……ル……!!』


何か聞こえる……

あの男の人……?違う……


『……ベル!!』


リベルの声だ。

私は意識を少しずつ取り戻した。


『ベル、目を覚ましてくれてよかった……何度名前を呼んでも起きなくて……』


ロウワーさんも一緒だった。

あれは夢……?それにしてはすごいリアルだったが…

夢にしても気味が悪かった……

2人の死にあの謎の男性……それに私の片目も無くなっていたし……


『おい、ベル、お前何か見たか?夢…っていうか悪夢みたいなのを……』


リベルはそう私に聞いてきた。

もしかして……リベルも私のような夢を……?

リベルの場合は私のロウワーさんが死んでいる夢を見たのだろうか?

だが悪夢を見たかどうかと聞いてきてここまでピンポイントに合っているということは……

おそらくロウワーさんも……ここにいる全員が似た悪夢を見ていた…?


『……うん、私も…見た。2人が………見たくなかった』


私がそう返すと2人は困惑したような顔をした。


『…私たちが……?君も私とリベルと同じ、あの死体の山を見たんじゃないのか…?』


『死体の……山?』


私と見た悪夢と内容が違う……

それにロウワーさんとリベルも同じ夢を見た……

やっぱり不可解なことが起きている……

だがこの不可解な原因……

それはここにいる3人は見当がついていた。


『……いずれにしろ、俺たちの身には不可解な事が起きてる。その原因として考えられるのは………"あれ"だ』


リベルがあの謎の男を指差す。

するとあの謎の男は仰向けに倒れていたはずがベッドの上で下を俯き座っていた。

けれどまだ……あの黒い恐怖は消えていなかった。


『………ロウワー、どうする?おそらく俺らが巻き込まれたアレは……』


『……間違いない、"悔想領域(かいそうりょういき)"だ。』


『悔想…領域?』


『……悔想領域、それは悔人のみに起こる異常現象の事さ……原因としては悔人から溢れ出た感情だと言われている…その領域内では様々な現象が起きると言われてて、私たちが見た死体の山、そして君がまた…見た別の現象もこの男性が経験した過去と繋がっているんだろう。悔人の過去はどれも違うから、現象は全て異なるんだ。今回のは……その場所と融合する領域じゃなく、一時的に巻き込む領域だね。』


つまり要約すると……

私たちが見たのはあの謎の男の過去……?と言う事?

そして私たちは一時的にその領域に巻き込まれた……


『私もリベルも長いことこの世界にいるけど……領域に入ったのは今回が初めてだ…』


ロウワーは少し関心さを感じていたが、リベルはそんなことを思っていないようだった。


『ロウワー…一つ忘れちゃいないか?俺とお前は……ただ死体の山を見ただけだ、つまり……奴に触れたのは……』


そう言うとロウワーさんの顔が険しくなる。

2人は私を見つめた。


『え…?』


するとロウワーさんは真剣な顔で私に聞いてきた。


『ベル……君はこの領域内で何を見た?言いづらそうな感じだったが……できれば教えて欲しい。』


その真剣な声と眼差しに、私は答えるしかなかった。

あの3人の遺骨、謎の男、そして2人の遺体……

リベルは……なんか気持ち悪がっていたがリベルもちゃんと聞いてくれた。


『つまり……君はその謎の男と、私たちの死体……ただしくは幻影を見た…ということだね?…………

君は……その男性と何か話したりはしたかい?』


そういえば……少しずつ思い出してきた。


『うん………確か……何かの核心を探してほしい…って言われた……』


核心……考え込んでいると一つの言葉を思い出した。


『確かその核心は……"不屈の憎悪"……』


『……!!』


ロウワーさんはそれを聞いてはっとしていた。

しばらく黙り込み、私に落ち着いた口調で話した。


『……いいかいベル?君が彼と行ったのは……

悔想領域でおける、魂との干渉だ。私たちはさっき領域に巻き込まれた……巻き込まれた人間は基本的にその場から自力で出ることは不可能だ。でも、一つだけ出れる方法があってね、それが君が行った"魂との干渉"なんだ。』


ロウワーさんは私にそう話した。

私はその脱出するための方法を無意識のうちにしていたらしい。


『魂の感情はいろんな形で行われるんだけど……君が彼と行った干渉は…どうやら契約みたいな感じらしいね。君は彼と"その不屈の憎悪の核心を探す"という契約を結んだ。それを条件に彼は私たちを外に出さしてくれた……』


『めんどくせぇ野郎だな……』


リベルはそう言い、めんどくさそうな顔をするが……ロウワーさんはそんな顔はせず、むしろ慈悲の顔を浮かべた。

ロウワーさんはそっとその男性の首筋を見る。


『……やっぱり私と同じ悔人の紋章がある、私も彼も……悔人はいかなる時でも黒い後悔に呑まれてしまう可能性がある、彼はその後悔に呑まれてしまった、そして無意識のうちにも、制御が効かないくらいに感情が溢れ出てしまった……例えるならダムが崩壊して、水が止まらないみたいなもんだよ。』


『………………』


そうだったんだ……

彼は悔人、そしてその不屈の憎悪の核心?が関係して感情が溢れてしまった…?

正直全ては把握できないけれど、彼は苦しんでいたんだ。

でも、思い出したからわかる、悔想領域でのあの声はフリでもなんでもなく心から溢れ出た悲しみの感情が混じってた。きっと……助けを求めていたのかもしれない。


『世界は残酷にも、全て平等ではない。ある場所では人々が笑っていても、別の場所では常に誰かが苦しんでいる……現実世界でも、ここ偽りの国でもそうなのさ。彼はきっと修羅を潜り抜け、この村へ流れ着いたんだろう』


残酷にもこれは現実だった。


『………ォ……イ…………テ……』


すると男性が小声でブツブツと何か言い出した。

あの領域の時みたいに。


『つまり………俺らは俺の兄貴探し、そんでベルの正体、この世界からの脱出の方法、この男の……なんとかの核心探しと……一つ目的が増えたわけだ』


『あ、ベルのは初耳………そうなんだね……』


すると、男は急に言い出すのをやめた。

私は気づくと、男は手に何かを握りしめ、私に手を伸ばしてきた。


『………えっ?』


『………………君……に………』


男は小さな声で確かにそう言った。

私に何か……くれるみたいだった。

私は男へと手を伸ばす。


男は私に何かを手渡した。

その何かとは………


『……何これ?……まさかナイフ……?』


男が手渡してきたのは小さい小さいナイフのようなものだった。

カバーに収納されているが…随分と年季の入ったものだった。

ネックレスのようになっている。


『ねぇ…これって_______』


そう言うと男は黒いモヤと共に消えていった。

その場に残されたのは3人の人間と、男が残した一つのネックレスのみ。














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― 新着の感想 ―
これまで謎だった「悔人」やベルの正体に関わる要素が、「悔想領域」という形で一気に繋がった感じがして面白かったです。特にベルだけが違う幻影を見ていた理由や、「不屈の憎悪」という新たな謎が気になります………
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