第12話 禁忌の存在
ロウワーさんの診察所は午前10:00から開かれる。
現在時刻は8:00過ぎで色々な準備はあるので間に合うかはわからない。
私達は裏の建物へ移動するとそこは完全にロウワーさんの生活スペースだった。
キッチン、お風呂場、その他いろいろが揃っていた。
ロウワーさんは準備が忙しい中、私に朝ごはんまで作ってくれた。
私とリベルはリビングに移動し、リベルは朝ごはんを運んできてくれた。
『朝飯だとよ、、なんか悪いな、アイツの飯がお前にとってこの世界の初めての食事で。』
『謝らないでよ…作ってくれたんだから、私はそれが1番嬉しい。』
私はなぜリベルが謝ったのかはわからなかった。
だってこんなに親切にしてくれた人はリベルとロウワーさんが初めてだから。
でもなんでリベルが謝ったのかは次の瞬間に分かった。
出されたご飯は、薬草が入ったパン(パンが小さいため薬草がすごい盛られている)、薬草のサラダ、薬草のスープ、薬草焼き(!?)、薬草そのまま……というなんともクセのあるメニューだった……
『……薬草ってたくさん食べても大丈夫なの?』
『わからん…アイツはマジで薬草を好んで食ってるからわからん…』
『多分アイツ現実世界ではなんかの薬やってたんだろ…』
私はなんとか薬草メニューを食べ切った。
味の感想としては……自然の味がした。
お腹下したりしないよね……?
そう思っていた次の瞬間、診察所の方から村人の声がした。
『…なんだ?外がやけに騒がしいな。』
しばらくすると村人の声は無くなる。
一体なんだったのだろうか?
朝まで酔っ払いが診察所の前で騒いでたのだろうか?
(……気のせいかな…?なんか胸がざわつく…)
『朝飯も食べた…ロウワーのところでも行ってみるか。』
私とリベルはロウワーさんのところへ向かう。
私は薬草…の朝ごはんでも作ってくれたのは嬉しいので何か手伝いたかった。
だが、先程ロウワーさんが寝てた部屋に向かうもロウワーさんはいない。
『なんでいねぇんだ…?お手洗いか?』
そうリベルが言っていると、別の部屋からロウワーさんの声がした。
ただ焦っているような……そんな声だった。
リベルも声に気付いたようだった。
(なんで……?どうしてこんなにも…手が震えているの…?)
私は震えている手を反対の手で抑える。
『隣の部屋……診察室か?……ってなに手首握ってんだ?虫でも潰したのか?』
『……違う、ごめんなんでもない………』
リベルと私は受付へ行き、そこから診察室へ入ろうとした。
リベルは診察室のドアノブに手をかける。
でもそれを……私の心は否定していた。
開けてはいけないと。
だがその声は実際出すことはできなかった。
ドアが開かれると、ロウワーさんがいた。
その隣のベッドには……見知らぬ男性が横たわっていた。
『ロウワー……ってなんだコイツ?まだ診察所は開けてないだろ?』
『………っ"』
なんで私は気が付かなかった……?
近くに……こんなに強大なオーラを放つ人がいたのに。
遺跡で会った時の…リベルよりも黒くて…濁っているような……
そんなリベルより黒く濁った…まるで黒い鉛筆で塗りつぶされたような気配は、ベッドで寝ている男性から放たれている…
《ガタガタガタガタガタガタ…》
また手が震え始める。
必死に手を抑えようとするが止まらない、力が入らない。
私の心がこう言っている……触れるべきではない。
関わってはいけない。
"危険"だ……と。
『今朝他の人たちがこの男性を運んできて………って…
ベル…大丈夫か?顔色がすごく悪いよ……?』
『……そ、その人…"、誰……?』
私は声が震えていた。
『…わからないが……意識がない、今治療の準備をしてるけど…』
私の恐怖を感じ取ったのか、リベルは私の肩に手を置き……
『ロウワー、ベルを別の部屋へ連れて行く。』
ロウワーさんも私の何かを感じ取っていたらしく、
静かにうなずく。
リベルが私を連れて部屋から出ようとした瞬間。
《………か………え……せ…"》
静まり返った部屋に、声が一つ響く。
その声は…唸るような…そんな声だった。
『………ロウワー、お前なんか今言ったか?』
リベルの声も先程とは違う…
リベルも何かを察しているような声だった。
『…私はなにも…"』
リベルでも…ロウワーさんでもない…私も言ってない……じゃあ今の声は…
私はベッドの男性を見つめる。
《パリンッ!!》
天井にある照明のランプが割れて破片が床に散らばる。
私とリベル、ロウワーさんの3人は顔が青ざめる。
全員に緊張が走る。
やっぱり……
《………ま"………だ……"し……ね………な…い……》
その声は……気のせいかもしれないが男性の方から聞こえていた。
この黒いナニカは危険だ。
その危険は2人にも伝わった。
私たちは……とてつもない危険な存在と巡り合ってしまったのかもしれない。




