第11話 異能《アルス》
『君の…"異能"についてさ。』
アルス……?
また聞いたことのない単語だ、ロストといい…
この国は知らないことだらけ…
『アルス…って?』
『あー、それだけじゃ分かりづらいか……
俗に言う…"異能"さ。この世界には異能というものが存在する、全ての人間にね。人々はその異能を"異能"って呼んでる。』
『んで、君の異能ってなに???』
私はこの時思考が停止した……
異能…?そんなこと急に言われても理解が追いつかない…、
『えっと…情報が追いついてないんですけど………
あの…アルス?っていうのが私に…?』
『うん、君だけじゃなく私にも、リベルにもあるんだ。あ、君は堕ちてきたばかりだからすぐに発現するとは限らないのか…』
私もいずれ、異能が発現するらしい。
この世界では、人間は誰もが異能を持っている。
ただ、それがいつ発現するのかは人によって違うらしい。
本当に危険でもありすごい世界に堕ちてきてしまった。
『異能…って、どんな感じなんですか…?』
『ん?あー…私の異能は香りだね』
異能が香り……?
一体どういう力なのだろう…
『香り…って、ちょっと想像してたのと違った……炎、水、みたいな…そういうのかなって…』
私は異能と言われ、大体強かったりカッコいい力を考える。でも異能の種類は様々、香りなどこのような異能もあるのだろう…
『ははっ…まぁ最初はそう思うよね、でも残念。
異能っていうのは色んなのがあるから……こういう能力もあるのさ。でもリベルのはシンプルな異能だよ。』
そうするとリベルはめんどくさそうな顔をしながら椅子に座った。
『……俺の異能は"超強化"そのまんまだ。発動すると身体能力が上がる。だが発動条件が全くわからなくてな…もうランダムに起きると思ってる。』
リベルの異能は超強化というほんとにシンプルなものだった。
そしてやはり異能には戦闘向けのものもあるらしい。
でもランダムっていうところが少し残念に思った。
『まぁこの世界ではロストがいたり……生き抜く為には戦闘特化の異能がないとダメだよな、香りとかいう雑魚異能が可哀想だぜ。』
完全に煽っている……
早朝に素材集めをさせられてたのでその仕返しだろうか……明らかにわざとだ……
『あー結構言ってくれるねー…、異能は香りだけどちゃんと使えば戦闘にも使えるよ……"
香り、香りの中の成分まで操作できるから身体麻痺効果のある薬草を食べれば麻痺効果のある香りも出せるんだよ…?』
意外と強い……
ちゃんと強い異能だった。
薬草を食べれば…と言っていたが、香りを出す条件は薬草を食べること…?なのかな?
食べた薬草の成分で香りの成分も変わる……
『い、以外と強いんですね、香り……使い方だとロストにも対抗できそう…!!』
そう言うとロウワーはガッツポーズをし、喜んでいると身体で表現した。
まぁそれほど嬉しかったのだろう…
『そうそう!私の香りは強いんだよ!!超強化とか言う、脳筋みたいな能力よりもね』
『あ……っ』
見事なカウンターだ……
ロウワーも負けずと渾身の煽りの一撃をリベルに入れる。
毎日2人はこんな感じなのだろうか……?
『あ!?誰が脳筋だ_______』
次の瞬間ーーーーー
《コンコン!!》
するとドアをノックする音が鳴った。
だがこの部屋のドアではない……受付のドア?
患者さんが来たのだろうか?
『患者さんか…?おっかしいな、まだ診察所開いてないぞ……髪の毛ボサボサなんだが。
リベル、お前はベルから離れるな、あまりベルの紋章は見せていいもんじゃない。』
『言われなくてもわかってる』
ロウワーさんは部屋から出て、外のドアを開ける。
すると会話が聞こえてきた。
『ロウワーさん寝起きでしたか!すみませんねー。
でも今朝この村に"ルクス"が来たんですよ。』
ルクス?ルクスとはなんだろうか…
またしても聞かない単語……
『ルクス?なぜわざわざこんな田舎に来るんだ?』
ロウワーさんがそう質問する。
その…ルクス?がこの村にくるのはそうそう無いのか?
『最近この地域でロストの発生が多く見られるでしょう?だからルクスが注意を呼びかけてるんです。特にロウワーさんとこのリベルは素材集め言ってるでしょう?』
『あーあのバカねぇ、私のことが好きなのか知らないけど自分から取りに行ってくれるですよー』
多分ロウワーさんが今言ったのは嘘だろう……
なぜなら隣にいるリベルが拳をすごい握りしめている上、怒りで顔も凄いことになってるから…
『アイツにまじで右ストレート決めてやろうかな』
しばらくすると、話が終わりロウワーさんが戻ってきた。
『ただいま、なんかロストが増えてるんだとさ。だからリベル素材集めは……しばらくやめた方がいいかもしれないな。』
ロスト……あの遺跡で見た恐ろしい怪物が増えているなんて……一体でも怖いのにたくさんいたら…
考えただけでも恐ろしい。
でもリベルはどうなんだろう、あの時は戦いを楽しんでいるようにも見えたし……
(戦闘狂…なのかな?)
と、思ってしまった。
『あれ…?ロウワーさんは首隠さなくて大丈夫なんですか?』
罪人だと気づかれればロウワーさんも危ない。
そう思っていると、ロウワーさんからは衝撃の一言が返ってきた。
『あれ?リベル言ってないのか?私の紋章は悔人だよ?』
え?いま悔人……って言った?
リベルはこの世界の悔人は罪人を受け入れないと言っていたけれど…ロウワーさんは平気なのか?
『え?ロウワーさんは……罪人を受け入れてくれるんですか…?私なんかは…異質な存在ですよ?』
『え?まぁ確かに……罪人は危険な人が多いよ。
私はリベル以外の罪人とも会ったことがある。価値観が違ったり、おかしい人も多かったけど……』
ロウワーは先程座っていたリベルの椅子に座る。
『……私がリベルと出会った時…リベルからはそんな気配は感じられなかった。罪人だとは思えないほどにね』
リベルからは罪人だとは思えない…?
確かに不器用ながらも優しさは感じる……
リベルは本当に罪人なのか…?
私は消えない疑問が残った。
『あーもう過去の話はいいだろ、お前早くしないと診療開始時間になっちまうぞ。』
『あ!!そうじゃん!やばいやばいどうしよう……リベルは自分の部屋はあるけど…ベルの部屋がな……』
『まさかお前……俺の部屋にベル入れるとか言い出すんじゃないだろうな…?』
『あぁそれいいじゃん!!』
するとロウワーは待ってましたと言わんばかりに笑顔で答えた…
この2人は仲良い……で合ってるんだろうか……
《同時刻、村の入り口付近にて》
『最近ロストが増えたってなぁ……これじゃあ仕入れも難しくなるな……』
村人達はロスト発生の知らせを聞いて、困っていた。
『まぁ、すぐに収まるといいんだが……俺もあまり高値で村の人たちに売りたくねぇしよ…?』
『ん?お、おい!!あんた大丈夫か!!?
ちょっ…!誰かこっちに来てくれ!!早く!!』
すると1人の村人の声が響いた。
『…!?な、なんだ…!?向こうから聞こえたぞ!!?』
話していた2人の村人は声がした場所へ向かう。
すぐに2人は現場へたどり着いた。
『おい!どうした!?』
駆けつけると村人が1人……その前には
倒れた男が1人いた。
『な、なんだコイツ…!?この村の人間…じゃないよな?見たことない顔だ……』
『あんた大丈夫か!?俺の声が聞こえるなら返事をしてくれ!!』
村人が男へ聞くが応答はない。
完全に気を失っている。
『…ダメだ、意識がねぇ!!俺たちだけじゃどうにもならない!!ロウワーさんのところに連れてくぞ!』
村人は謎の男を背負い、ほかの村人と共にロウワーの診察所へと急ぐ………
今回今までの中で文字数が多いので異能まとめておきます!!
リベル→『超強化』身体能力を向上させるシンプル性能。*ただし発動条件が不明、ランダム?
ロウワー→『香り』香りを出すことができる。薬草などの特定の食物を摂取することで発動可能。香りの成分は摂取した薬草で変化する。




