生前贈与
今日も読んでいただきありがとうございます。暑くなってきましたので健康に気をつけてください。
ある日、たぬきが珍しく真面目な顔で俺を呼んだ。
「ちょっと家族会議するぞ。」
なんだ?
また俺を奴隷契約でもするのか?
そう思いながら席に着いた。
すると、たぬきが口を開いた。
「そろそろ、生前贈与するか。」
……え?
生前贈与?
年間110万円まで贈与税がかからない、あの生前贈与か?
俺の頭の中では電卓が動き始めた。
年間110万円。
10年で1,100万円。
おぉぉぉぉぉ!!
俺の目は完全に¥マークになっていた。
やっと報われる!
婿養子30年!
やっとボーナスの時間が来た!
すると、たぬきが紙を取り出した。
「よし。」
「まずは光。」
俺は頷く。
長男だからな。
「次に三月。」
うんうん。
「皐月。」
なるほど。
「みゆき。」
……。
…………。
………………。
終わり?
俺は恐る恐る聞いた。
「あの……俺は?」
たぬきは不思議そうな顔で言った。
「お前?」
「働け。」
……。
……。
……。
泣かすぞコラ。
俺の心の中は大絶叫だった。
こいつら……
どこまで腐ってやがる。
社長は俺。
借金も俺名義。
責任も俺。
仕事も俺。
家事も俺。
なのに、生前贈与ゼロ。
ここまでくると逆に清々しい。
俺は静かに心へ誓った。
こいつとは同じ墓には入らない。
絶対にだ。
これからもよろしくお願い致します。




