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「“跡取り”のはずが、ただの使用人だった」  作者: もり


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爆益

今日もみていただきありがとうございます。

たぬきが全国放送で面白おかしくかましたおかげで、会社にはいろんなところから仕事が入るようになった。


特に多かったのは、外装工事。


理由はひとつ。


「会長、また頭ぶつけてください!」


……そこかよ。


お客さんは、外壁よりも会長の頭に興味があるらしい。


たぬきは現場に行くたび、足場に頭をぶつける。


そしてそのまま、ずっと喋っている。


工事説明なのか、漫談なのか、もう分からない。


まあ、仕事が入るならいい。


そこで俺は考えた。


たぬきTシャツを作ろう。


金髪。


ネックレス。


足場に頭をぶつけて、びっくりしているたぬき。


それをプリントしたTシャツだ。


正直、全然かわいくない。


むしろ、ちょっと怖い。


だが——これが売れた。


売れに売れた。


北は北極。


南は南極。


……たぶんそこまでは届いてないが、気持ちとしてはそのくらい売れた。


注文が止まらない。


在庫が追いつかない。


会社の本業より利益率がいい。


建設会社なのに、Tシャツ屋みたいになってきた。


たぬきは調子に乗る。


「ワシ、世界いけるんちゃうか?」


……いや、いけてるのはTシャツだ。


本人ではない。


だが、不思議なものだ。


あんなに不細工で、あんなに小金持ち感丸出しで、あんなに面倒くさいたぬきが——


なぜか、世界に愛され始めていた。


美的感覚は、人それぞれである。

こらからもよろしくお願い致します。

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