権力
今日も読んで頂きありがとうございます。
株主総会で、少し強めに出た俺。
そして、それを会社経営の視点から見ていた税理士が、俺の意見に賛同した。
俺は思った。
……これで、この一族も少しは俺の話を聞くだろう。
だが——甘かった。
たぬきには、困った時のお決まりの言葉がある。
「あれ、君の上司の名前なんだっけ?」
「田村さんだよね?」
「俺、昔から彼とは仲良いんだよ」
「君のことも今度、田村に言っとくよ!」
でたーーー。
必殺。
“上司は友達だからお前の人生どうにでもできるぞ攻撃”だ。
毎回これである。
何かあれば、
「議員の○○知ってる」
「あの大会社の社長は俺の友達」
「昔一緒に飲んだ」
……いや、それ絶対一回名刺交換しただけだろ。
しかも本人は、本気で友達だと思っている。
そこがまた手に負えない。
もう聖徳太子ですら“古い知り合い”になりそうな勢いだ。
さらに始まる。
「俺の先祖は武士だった」
……知らん。
お前はただのたぬきだ。
俺は、税理士の顔を見た。
……汗かいてる。
だめだ。
こいつも、たぬきの空気に飲まれている。
それでも俺は、引かなかった。
「会社が健全じゃなければ、あなた達の未来も危ういんですよ」
そう言うと——
たぬきは鼻をほじりながら言った。
「そうだな、だからお前が頑張れよ」
……えーーー。
こいつ、本当に腐ってる。
だが——
今回の株主総会で、俺は少しだけわかった。
反撃は、できる。
今までは黙っていただけだ。
でも、もう違う。
次こそ——
俺の本気を見せてやる。
婿養子の反撃はじまる。
次回より狸を懲らしめに行きます。




