↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

1/10

プロローグ―1 夫との思い出の味、馬肉料理ー土方鈴の場合

 久々の「サムライー日本海兵隊史」の外伝になります。


 尚、設定等が分からない方もおられると作者の私自身も考えるので、最初の2話はヒロイン2人の回想を入れることにしました。

 まずは、ヒロインの一人である土方鈴の回想になります。



 土方鈴は、自らの記憶が正しければになるが、約150年に及ぶ自らの人生を振り返っていた。

 今の人生は2回目だが、今度こそ幸せになってみせる。


 最初の人生は、70年余りに及ぶが、本当に悔いが残る人生だった。

 明治25年、1892年に生まれた私は、幼馴染の同級生、野村雄と愛を育んで、お互いに18歳になる頃には結納こそ交わしていないとはいえ、周囲から許嫁と当然のようにみなされるようになっていた。

 そして、それに後から振り返れば、私は胡坐をかいてしまったのだ。


 雄が海軍兵学校に入って故郷から離れた後、私は生活費を稼ぐ為に懸命に働かざるを得ず、彼からの手紙にろくに返事も書かない有様だった。

 そうしたことから、雄は私の浮気を疑うようになり、又、雄の実家は、雄の上官、岸提督が家の娘婿にならないか、という打診に諸手を挙げて賛成する事態になり、で、雄は私と結婚しない、と言い出した。


 それに私は激怒して、雄を難詰し、強引に関係を持って、千恵子を産んだのだ。

 千恵子を産めば、雄は自分の下に還ってくる、と考えたが、雄はヴェルダンで戦死。

 幸いなことに、私は雄の遺言もあって、遺産の一部等を千恵子の為に受け取ることができ、それで千恵子を育て上げることができた。

 

 そして、千恵子は土方歳一に見初められて、土方伯爵家に嫁いで、その間に生まれた子孫、細かく言えば千恵子の曾孫として、私は生まれ変わってきて、同様に生まれ変わって来た雄と再会できたのだが。

 皮肉にも、雄と関係を持った他の女性3人も生まれ変わって来た。


 そんなこんなから起きた大騒動を鎮めるために、自分達はフランスに6年程も留学したのだが。

 その間に、自分や他の3人は、異なる歴史が流れた異世界(?)に50年余りも、一夜限りの夢(?)として赴く羽目になった。


 その世界では、雄は陸軍士官学校に進学して陸軍士官となり、自分と結婚して温かい家庭を築いた。

 そして、私は雄と幸せな最期を迎えられれば良かったのだが。

 皮肉にも、その世界では私と雄の子ども3人の内1人は幼い内に病死、残り千恵子を含む2人は戦死して、第二次世界大戦終結後、私と雄は二人で寂しい生活を送る羽目になったのだ。


(勿論、細かいことを言えば、私の実の甥姪はいなかったが、雄には実の甥姪がいたので、全く寂しい生活とは言い難かったが。

 そうは言っても、子どもに全て先立たれたという哀愁の想いを、私も雄も抱かざるを得なかったのだ)


 そうした中で、雄は何時か様々な馬肉料理を好むようになっていた。

 そして、私も何時か好んで共に様々な馬肉料理を食べるようになっていた。


 馬肉料理、私達二人の故郷の会津地方の名物料理の一つ、と言って良い料理だが。

 馬肉料理が広がった発端は、何とも皮肉なことに会津地方が戦禍に見舞われた戊辰戦争だった。

 その戦禍の中で生じた傷病者の体力回復の為に、食事に馬肉が提供されることになり、それで、多くの傷病者が身体を癒すことになり、それがきっかけで、会津地方では馬肉料理が広まったのだ。


 私が亡くなる直前まで、馬肉料理を食べる度に、雄はほぼ口癖のように言っていた。

「つい最近まで、将兵にしてみれば、戦場の馬は頼りになる戦友といえた。

 だから、馬肉を食べると言うのは、戦場を想うことだ」


 本当は、それ以上の様々な想い、千恵子や故郷等への想いが、雄の内心では溢れていたのだろう。

 だが、想いが溢れすぎて、それ以上のことは言えなかったのだろう。


 何十年も連れ添った妻として、私は雄の心情をそう推測しながら、共に馬肉料理を食べた。

 そして、私も馬肉を食べる度に故郷の会津を、更には千恵子等を偲び、涙を零すことが多かったのを思い出してしまう。

 御感想等をお待ちしています。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
 九州で馬肉料理と言えば“熊本”ひとつに絞られちゃう九州民からは遠く離れた会津の馬肉料理文化にはこれっぽっちの知識も無いけれど(・Д・)熊本の馬肉食の始まりが(自分の半可通な知識では)太閤秀吉による慶…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。