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竜王の学園生活  作者: 有原優


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第22話 棋譜並べ

「それにしても、なんで遥は将棋をするようになったんだろ」


 リサは、うつろな目で彼方を見る。


「将棋なんて興味がないような感じなのに」

「さあ、でも結構強かったですよ」


 将棋を初めて一月とかではあんな実力は出せない。

 少なくとも、竜輝とリサが仲良くなる前から、将棋を指していたのは目に見えて撮れる。




「そうだ」


 リサは携帯を取り出す。


「何をするんですか?」

「連絡するの」

「誰に?」

「遥に!!」


 リサは素直に言い放つ。その言葉から、これから何をするつもりなのかすぐに分かった。


「それ、していいんですか?」

「始めたきっかけを知るくらい、いいでしょ」


 そう、にっこりと笑うリサ。

 竜輝は、「まあ、そうですけど」と言って、将棋の駒をいじくる。


「そういう事」


 リサはにっこりと笑う。


 そしてリサは、スマホをいじくる。その間、竜輝はただ、将棋を指していく。

 棋譜並べだ。

  名局中の名局である、五年前の名人戦の棋譜を指していく。


 リサが連絡とってる間暇だったからという事もあるけれど、シンプルにリサにかっこいいところを見せたかったからという事もある。


 ちなみに棋譜は全部脳に入っている。有名な棋譜は大まか暗記しているのだ。

 それこそ、数学の公式の暗記をすることや、歴史の教科書の有名人物の経歴を覚える事とたいそう変わりはない。


「何してんの?」


 連絡を取り終えたリサが竜輝の将棋盤を見ながらそう呟く。


「将棋を指してるんですよ。棋譜並べです」

「へえ」

「この将棋は、名局なんですよ」


 そんな事を言いながらどんどんと駒を進めている。


「覚えてるの?」

「暗記してますから」


 竜輝は自信満々の顔を見せた。


 これこそが狙いだった。リサに対していい顔が出来る。


「自信満々だね。最後まで並べて見せてよ」

「任されました」


 そう、自信満々に竜輝が答える。

 そして並べていく。上手く行きすぎて正直嬉しい気持ちでいっぱいだ。

 竜輝は調子よく棋譜を進めていき、

 そして手の意味を解説していく。


 そんな竜輝の姿を見たからか、粧裕も竜輝の元へと来た。

 リサが呼んだのだろう。

 竜輝はそのまま指していく。

 その顔は真剣そのままだった。


「やっぱり竜輝君凄い」


 そうリサが言うと、「兄さんなら当然」と凛が勝ち誇ったかのような顔を見せる。


「ありがとう」


 そう、竜輝が言うと、「どういたしまして」と、凛が言う。


 そのまま、二人が将棋を指すことになり、なんだかいつの間にかリサとの二人きりだった時間がいつしか沢山の人に囲まれている。

 だけどこれはこれでいいやと思えた。


 その後家に帰ると、リサからメールが来た。


 「遥、実は竜輝君の事が好きなんだって」


 その言葉に竜輝は家の中で「は」と声を漏らす。


「兄さん、どうしたの?」


 と、凛の声。取り繕うように、


「実は、リサさんからメールが来たんだ」

「なに?」

「僕の事を好きな人がいるって」

「に、に、兄さん!! それはどういう事」


 こちらに向かってくる凛。その表情はとても焦っているようだった。


「凛、たぶん将棋としてのですよ」


 何しろ、粧裕もそんなことを言ってたんだから。


 そして凛をなだめた後、竜輝は再びメールを送る。


『それは、将棋棋士としての僕が好きだという事ですか?』


 その言葉に、既読は突いたけれど、すぐに返信はこない。


 竜輝はその待ち時間・ひたすらに緊張していく。


『言いたくないって』

『なるほど』


 言いたくないとはどういうことですか、と竜輝は書きたかった。だけど、その直前で指が止まった。

 こんなことをリサに送っても困ってしまうだろうなと。

 明日遥さんに訊くしかない。そう竜輝は思った。


 そして、竜輝は伸びをする。


「凛、将棋を指そう」



 そう、提案した。

 すると凛は「指したい!!」と、笑顔で言う。


 ストレスがたまった、訳の分からないときはもう将棋を指したほうがいいのだ。

 そしたら、ストレスも晴れるだろう。


 その凛都の将棋、竜輝の圧勝で終わった。約86手での出来事だ。



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