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竜王の学園生活  作者: 有原優


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第19話 登校

 その日、帰ってきてから凛と二人無言の時間を過ごす。


(気まずい)



 竜輝にはどうしたらいいのか分からない。


「ねえ、凛」

「なに? 兄さん」

「凛は本当に劇で良かったの?」

「ん。兄さんと出来るなら何も問題ない」

「そうか」


 それならよかったと、竜輝は胸をなでおろす。


「じゃあ、一緒に」

「ん?」

「お風呂入ろう」

「入らないよ!?」


 竜輝が驚くと、凛は少し残念そうな顔を舌。


「兄さん」


 そしてまた改まる。


「兄さん、もう数局将棋を指しましょう」

「いいね」


 竜輝としても、少々将棋熱が残っていた。それに、二日後にはまた対局日だ。

 将棋の実践感覚を戻しておきたい。


 それに――


 先程はそこまで長い時間感想戦は出来なかった。

 感想戦で手の良し悪しを研究することで、将棋の対局は棋力向上の種になる。


 そして凛が将棋盤を置く。


 二人は将棋盤の前に座り、そして互いに向き合う。そして将棋を指し始めた。


 その空間は二人、無言で将棋を指していく。


 そして、感想戦をして再びまた指し始める。そんな時間が過ぎた。


「兄さん」


 将棋が終わったタイミングで、凛が口を開く。


「一緒にお風呂入ろ」

「それはだめ」


 竜輝は慌てて首を振る。そんなのはだめだ。

 倫理的に男女が一緒にお風呂に入るなんて。


 凛は唇を強く噛む。それを竜輝はじっと見る。



「兄さん、昔は一緒にはいってたでしょ」

「それは子どもの時ですよね」


 竜輝と凛は一緒にお風呂には入ったことがある。


 だけどそれは凛が三歳。竜輝が五歳の時だ。

 当時の竜輝に凛に対する異性への気持ちなどという物は無かったのだ。


 だけど今は好意こそそこまではないが、確かに竜輝には女の体に興味を持ってしまっている。

 きっと、変態みたいな反応をしてしまう。


「無理です」


 竜輝はそう、強く断りの言葉を入れた。

 凛は大事な妹分だ。

 そんな彼女に性欲なんて言う物を向けたくはない。


 ただ、ただ凛は中々引き下がらない。


「お願い」そう、手を合わせて来る。

 竜輝はその熱心なお願いに、思わず頭をかく。


「それでもだめだよ」


 竜輝がはっきりというと、凛はそっぽを向いた。

 それを見て、


「もしかして嫉妬してるの?」


 そう、竜輝は問うた。

 竜輝だって嫉妬の感情を覚えたことはある、


 リサと話す他の子たちに。それがあるから、凛の気持ちも分かるのだ。

 竜輝はずっと人見知りで、まともに喋れる相手が凛しかいなかった。それなのに、親し気にリサと話していたのだから。


 凛は頷く。


「凛、今度二人で出歩かない?」


 竜輝のその言葉に凛は頷いた。




 お風呂で竜輝は顔を抑える。

 また恥ずかしいことを言った気がする。

 凛が本当に嫉妬に絡んでいるのかも分からない。あの頷きも別の頷きだtぅたのかもしれないのに、歯や合点してしまったかもしれない。

 いや、竜輝は首を振る。

 そんな事を考えていても仕方がないじゃないか。

 今は取り合えず、今日の一日の疲れを癒さなければ。


(それにしてもなんで、凛は僕に懐いてるんだろう)



 もっと他に良い人はいるし、凛には兄もいる。

 それなのに、僕になつくのは変だ。

 家を、学校に行く拠点を借りたいから。そう考えてもすこいし変だけど。



 それにしてもさっき、凛にあんなことを言われたからか、ここが凛が入っていたお風呂という事を思い出される。

 竜輝は水を救い、それで顔を洗う。

 そして、変な妄想はよそうと、自分を律するのであった。



 その翌日。また学校に行く。


「おはよう竜輝君」


 マンションの入り口にリサがいた。それを見て、竜輝は少しうれしい気持ちになる。


 今日は凛もいない。彼女は先に学校に行った安心する。


 今日は二人で登校できる。



「それにしても昨日はあの後大変だった?」


 その言葉に竜輝は頷く。


「大変でした。一緒にお風呂に入りたいって言い出して」

「え?」


 リサが驚く。その顔を見て慌てて竜輝は否定する、


「一緒には入ってません。流石に断りましたよ」

「だよね」


 そう言ってリサは安心したかのような顔を見せた。

 それを見て、よかった否定出来て、安心をした。



「竜輝君、私ともお風呂入ってみない?」

「え?」


 竜輝は分かりやすく固まる。


「冗談だよ間にしないでよ、もー」


 リサはそう言って竜輝の背中をパンパンと叩くが、竜輝には冗談だとは思えなかった。

 結構真に迫った表情をしていたからだ。

 そこに二人がやってきた。

 遥と幸也だ。


「おはよう、リサ」


 そう、幸也がいい、遥が、「立花君もおはよーね」と言った。


 それに対し竜輝もなんとか「おはようございます」と返す。

 二人切りに慣れなくなるのは少しいやだが、それでも嫉妬心なんかはそこまでは生まれなかった。

 勿論実はリサと幸也が付き合っているなんて言われた暁にはすべてを恨みたくなるだろうが。



 その時竜輝はそうだ、と思った。

 告白とかいつかしなければならないのだろうか。

 何しろ、彼が幸也がリサと付き合っても文句は言えないのだ。

 幸也にとられる前に、リサに告白とかした方がいいのかな。

 竜輝の頭がパンクしそうになる。


 それを見てか、リサが「竜輝君、どうしたの?」と言った。


 いつの間にか顔を除かれていたもので竜輝は軽く後ろに後須佐利をする。

 遥も、「大丈夫?」と言って竜輝を見ている。「めっちゃ顔青くなってたよ。風邪?」

「いや、そんな事はないです」



 そう答えたけれど恐らく信憑性は無いだろう。それこそ今の竜輝の表情で。


「何かあったら言ってよ」


 リサが言うと、竜輝は黙って頷いた。



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