第11話 ゲーム
「勉強つかれたでしょ、ゲームしましょ」
「それなら、良いゲームがありますよ」
そう言って竜輝は、ホラグナイトバーサスの画面を見せた。
「知ってる。画面見えてたもん」
「知ってたんですか」
竜輝が困り顔で言うと、リサは「あはは」と笑った。
何しろ竜輝は元から彼女がこのゲームをしていることを知っていた。
遥たちとその話をしていたことを知っていたからだ。
「竜輝君も、このゲームもしてるの?」
「うん」
竜輝は頷いた。
「面白いですよね」
その竜輝の言葉に、リサも「うんうん」と頷く。
「でもさ、竜輝君がこのゲームをしてるの以外」
「え、意外?」
まさかそんな事を言われるなんて。
「竜輝君はゲーム興味ないと思ってたから」
「そんな事思ってたんですか」
そう言って、竜輝は軽くため息をつく。
「僕だって人並みゲームは大好きですよ」
「本当に?」
竜輝はこくんと頷く。
勿論ハマった理由にリサがいないかと言われたら否定せざるを得ない。
だけど、好きなのには変わりはない。
「そんな事はいいですから、やりましょう」
「竜輝君、いつもよりも積極的だねえ」
リサがにやにやしながらこちらを見る。
「そんな事言わないでくださいよ」
「好きだから?」
「え?」
竜輝は一瞬そう言葉を漏らしたが、すぐにゲームの事だと理解し、
「うん、ですね」と言った。
とはいえ先程の興奮がまだ残っている。どきどきはするものだ。
そして早速ゲームを開始する。
ゲームの内容は単純なスマホゲームだ。
襲い掛かってくるモンスターを倒す。それだけだ。
そして二人協力で、難しいクエストもクリアできる。
それは、一人じゃ到底クリアできないところも。
「じゃあ、ここ行こうよ」
そこは難関クエストだ。
運営側からは、協力してクリアするべきクエストではないと指示されている。
しかし、その難易度から、ソロでクエストをクリアするのは正直ほとんど不可能だと言われている。
「出来るかな……」竜輝が弱音を吐くと、
「大丈夫!!」と、リサが元気づけてくれる。
そしてさ早速ゲームが開始された。
二人でスマホを触り、ゲームが開始される。
互いにキャラは環境キャラを育てている。
レベル100で、追加装備もほとんどテンプレの物を用いている。準備
「じゃあ、やるよ」
「うん」
そしてリサがスタートボタンを押す。
すると、モンスターが早速襲い掛かってくる。
「いきなりですか」
竜輝はそう叫び、敵の攻撃を回避しながら、通常攻撃を連打していく。
「竜輝君、上手い!!」
リサが叫び、軽く嬉しくなる。
しかし、今はそれどころではない。喜ぶよりも敵を倒す方が先だ。それに、
「田島さん、援護してください」
そう言った。
敵はどんどんと襲い掛かってくる。
「分かってます!!」リサが力強く言うと、遠距離攻撃をどんどんと放っていく。
そして竜輝がダメージを負えば、回復スキルを投与してくれる。
竜輝にとってなんとなくそれが、暖かかった。
一緒にプレイが出来ているという事実だけでありがたいのだ。
竜輝は変わらず攻撃を仕掛けていく。
――これは将棋ではない。
将棋ではないからこそ、脳よりも判断の速さ、運動神経が適応される。
しかし、将棋と似通った部分もしっかりとある。それは、敵を孤立させることだ。
敵のヘイトを買い、それをしっかりと引き寄せ、リサのキャラに向かないようにする。
そして、もう一つ。敵の注意を引きつけ、集団から孤立させる。
今、竜輝の脳は活性化している。それこそ、将棋を指しているみたいに。
リサと一緒にゲームしている興奮。それよりも、ゲームに熱中してリサを支えるという気持ちの方が大きい。
リサにダサい姿を見せたくない。
そのままどんどんと最深部へと進んでいく。
ダンジョンの深部。そこで、ボスがいる。
「竜輝君ボスだよ」
「はい、そうですね」
目の前にいるボス冴倒せば勝ちだ。
ボスはどしんと居座る。ドラゴンだ。
『ギャー、ドラゴンよ』
ゲームキャラが叫ぶ。
『あのドラゴン、ただものじゃないわ、気を付けなさい』
そして、戦いが始まる。
「田島さん。スキルを溜めてください」
竜輝は叫ぶ。ため技。その間敵のヘイトを集めてしまう事が難点だ。だけど、
「僕が守ります!!」
竜輝がそう言ってスキルを使った。
ガードスキル。耐久力を高めつつ、攻撃も上げる。所謂バフ技だ。
更に攻撃にスタン効果を追加する。
「任せたわよ、ナイト様」
なんて、リサは竜輝に向けて叫ぶ。
「分かりましたお姫様」
竜輝はそう胸を張りながら言い、ドラゴンにとにかく攻撃を加えていく。
しかし減っていくボスのHPは微々たるものだ。中々本格的な削りはいれられない。
リサに向かってくるドラゴンを必死で止めようとしている竜輝。それは、まるでナイトのような感じだ。
リサの回復魔法は期待できない。しかし、体力がゼロにならない様に上手く立ち回る。
「たまった!!」
リサが元気よく言う。その言葉に、「分かりました」と言った。そしてリサの攻撃が放たれる。その攻撃はドラゴンの体力を半分も削る。
ドラゴンのHPは黄色ケージになる。あと少しだ。
「回復するわ」
リサに回復してもらう。半分まで回復したその後もひたすらに攻撃していき、ついにボスのドラゴンを倒した。
あと少し何かがずれていたらクリアできなかった。そんな難関クエストだった。
「やったね」
「はい、やりました!」
そう二人でハイタッチをする。
リサとハイタッチで来た熱情。それは竜輝の中にしっかりと残っている。
そして、その後しばらくゲームや勉強を続け、ついに解散の時間になった。
竜輝は玄関に出る。
「立花さん、今日はありがとうございました」
そう、粧裕が頭を下げた。
「僕こそ、今日は楽しかったです」
「粧裕さんも、将棋が強いと思います。このまま続けて行ってください」
「はいっ!! いつか奨励会に入ります!」
粧裕は元気よく言った。
「そして、凛さんみたいに、強い女性になります」
凛、親戚の名前を聞き、竜輝は少し嬉しくなった。
「そこは、竜輝君みたいな、でしょ」
「かもしれないです」
そう、粧裕は笑顔で言った。
そして二人に手を振られながら竜輝は家を出る。
そして竜輝はその帰路(歩いて一分もない道だが)を、うきうき気分で帰っていくのであった。




