第42話 襲撃③
ふと総合PV・ユニークアクセスを見てみたら、なんと!
160,000万PV、ユニーク29,000となっていました。
こんな拙い小説をそんなに読んでもらえてると知って暫く愕然としました。
これからも頑張ります!
「少し本気を見せてあげましょう。失われた魔術、黒魔術 森羅万象」
グラナダがそう言って手を振るとそこには赤、緑、青、黄の4色の玉がくるくると回転していた。
そして急激に速度を上げてこちらへと突っ込んでくる。
「まずい!地竜剣アードよ、防げ!」
「守護の騎士よ全てを防ぎ守りたまえ!聖剣召喚、アロンダイト!」
レウスが大剣を地面に突き立てると岩の防壁を作っていき、勇者は召喚した聖剣アロンダイトで結界を張る。
ズッ……ガァァァァァァァンッッッ!!!
4色の玉は結界と防壁に触れた瞬間に崩壊し、凄まじい衝撃を生み出した。2人の作った結界と防壁は数秒と持たずに崩壊した。
「影渡り!」
自身の影に入ってレウスの影から出ると俺はレウスと勇者の2人を抱えて直ぐに影の中に入って闘技場の外の影へと出た。
その瞬間、闘技場は消滅した。
闘技場があった場所は8割異常が更地になっていた。そしてその中心には巨大なクレーターが出来ていた。それだけであの魔法の威力がわかるというものだ。
「無事か?」
「俺は大丈夫だ、問題ない」
「僕も大丈夫」
俺は両脇に抱えていた2人を地面に下ろした。2人の顔はこの破壊跡を見て驚愕に染まっていた。
「ふむ、まあこんなものですか。それなりの威力は出ましたね」
自身が起こした破壊跡を気にもせずグラナダはこちらへと歩いてきていた。手には相変わらずに細剣を持っている。
「………レウス、少し任せた」
「……おう、任せとけ」
あまり言葉は交わさずとも、何かをするということを感じとってくれたレウスが大剣でグラナダに斬りかかっていく。
「おらぁぁぁぁぁぁあ!」
「無駄です」
「僕もっ、いる!はあっ!」
「む、ならば【邪炎】」
レウスの斬りおろしを細剣で受け流し、勇者の聖剣での切り払いを魔法で迎撃する。その動作には無駄がなく、余裕を感じさせた。
「防げ、アロンダイト!」
「まだまだぁぁ!」
聖剣アロンダイトで魔法を防ぎ、魔法を放った状態のグラナダをレウスの大剣が襲う。それでもグラナダの防御を崩すことができない。
だが、
「………第十二之太刀 奪無!」
「なっ⁉︎」
何もない空中からグラナダの背後に現れた俺の一撃は無防備なグラナダの背中を斬り裂いた。
「ぐぅぅっ⁉︎」
「喰らえ、岩牙剣!」
「聖なる十字!」
岩が竜の顎を形作りそれを大剣に纏わせたレウスの一撃が、光魔法を纏わせた聖剣アロンダイトの二連撃が、それぞれ背中のダメージで一瞬無防備になったグラナダに叩き込まれた。
「がはっ!ゲホッゲホッ⁉︎……くそ、どこから君は出てきたんだ⁉︎」
吐血しながらグラナダは俺にそう問いかける。それに対する俺の返答は1つ。
「教えるわけないだろ。バ〜カ!」
「っっっ!」
口の端をニヤリと持ち上げ、不敵な笑みを浮かべて俺はそう言った。まあ、影の道化が発動してるせいで顔は仮面に覆われていて見えないんだけどな。
ネタばらしをすると単純に装備品の効果だ。俺が前、遺跡で見つけた死神のローブ(ローブと言っても形はコートだった)は度重なる戦闘で返り血や俺の血を多量に吸い、進化して血塗れの死神というコートになった。
所々に紅い魔法陣の様な装飾が施されたそのコートは死神のローブを更に強力にしたような効果を持っていた。鑑定眼で見るとこうなる。
名称 血塗れの死神
等級 超常級(上位)
類別 外衣
効果 【中級魔法以下無効】【斬撃耐性】【衝撃耐性】【透明化】【臭遮断】【魔力遮断】【気配遮断】【流血付与】
説明 超常級防具、『死神のローブ』が多くの血と魔力を吸って上位の防具へと強化された姿。
能力は全体的に向上している。
この装備の【透明化】【臭遮断】【魔力遮断】【気配遮断】を使った状態でスキルの空間機動で空中に跳び、怠惰と強欲の合わせ技で一撃を決めた。
奪無は海龍を仕留めたほどの一撃だ。グラナダも流石にこれをマトモに食らったのでもう戦えないだろう。
「諦めろ、お前の負けだ」
強欲を喉に突きつけ、宣告。だが、グラナダはその言葉に耳を傾けるでもなく、かといって逃げようとするでもなく、ただただ強欲を睨んでいた。
「…れが……」
「?」
「………それが!それがローズを奪ったんだぁぁぁぁぁ!!!」
「なっ⁉︎」
ガギィィンッ!
目にも止まらぬ速度で振り上げられた細剣で強欲が弾き飛ばされた。離しこそしなかったが体勢が崩れた。即座に後退して構え直す。
「来い、闇腐龍!ケルベロス・ロット!」
「ギャオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!!」
『ぐおおおっ⁉︎』
「「「アオオオオオオオオオオオンッ!!!」」」
『なっ、にぃぃぃっ⁉︎』
上空から黒い龍が、離れた荒野から三頭の番犬が、それぞれの相手をしていたクリアとグレイを押しのけながらこちらへとやってきた。
「全力で潰すことにしましょう」
闇腐龍とケルベロス・ロットを後ろに控えさせ、グラナダは細剣を納め、懐から羽根ペンを抜いた。
「失われた魔法 黒魔術。溶岩濁流、風刃旋風、氷乱海原」
羽根ペンは魔法の威力を上げる効果があったのだろう、先ほどの森羅万象などと比較にならないほどの魔力が増幅されている。
更にそれに加えて、俺が受けた呪いと同じようなモノも付与されているように感じた。
「影渡り…駄目だ、足りない。くそっ、こうなったら………影の家!」
「おい!テツヤ!何をする!」
「なっ、これは⁉︎」
『主⁉︎』
『主よ!早くこれを解くのだ!』
闇魔法で闘技場近辺を無理やり巨大な影で覆う。この戦場も、離れた王城も、民家も、冒険者も、騎士も、王も。王都ごと影で覆った。
その状態で影の家を発動する。するとどうなるか、答えは王都ごと全ての人と物が影の中に沈み込む。
ーーーー俺を除いて。
「■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■!!!」
『■■■■■■■■■■■■■!!』
レウスやグレイが何かを言っているが聞こえない。まあ、きっと怒っているのだろう。
この影の家は一種の異空間に繋がっている。つまり、この中に入っていれば攻撃は一切受けない。
だが、入るのには少し時間がかかるので戦闘中には使えない。また、影のあるところでないと使えないし、影に入るサイズのものでないと入れない。
また、出るときはサイズは関係ないが影がないと出られない。つまり外に誰かがいるか、何か影を作っているものがないと出てこられないのだ。
おそらく、あの攻撃はここら一帯を全て吹き飛ばすほどの威力があるだろう。つまり俺が残らないとみんなが出てこれない。ま、俺が死んだら死んだでどこかにランダムで出てくるだろうが。
結局何が言いたいかというと、俺は家族を、友を、失いたくない。なら、守るしかないよな命をかけて。
ドッ…………プンッ
全てが影の中に消え、その場に俺1人になった時、俺の目の前には既に完成した魔法が放たれる寸前だった。
「俺には似合わないがやってやるさ」
魔力の殆どを失い、傷だらけ。そして妖刀に精神を侵食されすぎて全身ボロボロ。
だが、
「うおおおおおおおおおおおおっ!!!」
大切な家族を守るため、俺は跳びだした。




