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死にたい僕と殺したい彼女  作者: 風戸輝斗
第四幕

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第24話 逆襲

「なるほどねー。れーくんはずっとさくさくの手のひらの上で踊ってるわけだー」


 ポッキーを咀嚼しながら、興味の欠片もないような声で奈子は言う。


「そうなるな。ところでれーくんってなんだ」

「ん、怜太でしょ。だかられーくん。君っていい子なんだねー。そんな馬鹿正直に話すなんてさ」

「今話したことがすべて真実であるという保証もないぞ」

「いや、あんだけ熱量込めて語っておきながら嘘でしたわ無理があるだろ」


 久留実が冷めた瞳を刺してくる。単細胞なこの子に下に見られるのは少し悔しい。


「彩子も千代も嫌いだけど、大っ嫌いだけど。れーくんのことはちょっぴり好きだなー私。シンパシーを感じるっていうか、同族の匂いがするっていうかー」

「俺も感情が明け透けな奈子ちゃんのことは嫌いじゃないよ。久留実ちゃんもね」

「ずっと気になってんだけど、どうして久留実ちゃん呼びなんだよ?」

「久留実という呼称は恋人専用らしくてね」


 久留実がぽっと頬を赤くして、勢いよく奈子に視線を刺す。なにも見なかったことにしよう。


「で、さくさくに勝つ算段はついてるの?」

「あぁ。ついてるよ」

「私と久留実が手を貸さなくても大丈夫な感じ?」

「そうだな」

「ちぇっ、つまんねぇのー」


 ぶんぶんと足を振り、奈子は久留実の膝にこてんと頭を乗せる。動揺してわたわたする久留実を見て、奈子はうれしそうにしている。反応に困るから怜太の前でイチャつかないでほしい。


「強いて言うなら、YouTube Liveにできるだけたくさんの人を誘導してほしい。頼めるか」

「おいおい。こちとら腐ってもDREAMERSだぞ。毎年全国まわってるアイドル舐めんな」


 ニッと久留実は白い歯をみせる。奈子はさておき、久留実が協力的であることには驚いた。


「ありがとうふたりとも」

「無償じゃないからね。ちゃ~んとれーくんには相応の対価をもらうからね。だからまー、ちょ~嫌だけど、少しの間だけ彩子と千代の味方してあげるよ」

「ったく、陰鬱な話のせいで胸糞悪くなっちまったじゃねぇか。アタシは中途半端が嫌いなんだ。だから阿久井怜太、しっかり勝ってスカッとする話持ち帰ってこいよ」

「言われずともそのつもりだ」


 彩子も、千代も、奈子も、久留実も、これ以上傷つけさせない。

 何故なら四人は、かつて怜太と美香に希望をくれたアイドルだから。美香が愛したアイドルだから。


 母が好いていたものを、怜太の宝ものを 今度こそ護ってみせる。

 今はもう、あの頃のように無力じゃない。


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