第8話 神の直感
主人公は、転生した時に付与される様々なスキル(力)について提示されましたが。
転生すれば与えらえると言う様々な力。
その提示をして期待した感じの御子神が「と言う事で、ゲームに似た世界に転生しますよね」と言って来るが。
「しませんけど」とハッキリ言っておく
「な。なんで~」と、信じられないって感じで言ってくるが。
「いや。神様なんだから、察してくださいよ」
「え~ん。泣いてやる」と、神様のはずなのに、雲の地面に横たわり駄々っ子の真似をしてこちらに譲歩を求めて来る。
「冷静になってください」
そう言うと起き上がり「なんで、これだけ用意したのにダメなの?」と言ってくるが。
「いや。普通に街道を移動していたら、上からドラゴンが襲って来て死んだ事とか、何回もありましたよね。
首都の宿で寝ていたら、竜王のブレスで吹き飛ばされて死んだ事もあったか」
「……。まあ、そんな事があの世界でもあるから」
「なのに、この程度の力で『安心だから転生します』って言うと思います?」
「だって君の世界だって、交通事故で死んだりしているじゃん」
「いや。事故とは違うでしょ。
言い換えたら、生活圏内に戦闘機とか戦車とかに乗っている凶悪な虐殺者がウロウロしている世界なんですよ。
仮想でしかないゲームでも無ければ、行こうとは思わないですよね」
「……。駄目?」
「駄目ですね」
「分かった。他の神々と協議して、君を無理やり転生させる」
「……、はぁ。
今度は脅しですか。
無理やり転生させた処で、嫌々だと生き残ろうって意識が足りずに、すぐに死んで無意味になりますよ。
慎重に死なない様にプレーしていたって、あれだけ死んだんですから。
まあ、断言はしませんけど」
そう言うと、神様は無理やり転生させても駄目だと思い至ったようで、考え込んでしまった。
そして、どうしようもない事を言ってくる。
「……。
そう言えば、君はゲームでは、各国の王女や聖女や貴族令嬢や街の娘達を救おうと、色々なクエストをクリアしていたよね」
「ええ。ゲームですからね。
それに、あの人達は助けると優秀な仲間になってくれるし」
「彼女達、まだあの世界でも生きているよ。
でも、そう遠くない未来に死んだり奴隷になったり監禁されたりする事になりそうだけど」
「しょうがないですよ。
そう言う世界だから行きたくないんですから」
「お。男なら好きな女性を救う為に、ドンと転生しようよ」
「どうせ、ゲームと違って全員は助けられないんでしょ。
それに、好きな人達が、可哀そうだと思った人達が、アッサリ酷い死に方をしていく世界だから、転生したくないんですけどね。
ゲームなら、セーブロードでやり直せるし、悲惨な目にあうのも追加で買った各プレイヤー用の設定集とか読まない限り気が付かないし、気が付いた処で所詮ゲームだからと大した痛みを感じませんし」
「いや。君が行けば、現実の彼ら彼女らを何人かは救えるかもしれないでしょ」
「俺も、好きなキャラに該当する人達も死ぬと思いますけど」
そう言うと、絶望的な感じになった様に見え始める神らしき存在。
ちゃんと、人の事が分かっていれば、転生させられる人の事を考えれば、転生後にどうなるかを予想すれば、その程度の事分かるような気がするけど、まだ初心者の神なのだろうか。
そんな事を考えているのも伝わったのかもしれない。
「……、にゃ~!」と、沈黙した後、何故か叫ぶ神らしき存在。
「にゃ~?」と、俺が怯えていると。
「ちょっと待っていて」
そう言って、また掻き消える神らしき存在。
いや。
待っていてと言われても、何処へも行けないんだよな。
そう思っていると、また数十秒後に戻って来た。
「皆に、これが最後の大きなチャンスになるかもしれないって話して、許可を貰って来たよ」
「は?」
「『3つの願い』って強力な神の愛情である恩寵もあげる。
何でもでは無いけど、多くの事を3回だけ叶えてくれる力。
対価として君の寿命を3歳貰うけど、ステータスが上がれば若い期間が延びるし、若返りの雫ってアイテムもあるから、実質リスクなしで3回だけ願いをかなえられる」
「ああ。何度も願いをかなえてくれって言うのは駄目なんでしょうね」
「うん。駄目。
だけど、このスキルを持っていれば、人の蘇生すら可能。
しかも、君が死んで魂だけになった状態でも使えるから、死んでしまった自分を生き返らせる事すら可能だ。
どう。
これで転生してくれるよね?」
「しませんけど」
「が~ん」
「いや。だって、数十回繰り返しプレイしていたとはいえ、死なない様にプレイしていたのに百回以上も死んでいるんですよ。
しかも、多分あの嫌な支配階級の人、もっと酷いでしょ」
「その通りだけどさ」
「それに、もう俺は人として存在するのが嫌なんです。
この世は苦界って嫌という程思い知らされましたし、もう、これ以上嫌な目に遭いたくないんです。
だから、俺に渡す力を、他の人に渡して転生させてあげるか、あの世界に生きる人に渡してくださいよ」
「……。
やっぱり、確信したよ。
あの世界の人族を救う為には、君と言う存在が必要だと」
と、何故か冷静になった感じの神様。
「今の発言で、どうしてそう言う思考になるんですか。
いや。
俺如きにそんな事を言うなんて、どれだけ人材不足なんですか」
思わず、そう突っ込んでしまう。
「否定はしないさ。どうも人材は偏りがちだったしね」
「駄目だこりゃ」
「よし。3つの願いスキルには、僕らが認める行為をすれば、神の力により新たに回数を付与する事にしよう。
3回を超えるのもOKにして」
「いや。俺以外の人に力を渡してくださいよ」
「単純に消え去りたいではなく、他人に力を渡してくれと言えるキミだからね。
他の連中は、僕を馬鹿にした感じでもっとチートをくれないと行かないとか、不安だからもっとチートをくれとか、異性にもてる力をくれとか、自堕落に生きられるなら行くとか、悠々自適で生活できるのなら行くとか、楽に世界が手に入るなら行くとかだったのに。
そう言ってこない君は、真面目に僕の迂闊さを指摘してくる君は、やっぱり今までの人材とは違う」
「気のせいですって。
それに俺の意思も聞いてくださいよ」
「ふっ。僕の直感が告げているのさ。
君なら大丈夫だと」
「そんな直感が頼りになるなら、人族滅びそうになっていないでしょ。
もっとちゃんとして」
「何でそんなに消え去りたいのさ。
ああ。
あの人の事がいまだにトラウマなのか」
その言葉に、嫌な過去がフラッシュバックした。
嫌な過去とは。




