第5話 滅びそうな人族
主人公は、神らしき存在に、転生してくれと説得されている様ですが。
神らしき存在は、転生すれば優遇されているよ、とか言ってくるが。
俺は転生する気がないので「駄目ですね」と強めに断言したけど。
「……。チートスキルがあれば、行ってくれるんだよね」と、少し考えた感じの後、諦めが悪く聞いて来るが。
「あれも、聞いてみただけですけど」と、ハッキリそう言うのだけど。
「でも、今居る世界に絶望はしているんでしょ」と、俺の言葉尻を捕まえて、しつこく言って来る。
正直、押し売りか詐欺師の手法だ。
そう思ったので、ゲームでの事を思い出しつつキツメに「ええ。でもあんな世界に行っても、惨めに無残に死ぬだけでしょ」と怒りを込めて言っておく。
でも「いや、君は出来るだけ死なない様にプレイしていたよね」と俺の怒りは通じていない感じだ。
「それでも、嫌と言う程死にましたが」
そう言うと「いや。189回だけでしょ」とか言ってくる。
よくもまあ、そんなの把握しているもんだ。
数十回、最初からやり直したゲームだから、そんな回数になっているんだけど、だとしても死に過ぎだろう。
それに、死んだ回数だけが問題じゃないし。
そう思いつつ、神に対してこちらの認識を言っておく。
「あれがゲームでなければ、1回で終わりですけど。
しかも189回って、こりゃ駄目だってリセットボタン押した回数やロードした回数が入っていないでしょ。
それとも、命を10万個ほどくれるんですか」
「そう言う事か」と少し納得した感じになったが、俺の嫌な気持ちは伝わっていない感じだ。
「ひょっとして、神と人の認識の違いって奴ですか?」
そう聞くと、説明が始まった。
「君が居た世界には、何らかの絶望を一定以上で持つ人が永遠と修羅への道ってゲームをしたくなる世界の理が事後的にだけど織り込まれていたんだよね。
それで、絶望を持った人にゲームを通じてエターナルエンデバーの世界を知ってもらう。
その上で今の世界に居るより、ゲームに似た世界に行きたいって人達をエターナルエンデバー迎え入れ、エターナルエンデバーの人族が繁栄する事を期待していたんだよね。
だけど、このやり方ではエターナルエンデバーの人族の勢力はあんまり改善しなかったから、今回はゲームをしていた人の中で良さそうな人を探し出して、こちらからお誘いしてみたんだけど……。
ここまで拒絶されるなんて」
「……、いや。その人次第でしょうけど、僕は嫌ですよ」
「まいったな。どうしよう」
「と言う事で、世界に戻してもらえますか。
まあ、このまま消滅させてくれても良いですけど」
「どうしても駄目なの?」
「今の世界より、快適に幸せに暮らせるのなら、事故で死んだ両親も送り出しましたし、身内は金儲け主義の確認しようのない気持ち悪い事を言っている新興宗教に入っている弟だけしかいませんから、転生だって考えますけど、そんな世界じゃなかったですよね」
具体例を入れて拒絶しようとしたんだけど、余計な事を言ってしまっているか。
なんて言うか、未熟な子供と言う感じから可哀そうになって余計な事を、また言ってしまったのかな。
いや。
転生するように、思考誘導とかされているんじゃないだろうな。
意識をしっかり持たないと。
「……、そうだよね。快適に、幸せに、か」
「一応、念の為に聞いてみましたけど、駄目そうですね。
では、元の世界に戻すかこのまま俺を消滅させてください」
そう言ったのに「ちょっと、待っていて」と自称神様は消えてしまった。
と数十秒で戻って来た。
「他の神に話は付いた。
チートスキルも幾つか渡せるよ」
「全然意味が分からないんですけど」
「え~と、エターナルエンデバーは、人の神、魔族の神、魔物の神、精霊の神の4派閥が主として係わっているんだ。
その各派閥に話を通したから、君にチートスキルを渡せるんだ」
「は?」
「え~と、君も知っている通り、エターナルエンデバーでは人族は滅びそうでしょ」
「はい」
「人族が滅びると、人族陣営から得られる力とか文化といったモノが無くなるし、多様性が無くなると決まった事しか起こらない面白みのない世界になりかねなし、競い合う相手が減るのも良くないし、と言う事で、他の神々も人族が完全に滅びる事は望んでいないんだ。
だから、さっきも言ったけど、滅びそうな人族への支援と言う事で、君のいた世界で永遠と修羅への道って言うゲームを開発し、そのゲームによりエターナルエンデバーの知識を与え、転生しても良いと了承してくれた人を、あの世界に招待し人族を強化する。
そう言う、よくある救済策を他の派閥の神々に認めてもらって実行して来たんだけど。
全然改善しなくて、皆に怒られそうになっていると言うか、本当に困っているんだよね」
そう早口で説明してくるが。
「なら、人族の腐った支配階級とか殺しまくった上で、神様が直々に指導すれば良いんじゃないですか」
そう半分嫌みで言ったんだけど「まあ、それが有効な手段なのかもしれないけど、流石にルール違反で出来ないよ」と困った感じで言ってくる。
その感じからすると、それ以外にも面倒で嫌なのかもしれないな。
そう思いつつも、転生は嫌なので提案は続けてみる。
「他にも、もっと人族をまともな性格にするのでもいいでしょうし」
「でも、人ってあんなモノでしょ。
未成熟な文化・文明、教育の不備だけでなく、嫉妬・プライド・独善・劣等感・独占欲と言った感情が、あの世界の人族の性格を悪くしているのだろうけど。
でも、そう言うのを減らすと、強くなろうって意識も弱くなるって両親や先輩の神に聞いているんだよね」
「なら、文化・文明を進歩させたり教育をちゃんと行う世界にしたりすれば良いですよね。
まあ、滅びない様にと言うのなら、あの世界に生きる人の素質・才能を増やすので良いでしょうから、俺が転生する意味ないでしょ」
「……、本当に転生が嫌なんだね」
やっと俺の本心を理解してくれたようなので「嫌ですし、あの世界に住んでいる人達の事をもっと考えてあげてくださいよ」とお願いしてみたのだけど。
主人公は、お願いしてみたようですが、話の通じない感じの神様の様ですし。




