第43話 魔物の領域
主人公は、街道から離れた場所で魔物狩りを始めるようです。
それは。
街道から離れると、直ぐにGランク程度の魔物が目につき始める。
まあ、感知にはずっと引っかかっていたけどね。
そこでポポとチモに埋没を掛け待機せる。
この辺ならほぼ安全な筈だから。
街道を移動中にドラゴンの奇襲で死んだ事があるけど、それを言えば王都でもだからね。
それは、まあ、置いておいて。
本来、街道から離れる事は、『魔物の領域に入る』と恐れられている事だ。
だけど、それ程離れなければ、街道を移動するのとそれ程変わりがないとも言われているが、その辺の判断が普通の人には難しいからね。
幸い俺は、その辺の判断が出来る斥候系の力を持っている。
なので、自分が倒せる程度の魔物しか、周りに居ないと確認できる。
それでも、漏れがあったり、隠れて接近してくる奴が居たりするから、注意なんだけど。
まだ、街道からそれ程離れなければ大丈夫の筈。
そう言い聞かせていても、「ドクン、ドクン」と心臓の音が大きくなった気はするし、嫌な汗を流し始めたが、意を決して更に街道から離れる。
すると、魔物がFランクになり始める。
うん。
この辺からかな。
スライム、ファングボア、ビッグキャタピラー、ビッグリザード、ビッグフロッグ、キラーグラスが、それなりの密度で居る。
それを順次倒し始める。
戦利品が美味しいのは、魔石だけでなく皮と肉も落とすファングボア、糸玉を落とすビッグキャタピラー、傷薬草を落とすキラーグラスか。
それを倒しまくって、戦利品を亜空間収納で収納していると、Eランクっぽい魔物が出始める、と言うか接近する事になって行く。
感知出来ているから良いけど、あそこの木に居るのはビッグスパイダー。
あっちの木にはビッグマンティスか。
そう思っていると、草をかき分けてやって来たのは、ビッグスネイクだった。
巨大なヘビの魔物。
幸いEランクの魔物だ。
さっきまで感知出来ていなかったのに「さぁぁぁ」と言う音を感覚強化スキルが感知すると共に、感知スキルにも気配が感知出来た。
接近されるまで気が付かないとは。
そう思いつつ、火矢と念じてロックオンし、『強く強く速く速く』と念じて放つ。
それで、魔法を強化できるから。
その強化した火矢を撃ち込むと、焦げ臭い匂いをまき散らし頭部が灰となってくれて、掻き消えたかと思うと魔石になる。
こわっ。
前世で爬虫類嫌いだったからな。
しかし、テレビで見たアナコンダ位大きかったか。
何より接近されるまで感知出来なかった上に、動きが速かった。
魔物にもランクに応じたステータスがあるからな。
今の俺だと街道を離れるのは、やっぱり危険なのか。
まあ、魔物の領域と呼ばれ繰り返し『入るべきではない』と教わったくらいだし。
そう思うと同時位に、後ろから激突され、地面に叩きつけられた上に擦り付けられる。
クソッ。
感知スキルと感覚強化スキルが教えて来る情報では、猛禽類らしき魔物が、俺を爪で組み伏せた上に嘴で俺の後頭部を突こうとしている、と分かる。
両手は肩を爪で抑えられているから動かない。
ヤバイ。
火矢。
そう念じて、後頭部の後ろに発生させる。
「キィィィ」
攻撃しようと思っていた部位との間に、火矢を発生させたことを怒っている様だが、知るか。
そう思いつつ、火矢を『強く強く』と強化し、『いけっ』と猛禽類の頭部に撃ち込んで、奴の頭部を焼失させた。
ギリギリの戦闘を終えて、周りを見渡す。
目視による敵の確認だ。
感覚強化スキルは視覚も強化してくれるので。
はあ。
死にかけた。
1級職とは言え、LV10と言うステータスが育った状態でなかったら、死んでいたかもな。
そう思いつつ、戦利品を見ると、宝箱が発生している。
中味を確認すると、Eランクの魔石とネイルファルコンの羽8個とミスリル貨14枚と銀貨が18枚。
それらを回収すると、宝箱は魔素に戻って行くが。
……。
レベルは、まだ上がらないか。
しかし、どうすればいいんだ。
補佐さんは意識していなかったけど、そう考えていると補佐さんが答えて来る。
【感知漏れは、結界魔術スキルの感知結界を張っていれば減らせます】
「ああ、そっか」
【結界魔術はLV3から防御結界を張れるので、感知の為の結界ではなく、攻撃を防ぐ結界も張れます。
結界魔術スキルは現在LV6なので最大30個まで結界を作れるので、防御結界を半径3メートルで、感知用の結界を最大50メートルで張る事も可能なので、それを推奨します】
「防御結界。感知結界」
そう口に出すと、具体的な設定を聞いてくるので、無色透明の防御結界を害のないモノは通す標準設定で半径3メートル、同じく無色透明の感知結界を半径50メートルで張った上に、これをデフォルトの設定にし、何も指示をしない時は、この設定で張ってくれるように指示をしておく。
「これなら、さっきみたいな無様な事は無いのか」
【無いと断言はできません。敵次第ですから】
「とは言え、力を使いこなせていない俺がダメなだけか」
【その為に私が居ます】
「補佐さんに頼り過ぎると、自分で思考する事が無くなる。
それは不味いって思っていたんだけど」
【危険な状況だと思う場合、経験のない状況の場合は、考えた後、私に聞くので良いかと】
「はあ。他には、どんな方法で完全を確保できるの?」
【仮装スキルの埋没を行い、埋没が解除されない程度の動きをしながら魔物を狩る方法もあります】
「……チッ」と迂闊な自分に舌打ちしつつ、自分自身に埋没を掛ける。
そして「はあ」とため息を付くしかなかった。
主人公は、出来る対策を行わずに危険な魔物の領域に行っていた様です。




