第38話 旅立ちの朝
主人公は、転生時に付与されたけど無い事になっていた素質・才能を開花させ、職業レベル上げと従魔を得ると言う一日を終えました。
そして、生まれ育った村から旅立つ予定の次の日です。
朝起きると、見知らぬ天井。
ではないか。
前世の記憶ベースだった昨日よりは、今世の記憶も前面に出て来ているのだろうか。
それとも、二つの記憶が奇麗に一つになり始めているのだろうか。
前世だと、建て替える前の子供の時に住んでいた家だけが夢に出てきたんだけど、今だとどの家が夢に出て来るんだろう。
そんな事を考えつつ体を起こすと、俺の様子を伺っているのが2匹いる。
「ああ。おはよう」
「ポッポー」(おはようございます?)
「キューキュー」(目が覚めた時も挨拶するんだ)
「昨日寝る前にも言ったけど、人それぞれだし、言わない日もあるけどね。
だけど、挨拶は基本って人や、大切って考える人も居るからね」
そう昨日より細かい事を言って、自分に生活魔法の洗浄を掛ける。
今までだと、井戸まで水を汲みに行くか、水ガメの水を桶に入れて顔を洗っていたけど。
ふう。
体全体がさっぱりしたか。
「ポー」「キュー」と澄んだ目で『僕達は?』と言う感じの2匹にも洗浄を掛ける。
それで、朝食の準備にかかる。
と言っても、感知スキルで探られているかどうかを確認し、昨日の夜作った魔物肉のスープと言うかごった煮に火を入れて一人分を皿に盛り、感知の魔力の届き難そうな処に言って鍋を亜空間収納に入れ、パンを取り出す。
その後は、期待した感じでこちらを見ていたポポとチモにも餌を出してあげ、水の入った皿も置いておいてあげる。
その間に、そしてスープとパンを食べて、トイレも済ませる。
この家や村とは。
両親との思い出の場所とは、今日でサヨナラなんだ。
そう思いつつ、今朝の作業に入った。
チモに、玄関のすぐ外に格納箱から木製のコンテナを出してもらい荷物の移動。
2匹は、家の中で所在なさげにしていたが、手伝わせると何が何処か分からなくなる気がしたから、まあ、良いだろう。
亜空間収納内なら意識を向けるとキッチリ全て把握できるし、収納目録の魔法を使えば名簿が作成され目の前に表示出来るから、格納箱内から亜空間収納内に移動させて把握後、また格納箱に戻せば良いだけなんだけどさ。
昨日大分移動は終わっていたし、寝る前に袋や箱に詰めていたから、作業はあっさり終わったか。
チモの格納箱に木製のコンテナを格納。
まあ、貴重品を俺の亜空間収納に入れるかどうかは迷ったけど、村に出てからする事にした。
という事で、家にしてあった座標刻印を消滅させ、空になった家とその思い出に別れを告げて、村長の家に行く。
ちょっと豪華なセメントみたいなので造られた家だけど。
父や母は、『いざと言う時に逃げ込んで籠城できる城壁付きの館にすべきなのに』って言っていたか。
その家の門をたたくと50歳くらいの人間の男性の村長が出来た。
「なんだ。ショウソウか」
「はい。昨日職業を得たので、修行の旅に出ようと思っているんです。
それで、鍵を預けておこうかと。
既に払っている土地の賃借料とかの払い戻しは良いので、年が変わるまで俺が借りているって事にしてください。
畑を手伝ってくれていた人達に、今植えているのくらいは、収穫してもらうつもりなので。
でも、年が変わっても帰って来なかったら解約という事で」
そう言いつつステータスウィンドウ内の契約欄の情報が発言通りに変更されているのを確認していると「職業を得たのなら、村にだって幾らでも仕事があるだろう」と文句を言う感じで村長は言ってくるが。
「広い世界を見ておきたいんですよ。
年を取る前に」
そう当たり障りのない事を言ったんだけど「いや。村にも幾らでも幾らでもあるだろう」と村長には響かない様だ。
「はあ。俺を昨日まで無能者と見下していた連中と、一緒に生活をしたくないんですよ」
そう言うと村長は「そんな理由なのか」と眉をひそめているが。
「村長も、無能者って村中から見下されてみれば分かりますよ」
そこまで言うと、多少は理解してもらった感じに。
「では、行きますね」
そう言って、村長宅から別に家に向かった。
主人公は、村長に土地の賃貸借の解約を申し出たようです。
ちなみに、ステータスウィンドウに表示され世界の理によっても管理される契約は、契約時には必ず契約スキル持ちの人に行ってもらう必要がありますが、解約と契約変更時に契約作成スキル持ちの人が必要か必要ないかは、最初の契約時に細かく何ならスキル持ちが必要ないかを決められると言う設定です。




