第3話 悪夢の始まりか
主人公は、無能者と言う絶望を抱えたまま就寝しました。
明日は16歳の誕生日。
この世界で成人となる日です。
何かが起こるのでしょう。
明かりもただではない、と暗くなったので就寝する。
すると、やたらリアルな夢が始まった。
いや。
思い通りに体とかが操作できないのは夢と同じだが、やたらリアルと言うか。
何かが変だ。
『混乱なく、前世や息子との邂逅を思い出してもらう為の、追体験だね』
なんだ、この声は。
そう思っている間にも、前世の記憶らしきものが、今現在の感覚で押し付けられてくる。
俺の記憶が呼び覚まされているのか……。
そう思った時に、意識が暗転し、そこに世界が広がった。
世間の風潮により、少し改善したブラック気味の会社。
そこでの仕事を終えて一人しか住んでいない家に帰り、食事をとって風呂に入り、酒を飲みつつお笑い番組を見る。
寝る前にゲームでもするか。
あの事を思い出してしまうから、戦闘系のゲームはずっとして来なかった。
なのに、何故か両親が事故で死んでから始めたゲーム。
世界レベルで流行っていて幾つかのゲーム機で出来るRPGの『永遠と修羅への道』。
悪い意味でも有名で、ストーリーの一部がリアルなのは良いのだけど、ゲーム内のNPC(ノンプレイヤーキャラクター:コンピューターが操作するキャラ)に屑が多く不愉快な思いをする事が多い。
しかも、そう言う奴は、権力者だったり強いキャラだったり。
まあ、そう言う奴を倒したりして世直し感はあるのだけど、負けたり、失敗したり、選択を間違ったりするとすごく不愉快。
更に、ストーリーがゲーム機毎、ユーザー毎に自動作成されるから、ストーリーに関する攻略情報が役立たなかったりする。
まあ、スキルシステムや職業制に関する事は統一されているから、そう言う部分の攻略情報は役に立つけど。
それに、オンラインゲームと違いセーブロードは出来るから、嫌な思いなんて忘れてやり直せば良いし、そのユーザー名とゲーム機で再スタートしても全く同じストーリーになるし。
だから、メモを取って置いたり、追加コンテンツの各個人ごとの設定資料集の購入で、まあ嫌な事なんかは回避出来るんだけど、オープンワールド形式程では無くても、自由度が高いゲームだからな。
不愉快な目にあう事はある。
でも、その程度ならまだ良いのだろう。
実は、人食いゲームとか神隠しゲームとも呼ばれている。
と言うのも、ゲームを起動したまま、忽然と消えた人が全世界で数百人いるから。
でも、世界全体で数百万人の人がやっているゲーム。
なので、今の処は大きな問題とはなっていないが。
ゲーム自体は、それなりにリアルで奇麗な映像で、ヘッドセットにより3Dでも通常のディスプレイで2Dでもできる、それなりの自由度のRPG。
そして、NPCなんて、その表情とか動作とか人かと思う程のリアルさ。
勿論、会話とかになると、決まったパターンのやり取りしか出来ないけどね。
でも、クエストなんかで関わると人臭い酷い描写も多く、俺は嫌いなタイプのゲームかな。
ゲーム内で人の嫌な部分を見せられては、現実に対する気分転換にならないし。
それでもまあ、面白い処もあるし、綺麗だし、他のゲームを始めるのも面倒なので、続けているゲーム。
何で続けているのか、よく分からなくはあるが。
まあ、オフラインゲームだからかな。
俺は基本どのタイプのゲームでも、自分も仲間のキャラも死ぬのが嫌だ。
あの事を思い出しそうになるから。
だけど、セーブロードで無かった事に出来るし、蘇生アイテムがあるし、蘇生魔法も身に付けられるから、しばらくすると慣れて普通にゲームを楽しめるようにはなった。
そう言えば、人気ゲームである理由が分からないゲーム、とも言われていたか。
俺自身も良く分からないけど。
そんな事も考えつつ、寝る前に『ひとプレイ』とヘッドセットを被りゲームにログインすると、何時もとは違う、何もない、ただただ白い場所に出てしまう。
いや。
下は平べったい雲みたいな状況だし、いい香りもしているし、どこからか光もまぶしい程に注がれている。
『匂いなんて機能は無い筈なのに、何これ?』と思っていると、目の前に透明で光を放つ人が現れる。
背丈や雰囲気は、子供みたいな感じだけど。
神の子供?
御子神ってやつかな?
そう思っていると「あれ? 強制イベントかな?」と俺の口から今の俺の意志ではない言葉がこぼれる。
「初めまして。間宮 正蔵くん」
『え? 俺のキャラクター名は、ショウソウだった筈だけど。
あれ?
俺の名前だ』
そう思っていると、その存在が話し始める。
「僕は、エターナルエンデバーって世界も管理する『人の神』なんだけど、君はそのエターナルエンデバー。
つまり、『永遠と修羅への道』って言うゲームに似た世界に行ってくれるよね」
「は? ……、行きませんけど」
そう俺がハッキリ言うと「ああ。やっぱり、駄目か」と、落ち込んでいる感じ。
意味が分からないので「何が、ですか?」と聞いてみると。
神との邂逅の様です。




