第2話 世界の理にある職業制
無能者の主人公。
その人生は、14歳の時に大きな転機を迎えたようです。
この世界では、職業が世界の理によって定められ、全ての人が生まれた時から就いている。
勿論、それとは別にパン屋とか兵士とか言う、その人がどういう仕事をしているか、という生業もある。
しかし、それは世界の理によって管理はされていないので、世界の理に定められた職業と区別する為に仕事職と呼ばれている。
その様な世界の理にある職業の内、生まれた時に就いているのがノービス職。
これは、卒業する為だけの職業だ。
つまり、殆どの人が16歳になるまでに、職業の才能を開花させそれ以外の職業に就ける様になる。
なのに、その当たり前の職業の才能の開花が無い俺は無能者だ。
周りからは、見下され、哀れまれる存在。
それでも14歳までは未だ余裕があった。
でも、14歳のある日から俺の生活は一変した。
両親が、帰って来なかったから。
父は酒を飲んでいる時に
「魔法で魔物の感知は出来るけど、それだけでは力不足なんだ。
だから、斥候系の力を持つ仲間が欲しいけど、良い出会いが無いからしょうがない」
とよく愚痴っていた。
だから、斥候系の仲間が居ないと見つけられなかった魔物の奇襲で死んだのかもしれない、と推測している。
まあ、単純に強い魔物に遭遇し負けたか逃げ切れなかったのかもしれないが。
俺が0級職のノービス職であるのに対し、1級職、2級職、3級職、4級職、5級職、6級職と言う職業の分類がある。
まあ、6級職は国単位でも一人もいない事が多い勇者職だけだから、除いて考えるべきかな。
で、1級職は、ほぼ100%の人が成人になる前に就ける事になる職業。
俺は就けないけどね。
この1級職は、細かく言うと生産者、戦士、斥候、魔法使い、神官、動物使いって6職に分かれるんだけど、まあ、それはいい。
2級職になると4~5割の人が就ける。
これに対し、3級職になると5人に1人以下の人しか就けないと言われていて、4級職だと更に減って20人に1人以下の人しか就けない。
そして父は、4級職の魔道騎士と言う戦闘力のある職業についていて、冒険者としての稼ぎが良かった。
母も、4級職の大賢者と言う戦闘力のある職業に就いていた。
ただ、職業に転職した時に様々な力を持つスキル得て、職業レベルのアップによりそのスキルのレベルが上がっていくとは言え、スキルには『才能高い』、『才能普通』、『才能低い』、『才能無し』と言う違いがある。
それも人毎にスキル毎に才能が違う。
例えば、母の場合は水魔法が才能高いだった。
なので、それに関連する魔法使いや賢者と言った職業レベルが2上がる毎にスキルレベルが1上がる。
まあ、一度その職業レベルでスキルレベルが上がったら、もう同じ職業レベルではスキルレベルが上がらないと言うのもある。
なので、スキルの才能は高い方が良い。
つまり、才能高いスキルなら職業レベルを上げる事で素早く結構な能力持ちになれるから。
その才能高いに対し、才能普通だと職業レベルが5上がると、スキルレベルが1上がる。
才能低いだと職業レベルが10上がってスキルレベルが1上がる、と言った理だから才能高い以外はスキルレベルが上げ辛い。
まあ、これが才能無しだと、そもそも職業に就いた時にスキルが得られないんだけどね。
で、父は才能高いが剣技と槍技スキルだけだった。
母は、水魔法スキルだけだった。
だから、弱い魔道騎士と大賢者だって笑っていたけど。
まあ、それでも4級職だったから腕力、知力、耐久、精神、俊敏、器用、HP(生命力)、MP(魔力量)と言ったステータスは高く強い筈なんだけど。
でも、スキルの力を最大のLV10MAXまで鍛えられているのは、二人合わせてもその3つしかないって話だったから、水魔法とか物理攻撃に耐性のある魔物か、単純に強い魔物にやられたのかな。
いや。
父は火魔法とかがLV9だったし、母も土魔法とかがLV9だったから、他の力もあったか。
父が懸念していた通り、感知出来なかった魔物に奇襲を受けたか、単純に4級職でも勝てない魔物にやられたか、か。
何にせよ、俺は両親より強い職業に就きたかったのに。
それも、出来れば両親が求めていた斥候系の力を持つ。
早い人なら5歳で職業を得る。
もし、14歳のあの日までに、俺が斥候系の職業を得て一緒に魔物を狩りに行っていれば、二人は亡くなったりしなかったのだろうか……。
まあ、もう今更だけど、両親が駆け落ちでもしたのか、魔物に家族が殺されてしまったのか。
祖父母や叔父・叔母の事を教わっていない俺は、世界に一人きり、なんて感じる事もあるから、そんな事をクドクドと考えてしまう。
いや。
祖父母や叔父・叔母が居ても、この喪失感は変わらないか。
正直、胸が痛むが、今更どうしようもない。
ちなみに、この村では1月の間帰ってこないと死亡扱いになるそうだ。
その期間が経過した為に二人の形ばかりの葬式をした時に、
「息子が無能者だから、捨てて王都にでも行ったんじゃないのか」、
「俺は今でも邪魔な無能者を捨てて村を出て行ったと思っているけどな」、
「無能者が死んだら、ひょっこり戻って来るんじゃないのか」、
とか言う声が聞こえて来た。
両親が帰ってこない事実に悲しみ落ち込んでいる子供に聞こえる様に言うんだからな。
無能者だと思って、馬鹿にしやがって。
まあ、4級職で最大限に鍛えていた両親が帰ってこないと言うのは、俺も信じられない気持ちはあったけど。
幸い14歳と言う年齢もあり、ある程度シッカリしていたのと、両親の与えてくれていた愛情からそれは無いだろう、と思えたから良かったけど。
それでも、嫌みを言った彼奴らの事は二度と忘れない。
村と言う狭いコミュニティだから、それなりに係わってはいるんだけど、早くこの村から出て縁を切りたいと言うのに、このありさま。
両親は、日帰りの魔物狩りだと言っていたし、危険な魔物狩りに行くなんて言っていなかったのに帰って来なかった。
もし、魔物を狩る仕事をするなら、両親以上に強くならないと駄目だ。
そう決意したのに、無能者。
まあ、それなりに強かった両親の稼ぎによる貯えが今の俺を生かしてくれている。
そして、その力を仲間には惜しみなく使っていてくれたおかげで、未だに俺が助けてもらえると言うのもあるんだけど。
でも、一生助けてもらい続ける事は、不可能だろう。
だから、俺自身の努力で職業の才能を開花させるチャレンジを続けるしかない。
職業やスキルの才能を開花させてくれると言う『昇華の神酒』と言うマジックアイテムなんて、両親の遺産でも買えるはずが無いし。
今日もそんな焦りを持ちつつ、食事を食べ、外が暗くなると同時に寝る事にした。
主人公は、寝ている間に、この世界での成人である16歳の誕生日を迎える様です。
何かが起こるのでしょう。




