第28話 加護と恩寵
主人公は、火魔法スキルの使い勝手を試した後は、魔物狩りに戻る様です。
森の入り口から少し奥に行くと、Gランクの魔物だけでなくFランクの魔物が居る。
Eランクは……。
そう考えて一時的に感知範囲を広げてみたが、1キロ圏内には居ないか。
でも、強めの感知を意識するか指示していないと、管理されているとはいえ障害物がある森だと感知漏れがな。
かといって半径1キロ以内を強め及び詳細に感知し漏れを無くせと感知スキルに指示すると、MPがそれなりに減り始める筈なんだよね。
まあ、俺の場合は魔力源泉スキルもあるし、何とかなりそうではあるんだけど、今度はMPを使える量が異常ってバレそうだから。
それに、強く・詳細に感知を行うと、基本的には逆探知の危険性も高くなるって話だし。
とは言え、奇襲されるのが怖いので、森の奥の方のみ感知の魔力を伸ばすように指示をする。
感知スキルがLV6になり、探索の魔力に感知する方向とかを指示できるようになっているから。
後は感覚強化スキルに、魔物についてのみ強く感じろと指示をすれば、それ以外の気配や匂いや音を感じ過ぎて判断が遅れるって事は少なくなるって教わったから、それも行っておく。
で、MPはどんな感じ、と思っていると、7匹のファングウルフがこちらに向かってきていると感知してしまった。
こっちが風上で匂いが流れてバレルのかな。
そう思いつつ『補佐さんヘルプ』だ。
そう言うと、今の俺の力での戦い方を教えてくる。
へ~。
弱く仮装後でもなんとかなりそうか。
そう納得したのでファングウルフに向かう。
念のために『韋駄天の加護ON』と指示し、デフォルトに指定してある俊敏50%UPの方の効果を得る。
そして、「魔力よ、敵を討つ火の矢となれ」と一応詠唱をして、まだ単発しか撃てない火矢を発生させ、魔法の強化を行う。
『最大限に遠く、速く、強く』。
そう念じて、射程に入り次第撃ち込む。
で、俺は奴らの反対方向にダッシュだ。
弾系及び矢系魔法の有効射程は、基本50メートル。
だけど、指定すればもっと射程を伸ばせる。
でも、今の俺だと火矢の射程を延長しても精々百数十メートル。
教科書によると、Eランクの足の速い魔物は時速100キロ以上(秒速27.7メートル)で走れるって話だから、魔法の加護持ちで詠唱が必要ない俺でも単発しか撃てないから接近されるまでに撃ち込めても2~4発程度。
偽装工作の詠唱なんてしたらもっと少ないだろう。
数を減らしきれない。
なら、時速100キロ以上をもっと遅くすればいい。
俺が逃げ出す事で。
と言っても、前世より筋力が上がっているとしても、まだ1級職でしかない俺のステータスでは時速30~50キロ程度でしか走れないだろう。
不整地だしね。
幸い、敵を見てロックオンしなければならない訳ではない。
感知スキルで感知している気配に対しても火矢をロックオンできるし、目の前に表示してある3Dマップ上の赤い点であるモンスターにロックオンして撃つことも可能の様だ。
なので、「ザッザッザッザッ」「ハッハッハッハッ」と言う足音と息の音に聞きつつ、全力で逃げつつ、詠唱を一応して後ろに射程とスピードと威力を強化した火矢を撃ち込む。
詠唱なんてすることに拘らなければ、風弾とかで弾幕を張って力技で倒す方法もあるんだけど。
そう思いつつ逃げつつ7匹中4匹を倒したところで追いつかれ、足にかみつかれそうになったので振り向きざまに剣を振るう。
それで飛び退いた奴に火矢と念じてロックオンして撃ち込む。
「ギャイン」と鳴きつつ、それで頭部を燃やされ戦利品となっていくファングウルフ。
後二匹。
ああ。
時間を掛けると不味いと分かっているのか、二匹同時に足にかみついてくるので、一匹の頭を剣で叩き割る。
その隙に足にかみつかれ引っ張られるが。
そいつに、剣を振るうと飛び退ったので、火矢と念じてロックオン。
でも、それを撃つ暇もない勢いで首を目掛けて飛び掛かって来たので、剣の突きを口の中にし、剣をそこから切り下げて止めをさした。
はあ。
また怪我したよ。
木に登ってそこから火矢を撃ち倒す、森が火災にならない様に注意しつつ弾系魔法を撃ちまくって数を減らす、と言う選択肢の方が良かったのかな。
ファングうフルは狼よりステータスが高く、結構木の上の方まで登らないと飛び掛かって来る。
弾幕を張るのなら程度を考えないとMP量が多過ぎるってバレル、って注意事項があったから、走ったんだけどね。
そう思いつつ、補佐さんに治療方法を聞くと【状態異常耐性がもうLV6なので、万能薬までは必要なく傷治療薬で良い】との事。
強くはなっているんだけどね。
そう思いつつ傷治療薬を飲み、補佐さんから教わった、ファングウルフ7匹に対する気になった対処法について聞く。
『その辺の魔物を倒した事により魔法使い職がLV7になった事にし、魔法の加護を使って火魔法をLV4にするってどういう事?』
【魔法使い職がLV7になれば、火魔法がLV4になり、火矢が同時発動可能化します】
『うん。それは気が付いている』
【魔法の加護は、ノーマルスキルである魔法を付与又はすでに身に付けているノーマルスキルの魔法のレベルを1上げる事が可能なので、その力を使い火魔法をLV4にすれば、ファングウルフ程度なら問題はありません】
『それだ』
【加護と恩寵について説明しましょうか?】
『ああ。それはゲームにはなかったから、お願い』
【加護と恩寵は、神からの恵み・愛情であり神によって特別に与えられた力です。
特に恩寵の方は、世界の理の報告を受けて事務的に付与する加護とは違い、神が自ら付与するモノに対し心を砕いて付与する力です】
『そうなんだ』
【その様な力である為、スキルとは違う力を持っています】
『レベルも無いもんね』
【はい。その力の一つが、その加護の完全下位となるスキルを付与出来る力です】
『そんなのゲームには無かったけど』
【ゲームだと、クエストをクリアするとスキルを付与してくれるNPCが、加護や恩寵持ちだと思われます】
「……、そうだったんだ」と驚きから、思わず口にしてしまった。
主人公は、ゲームだと確認出来なかった加護と恩寵について聞いて驚いているようです。




