第25話 クレリーアの事情とこの世界の貨幣
主人公は、初めての仲間勧誘に失敗しました。
その相手は、クレリーアさん。
最初はクレリーアさん視点で始まり、主人公視点に戻ります。
冒険者ギルドへ向かって走っていくショウソウ君。
彼が職業を得た事にホッとしている自分に驚きつつ、妹に問いただす事にする。
「何でティモン君が彼氏だって嘘をつくのよ」
「でも、告白されていたでしょ」
「断ったのは知っているでしょ」
「でも、無能者にまとわりつかれても困るでしょ。
お姉ちゃん優しいからキツク言えないだろうし」
「はぁ。無能者じゃなくなっていたんだね。
隠密職に就けるって確認しているんだから、今日の午前中だけで斥候で転職が可能になるまで魔物を倒したって事か。
死にかねない無茶までして」
「あ~。斥候でどのスキルに才能が高かったのか聞けばよかった。今就いている職業のも」
「普通言わないでしょ」
「でも、お姉ちゃんに気があるんだし、いいカッコする為に言うでしょ」
「彼女じゃなく、仲間に欲しいって言っていたんだよ」
「なら、安心して仲間になる為には、力を明かしてもらわないとね」
「そうだけどさ」
そう言うと、私がイライラしているのが伝わったのか「お姉ちゃん、一緒に行きたかったの?」とロザリンドが急に不安そうになりつつ聞いてくる。
無能者と言われても頑張っていた彼に好意程度の気持ちはあるけど、特別な感情がある訳ではないので「王都にはね」と無難な返事をしておく。
「だよね~」と明るく返事をしてくる処を見ると、嘘を言った事を反省していない様だ。
王都には行きたいけど、両親と兄弟を置いて冒険者として旅立てるかと言うと……。
弟も妹も職業に就けるようになった今なら行けたのかな。
そう思いつつ、少し後ろ髪をひかれながら妹と家へと向かった。
クレリーアさんと別れて冒険者ギルドの出張所兼食堂兼飲み屋へ。
まだお昼前だからか、あまり人は居ない。
そこの出張所のカウンターに行く。
すると、店主のガイオが出て来て対応してくれるんだけど。
カウンターの上に置かれたファングウルフの毛皮を見て「おい。どうしたんだ」の声が掛かる。
「今朝職業の才能が開花したから、最低限のレベル上げって北の森に行っていたんだけど、奥に行っていないのに、これだけのファングウルフに襲われたんですよ。
そう言ったら、ここにも報告しろって門番のブルーノさんが」
「あ~。そうか。これは買い取りか」と眉をひそめたまま店主が言ってくる。
「ええ。魔石もね」
そう言って、バッグからGとFとEランクの魔石の入った袋を出して、数を数える為の木の測りに入れていく。
「Gが79個。Fが84個。Eが21個。傷んでいるのも多いけど、買取価格を下げる程では無いから、3019GAZUだな。
ファングウルフの皮は21枚で10500GAZUだから、合計で13,519GAZUだな」
との言葉の後、硬貨がテーブルの上に出されたので、それを回収する。
この異世界のお金の単位はGAZU。
白菜の様な形をした薄い赤色のキャベツが8~30GAZUという事からすると、多分1GAZU10円程度なのだろう。
そして、この世界では魔物を倒した時に稀に世界の理で作られる宝箱から出る貨幣がお金として使われている。
銅貨が1GAZU、銀貨が10GAZU、ミスリル貨が100GAZU,大ミスリル貨が1000GAZU、ヒヒイロカネ貨が1万GAZU、オリハルコン貨が10万GAZU、大オリハルコン貨が100万GAZUで、真オリハルコン貨が1000万GAZUだ。
まあ、ヒヒイロカネ貨とか真オリハルコン貨なんて長い名称の硬貨についてはそう呼ばないで、100万硬貨とか100万GAZU玉って呼び方の方が普通なんだけどね。
前世と比べると、お札より重いとか嵩張るとかで使いづらいんだけど、信用取引みたいなのが未発達そうなこの世界ではしょうがないのだろう。
ちなみに、ミスリルとかヒヒイロカネとかオリハルコンと言うのは、魔法的金属の名称だ。
魔法的金属とは、スキルとMPによって魔法が掛かった様にその強度が上がったり、性質が変わったりする特殊な金属。
前世には無かったな。
逆に、前世にはあった金とかプラチナとかもある筈なんだけど、通貨に利用されていない。
魔法的金属のせいで、前世ほど価値がないのだろう。
銀も、前世より価値が低い感じだしね。
しかし、最弱の状態からの午前の討伐で13万円以上を稼げたのか。
そう思いつつ、食堂へ行き、未だやっていた100GAZUの日替わりランチを頼む。
ランチが来るまでに考えるのは、何故クレリーアさんを仲間に出来なかったか、かな。
クレリーアさんは、何故仲間に出来なかったのでしょう。




