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第116話 まだ帰れない生まれ故郷

 主人公は、冒険者ギルドへ登録してもらいました。

 最低限の講習は受けたのですが、それとは別の新人講習を受けると言う選択をしたようなのですが。

 冒険者ギルドへの登録をお願いし、最低限の説明を受け、冊子を貰い、新人講習に3人とも申し込んで冒険者ギルドを出た。


 冒険者ギルドを出ると「本当に、講習受けるの?」とかタマーラが言ってくる。


 「いや。必要ないなら受けなくて良いと思うけど」


 「それが解らないから、聞いたんだけどね。

  でも、受けたって言っている人に会った事が無いけど」

 

 そうタマーラも判断できない様だけど、俺も分からないから受講の申し込みをしたんだけどね。


 そう思いつつ、俺の認識を言っておく。


 「ああ。受けると馬鹿にされそうだね。

  変にマウントとって来る嫌な講師とかだと途中でキャンセルするつもりなんだけど」


 「はあ。まあ、貴方なら大丈夫でしょ。講師、2級職らしいし」とタマーラは投げやりに言ってくる。


 「だと良いけどね。それまでに2人とも3級職でそれなりになってもらっておいた方が良いのかな」


 そう言って、門の方へと向かった。



 門から出て、街道を戻る。


 この都市からは、北と東と北東に街道が伸びている。


 昨日来たのは東側の街道。


 そっちへ向かうのが、昨日通った時に確認してある分、リスクが少ないと思ったからだ。


 しかし。


 何か付いてきているのが居やがる。


 まあ、偽装スキルの隠形で隠れたら、付いて来られなさそうだけど。


 そう思いつつ、街道上で3人と2匹に隠形を掛け、街道から離れる。


 感知している気配だと、混乱しているから、彼奴らには確認出来なくなったんだろう。


 と言うか、路傍の石になるんだから、どうでもよくなって意識できなくなるって思っていたんだけど、こちらを強く意識している奴からは、完全に路傍の石にはなれないのか。


 【はい。強くこちらを意識している相手だと、何処に居るかの認識は出来なくなりますが、完全に意識の外側になる事は出来ないので、消えたように認識されます】


 『なるほどね。仮装スキルの埋没だとどうなの?』


 【流石に、粘着している相手に対する認識を、路傍の石にまでは出来ません】


 なるほど。


 と思いつつ北西の方の街道へと進路変更する。


 すると俺に付いて来ていたタマーラが「あれ? 西に行くんじゃないの」と不思議そうに聞いてくる。


 「ああ。タマーラかラーレが粘着されている感じだからね。

  西じゃなくて北西に替えたんだけど」


 「そうなの?」とタマーラは良く分かっていない様だ。


 「既に偽装スキルの隠形で、魔物からも他の人からも隠れているんだけど、隠れた途端、なんか慌てて西の街道を西へ進み始めたから」


 「面倒な連中」とやっとタマーラにも状況を理解して貰えたようだ。


 「彼奴らが講師になっているなら、個別指導は止めておいた方が良いかもね」


 そう言って、北西へと延びる街道を走って移動する事にした。



 北西への街道をしばらく進む。


 なんか、タマーラの様子が変かも。


 なのでストレートに聞くことにする。


 「タマーラ、何かあるの? トイレなら出すけど」


 そう言うと「違うわよ」とキッチリ怒られる。


 「なら良いけど、雰囲気変だよ」


 「そう言うのも分かるんだ」


 「感知スキルもLV10MAXだからね」


 そう言うと少し迷った感じになった後「……。この先のヤールト村が生まれ故郷なのよ」とタマーラが言ってくる。


 「そうなんだ。

  あれ。両親は俺と同じで居ないんだよね」


 「ええ。でも、育ててくれた祖父母が居るわ」


 「そっか。ご挨拶に行かないと」


 そう言うとタマーラは「何でよ」と強い口調で言ってくる。


 「いや。俺とラーレが冒険者仲間やらせてもらっています、って言えば、多少は安心させられる気もするけど」


 「……。今は駄目。少なくとも3級職以上にならないと」


 「そんな感じなんだ。

  ああ。反対されて飛び出したのか」


 そう言うと恨めしそうに俺を見て来る。


 図星だったようだ。


 「まあ、その辺の判断は、タマーラに任せるよ。

  俺だけでも良いし、ラーレだけでも良いけど、挨拶に行った方が良い気もするけどね」


 「そのうち頼むかも。

  今は、未だ駄目」


 「了解」と言ったやり取りの間に、都市からは大分離れられた。


 俺とポポとチモだけなら、もっと移動が速いんだけど、まだ2級職と1級職だからね。


 体が小さく空を飛べないチモも、動きは早いからね。


 そう思いつつ、街道から少し離れ、感知の魔力を改めて広げていく。


 うん。

 

 ネイルベアもファングウルフも居るが……。


 と思いつつラーレを見る。


 すると俺の視線に気が付き「な、なにかありました?」と聞いてくる。


 「いや。人型の魔物が居るけど、やっぱり殺すのは嫌なのかな、とか」


 「だ、大丈夫です」


 「なら、試してみるか」


 そう口にしつつ決断していると「私には聞かないのね」とタマーラが突っ込んでくる。


 「いや。槌で倒すのと比べたら魔法で倒してもらえば忌避感は少ないだろうし、タマーラが今までトドメさすのに躊躇したのを見た事無いけど」


 ああ。


 後半が余計だったと思っていると「それでも思うところはあるわよ」と怒っているし。


 「いや。それは俺だってあるけどさ。

  って、今日中に2級職を卒業したいんだから、揉め事は止めよう。

  危険だしね」


 そう言うと、タマーラがジト目で俺を見ている気がするが、しょうがないよ。


 芯が強いって感じは、タマーラの方が強いんだから。


 とは口にせず、レベリングを開始する事にした。

 主人公は、タマーラに対する配慮が足りなかったようです。

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