韓国の土産
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皆が韓国から帰ってきて、会社がまた賑やかになった。
韓国へ行かなかった、タマキとイオリがお土産を楽しみにしていたが、リクが空港で間に合わせに買ったチョコレートだけだったので、がっかりしていた。
リクは、ナツにだけは別にお土産を買っていた。
コウとソウル観光をした時に、ナツに似合いそうなキャップや韓国コスメ、お菓子をたくさん買ってきていた。
ナツは大喜びし、全部を一旦試していた。
リクは、韓国での仕事の話や、シキミとソフィのこと、夜景が綺麗でナツを思い出したことなどを話して聞かせた。
「なんで夜景で俺を連想するんだよ」
ナツが解せない顔をする。
「だって綺麗だったから」
リクが当然のように言う。
「なんだよそれ」
ナツは『綺麗』と言われるのは好きではない。
しかし、リクに言われるのは嬉しいのだ。
そこへタニから通信が入って来た。
「ナツ、仕事できるか」
「ああ、いつでもオッケーだぜ」
ナツが答える。
「じゃあ、説明するぞ。
ターゲットはこいつ。名前は三島雷蔵、80歳だ。
放っといてもそう長くは生きないだろうが、もしかしたら100歳まで生きる奴かもしれんしな」
タニがわざわざそう言ったのは、依頼人が『80歳だろうと90歳だろうと、こいつはすぐに死ぬべきだ』と言っていたからだ。
「いわゆる高利貸しだ。
金が必要な者に付け込んで高い利息で金を貸す。
元金はもとより利息を払うために皆働くが、期日に間に合わなかったら即刻地獄行きだ。
男は内臓を売られる、女は麻薬付けにされて風俗、容赦なしだ」
タニがモニターに映し出している男は、いかにも、という顔をしている。
「今までよく無事だったな」
ナツが言う。
「ああ、何度も狙われてきたらしいが、その度にボディーガードに守られてきた。
運のいい奴だ。ボディーガードは何人か死んだがな」
「へー、悪運が強いんだな。
じゃ、俺が終わりにしてやるよ」
ナツがニヤリと笑って言った。
「ああ、頼むよ。
そいつのスケジュールやボディーガードの配置はデータで送る。
コウにも相談しろよ」
タニが言い、通信を切る。
「じゃ、計画を立ててからコウさんにチェックしてもらうか」
ナツは言い、リクとデータを見ながら話し合った。
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コウはナツの計画を聞くと、
「オッケー、いいんじゃないか」
とすぐに了承した。
「特に危険もないし、成功率は高いだろう」
コウが言うと、ナツはリクと顔を見合わせてニヤリとした。
「よし、じゃ明日が土曜日だから決行日だ」
ナツはそう言うとコウの部屋を出て、タニに報告した。
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翌日。
ナツはあるマンションの7階にいた。
そのマンションはオートロックなので、基本住民以外は入れないが、
まあ、そこはどうとでもなる。
エレベーターが見え、防犯カメラの死角になる位置に立ち、三島が現れるのを待つ。
エレベーターが到着する音が聞こえ、男が2人出てきた。
1人は三島で、もう1人はボディーガードだ。
三島は毎週土曜日に女の住むこのマンションを訪ねている。
その時、いつも数人いるボディーガードは、1人だけ、この階の部屋の前までついて来る。
三島がインターホンを押す。
中から女が答える声がする。
そうするとボディーガードはエレベーターの下るボタンを押す。
女がドアを開ける。
エレベーターが開く。
ボディーガードがエレベーターに乗り込む。
三島が女の部屋へ入る。
エレベーターのドアが閉まる。
女の部屋のドアが閉まる…直前、ナツは滑り込んでドアに手をかけた。
三島の背中が見えた。
ナツはすかさず、スミス&ウエッソンで三島の後頭部に向けて引き金を引いた。
血が飛び散り、女の顔にも血が降り注ぐ。
ナツはそのままドアを閉めると非常階段へ向かった。
非常階段を1階まで降り、ロビーを見回す。
ちょうどエレベーターからボディーガードが出て来るところだった。
ナツは2分ほど待ってからマンションを出た。
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シキミが社長とコウにある話を持ってきた。
「ソフィがさ、コウを調べてる奴がいるって言うんだ」
シキミが言う。
「ソフィ? じゃ韓国で?」
社長が尋ねる。
「ああ、コウ何か心当たりあるか?」
シキミが聞くと、
「なんとなく、だが、ないこともない」
コウがあやふやに答えた。
「あるってことだな」
シキミが言う。
「たぶん、俺の名前は知らんだろうな。
思い浮かぶのは、パク社長の側近だったキムだ。
部屋を出る時、目があった…というよりわざと目を合わせたんだ。
どことなく気になる奴だったからさ」
「お前は目だけで人を誑し込めるのかよ」
シキミが呆れた声で言う。
「なんだ、知らなかったのか。俺の目はよく喋るんだよ」
コウが笑い、社長とシキミが苦笑する。
「冗談に聞こえねぇ」
「で、俺の素性はバレてないんだろ」
コウが真面目に聞く。
「ああ、バレることはねぇだろ。
ただ日本人ってのはわかってるからな、どれくらいの伝手があるのか…それにもよるよな」
「大丈夫だ。
おそらく悪意はない。
相手の出方待ちだな」
コウが言い、何かあれば報告をする、ということで話は終わった。
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数日後、羽田空港にキムが降り立っていた。
キムはコウの、あの目がずっと気になっていた。
(もう一度会わなければ)
そう思い、日本へ来たのだった。
あれからコウのことを調べたが、結局何も出てこなかった。
日本人ということと、殺し屋ということ。
裏社会の人間に聞いても、日本人の殺し屋については皆口が堅く、キムのような立場の人間は教えてもらうことはできなかった。
しかし、日本に来れば会える気がしていた。
おそらく、向こうから来てくれるのではないか、そんな気がしてならなかった。
丸の内のホテルにチェックインし、ロビーに降りていくと、オープンテラスでコーヒーを飲んでいる男が片手を上げた。
キムが近づくと、
「俺に用事だろ」
男は言い、微笑んだ。
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