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韓国にて④

*****


コウたちの『ソウル観光』の翌日、アガタ、カン、ミヤがソウルに到着した。

アガタを1人にすると何をしでかすかわからないので、3人は同じホテルにした。

同じ会社のビジネスマンの出張というテイだ。

間違ってはいない。


3人がホテルに到着すると、カンからコウに電話が入った。

「無事着きました。

集合場所へは午後3時で大丈夫ですね」


「ああ、それでいい。場所は大丈夫か」

コウが聞いた。


「3人ともあまり自信はないんですが、タクシーで近くまで行って、あとは地図アプリでなんとかして行きます」

とカンが答えた。


「それだったら、集合場所の近くに鷗泰亭という高級レストランがあるから、タクシーでそこで降ろしてもらえばいいよ。

そこから見えるところに誰か立たせておくから」

コウが言い、カンが安心したように「あざっす」と答えた。


アガタが

「俺たちの自由時間は?」

とコウに聞こえるように言っている声がする。


コウが苦笑し、

「アガタにホテルで美味い飯でも食わせてやれ」

と言い、電話を切った。



*****



午後2時45分。

ソフィが手配してくれた雑居ビルの空き部屋を集合場所としていた。


アガタ組がまだだが、イサが迎えに行っている。


5分ほどして、イサがアガタ、カン、ミヤを連れてきた。

3人は『ビジネスマン』なのでスーツを着ている。


アガタはどう見ても2人の部下にパワハラをしている上司にしか見えないが。


「よし、全員揃ったな。説明を始める」

コウが話し始める。


コウが廃校の図面をテーブルに広げ、撮影した建物全体の写真をタブレットで見せる。

「これが現場。廃校だ。

日本の小学校の造りとほぼ同じと考えてもらえばいい。


外の入口付近に見張りが1人。

1階の各部屋に、監視が1人、監禁されている者たちが24人前後。

それが8部屋だから、監禁者は200人弱。


正面から見て一番左の部屋が連中の詰所のようだ。

全部で30人って話だから、見張りと監視が常に9人、その他は詰所やもしかしたら見回りもしているかもしれない」


コウは説明を続け、襲撃の段取りを話していった。


話し終えると、皆を見回し

「質問は?」と聞く。


皆が黙って首を横に振る。


「よし、じゃ今から出発する。約1時間かかるから、決行は17時。既に薄暗い時間だ」

コウが言い、部屋を出て別々の駐車場に置いてある車2台に分かれて乗り込む。


それぞれの車をコウとシキミが運転して現地まで行く。

車内では各々が韓国の名所や美味しい料理の話をして盛り上がっていた。

これから襲撃に行く緊張感というものが全くない。

この会社の者たちの、こういうところが好きだな…コウはそう思う。



現地に到着した。いつもの場所に車を停める。

そっと建物を覗くが、いつもと同じで気づかれている様子はない。


「一番気づかれやすいのは、ここから建物に近づく時だな。

1人ずつ、少し間を開けて下って行こう。

先に行くシキミが見張りを片付けるから、あとはそのまま建物の裏手に回れ。

あとは段取り通りだ、合図を待て」

コウが言い、皆が頷く。


そして、シキミに「ゴー」と言い、シキミが下っていく。

シキミが車の陰から見張りを撃つのが見えた。

倒れた見張りを建物の陰まで引きずっていく。


次にアガタが、リクが…1人1人すばやく下っていく。

最後にコウが行き、建物の裏手に回ると皆がしゃがんで待っていた。


先日侵入した時に壊した窓はそのままになっている。

誰も気づかなかったか、気づいても気にしなかったのだろう。


その窓をそっとあけ、コウが先に入り、一番右の詰所の手前の部屋の前で待機する。

次々に同じように窓を乗り越え、1人1人が1つの部屋の前の廊下で中から見えないようにしゃがみ込む。


8人がそれぞれの部屋の前に来たことを確認すると、コウが左手を少し上げた。

皆がその動きに集中する。


コウの左手が「行け」とばかりに振り下ろされた。


途端、一斉に立ち上がり、部屋に入り込み、監視を撃った。


どの部屋にも監視は1人だった。


監禁者たちが呆気にとられて、受話器を持ったまま声を出せずにいる。


騒ぎ出す前に、救出に来たことを知らせ、受話器を置き、その場に伏せて動かないよう指示をする。

パニックになって外に出られると厄介だ。


皆がほっとした表情をしているのがわかる。


コウは、それからすぐに詰所の部屋へ行く。

入ると、そこでくつろいでいた連中が一瞬動きを止めた。


1人が「誰だ、お前!」と言うと同時に、コウは短銃から持ち替えていたマシンガンでその男から撃つ。

その部屋には20人程の者たちがいた。


コウの後から入ってきたシキミやアガタも撃ち始める。


あっという間にその部屋の連中が倒れた。


「全部で約30人だな。

リクたちが2階を確認しに行ってるが、おそらくこれで全部だな」

シキミが言う。


「警察の方はどうなってる?」

コウがシキミに聞く。


「今からソフィに連絡する」

シキミが言い、電話をかける。


「終わった。頼む」

それだけ言うと、電話を切り、

「ここから一番近くの警察署から来るから30分程だな」


「オッケー、じゃ監禁されてた者たちに外で待っててもらうか」

コウが言い、それぞれが部屋で大人しく待っていた監禁者に伝えて回る。


リクたちが2階から降りてきて、

「誰もいませんでした」と報告する。


監禁者たちを外に出すと、コウたちもすぐに車へ戻った。

警察が来るのを確認し、通り過ぎるのを待つと、車を発進させた。


あとは親玉だけだな…コウが考えながら運転し、とりあえず順調に終わったことに安堵するのだった。


*****


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