暴走族を叩け
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双子が潜入し、ユゲがドローンでとってきた映像を基に、調査部がドリフト走行に参加した者たちの身元を洗い出す作業が始まった。
「加賀美って名乗ってる。
おそらく最後まで残ってた奴らの中にいると思うんだよな」
タマキが言うと、
「特徴も何もわかんねぇからな。
でも、運転してるの見ればわかるかもな。他の奴らとは違うんじゃね」
イオリが言う。
調査部が顔をデータと照合している間、双子は映像を見ながら、
「こいつは下手くそだ」だの
「こいつがやってるのドリフトじゃねぇだろ」だの言いながら、加賀美の運転を特定しようとしている。
結果、数台に絞られてきた。
「この中にいる気がするな」
調査部の洗い出しもそろそろ終わり、そちらとタマキたちが絞り出したものとを合わせてみる。
「こいつか、こいつ、だな」
2人に絞られた。
2人とも名前は加賀美ではなかった。
1人は、大迫といい、眼鏡をかけた一見インテリ風の男で、しかし目つきが鋭い。
もう1人は、駒田という、ガタイが良く頭をそり上げた、いかにも、という男だ。
「何これ、こんな両極端な見た目なの」
イオリが面白そうに言う。
「あとは、加賀美って名前がどこからきてるのか、
それか、どこかでその名前を使ってるかもしれないよね」
タマキが言い、タニが調べると言った。
翌日、早速タニから双子に連絡があった。
「大迫だ。
こいつ、銀行に『加賀美幸雄』って名前の口座があった」
「偽名で銀行口座持ってるって、他にも何かやってるんだな」
タマキが言い、
タニが、
「ああ、仕事で海外出張があるようだからな、マネロンでもやってるんだろう。
ドリフトはただの趣味か…ストレス発散だろう」
と答える。
「ふーん、やっぱ悪党なんだね。
他の奴らはどうするの?」
イオリがタニに聞く。
「そうだな、依頼は『暴走族を叩け』ってことだからな。
次に集結した時に、見せしめに大迫を殺って、他の奴らは脅す程度でいいんじゃないか」
「脅す程度、ね」
イオリがニヤリと笑う。
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次回の開催は2週間後の土曜だった。
イオリとタマキがまた参加する。
現地に到着すると、大迫を探す。
車はわかっているので、すぐに見つかった。
前方の、しかし一番前ではない位置に停車し、車から降りて周りを見回している。
眼鏡の奥の目は鋭く、口元は嬉しそうに歪んでいる。
自分の一声で、これだけの奴らが集まるのが快感なのだろう。
しかし、それも今日までだ。
イオリとタマキが近づいていく。
大迫は悦に入っているので、双子がすぐ近くに来るまで気づかなかった。
「こんばんは、加賀美さん」
イオリが言うと、大迫の顔が変化した。
「俺のこと? 俺は大迫っていうの、加賀美さんじゃないよ」
大迫が言うが、双子は構わない。
「いいの、いいの、どっちの名前でも」
イオリが、集まった車を指さし続ける。
「こういうのしたいんだったらさ、どっかのサーキットでやればいいじゃん」
「は、サーキット? それじゃ面白くないでしょ」
大迫が馬鹿にしたように言う。
「あー、やっぱり、誰かが捕まったり、人を引いたり、当て逃げしたり?
それが楽しいんだ」
イオリが煽る。
「まあね、みんなそうでしょ。
それより、何? お前ら何で俺にそんな話してんの」
大迫がそう言った途端、イオリが大迫の車の屋根にヒラリと上がり、銃を上に向けて3発発射した。
皆が騒然としてこちらに注目する。
大迫があっけにとられて、イオリを見上げている。
「ミナサーン、コノカタガ、カガミサンデース」
大声でイオリが叫ぶ。
皆が大迫を一斉に見る。
大迫は腕で顔を隠そうとする。
しかし、タマキが大迫の頭に銃を突きつけた。
静まり返る。
誰も動かない。
動画を撮るものがいればヤバかったが、誰も思いつかなかったようだ。
「今から加賀美さんを成敗します」
イオリがそう言うと、タマキが大迫の頭に銃を1発撃ち込んだ。
大迫の体が吹っ飛んだ。
皆が一斉に動き出す。
「ヤバい、ヤバい奴らがいる!」
そのまま走り出す者、車に乗り込む者、一気に騒然とする。
イオリとタマキは、そういう奴らに向かって、肩や足を狙い、撃っていく。
マガジンを交換しては撃って撃って撃ちまくった。
イオリの前に、最初に情報をくれた男が立ちすくんでいた。
イオリはニヤリと笑い、その男に銃口を向けた。
男は失禁していた。
イオリは撃たず、立ち去った。
タマキと合流し、埠頭の外に停めていた自分たちの車に乗ってその場を離れた。
集まった人数の半分以上は撃っただろう。
「これで少しは懲りたかな」
イオリが言う。
「どうだろな、馬鹿は死んでも治らないからな」
ハンドルを握るタマキが言い、2人で笑った。
何台ものパトカーと救急車とすれ違ったが、誰も2人の車に注意を向けるものはいなかった。
会社に戻ると、コウがいた。
「終わった?」
コウが聞いてきた。
「ああ、思いっきり叩いてきたさ」
イオリが答える。
「お疲れさん。
お前たちに引き受けてもらえてよかったよ」
コウが言うと、
「でしょ、今回のは俺たち向きだったよな、楽しかったし」
イオリが言い、タマキとハイタッチする。
コウはそれを見て安心し、部屋を出た。
この仕事を2人に回したのは自分だったので、何かあったら、と密かに心配していたのだ。
タニはきっと、いつもこういうふうに感じてるんだろうな。
そういえば、最近タニの髪が薄くなってる気がする…。
タニ…可哀そうに…と思いながら会社をあとにするコウなのだった。
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