↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
91/112

双子の潜入

*****


カンとミヤが1つの仕事を成し遂げたことを、シキミが我がことのように喜んでいる。


「シキミって、こんな奴だっけ」

コウがタニに言う。


「誰かさんの影響だろ」

タニが言い、コウが首を捻る。



「ま、いいや、新しい仕事?」

コウがタニに尋ねる。


「ああ、また車がらみだな。

潰してほしい暴走族があるんだとさ」

タニがだるそうに言う。


コウが、

「確かに、たるいな…ガキ相手じゃねぇか」


「ああ、しかし中には大人もいる。

暴走族っていってもバイクじゃない。車だ」


「あー山道なんかでドリフト走行してる奴らか」


「そうだ。それで1つのグループがルール無視のやりたい放題、誰かれ構わずひき逃げ、当て逃げ、

警察も手を焼いてるらしい。

ある程度捕まえてもぶっ潰すことはできないんだと」


「なんでだ、人数の問題か」

コウが聞く。


「それもあるが、リーダーが誰かわかんなくて、どうしても捕まらないんだってさ」


「へー」コウが考え込む。

「誰か潜り込ませればいいんじゃないか」


「それは俺も考えた。

しかし、誰を行かせる? 年齢的にはリクやナツだろ、お前嫌だろ」


コウはそれをスルーし、

「イオリとタマキはどうだ」と提案する。


「うーん、まあギリかな。

一応打診してみるか」

タニが言い、タマキに連絡する。


双子は当然行くと言い、張り切って部屋へ入ってきた。

「面白そー! 思いっきりドリフトできるんだよね」

イオリが言うと、タマキが

「ほどほどにな」と窘める。


もともとサバゲーにはまっていた2人だ。

このくらいの潜入はお手のものだろう。


「リーダーを割り出せばいいの?

そのまま殺っちゃってもいい感じ?」

イオリがタニに確認する。


「殺ってもいいが、リーダー以外の者たちは線引きした方がいいだろうからな。

とりあえずリーダーの確定と未成年がどれくらいいるか調べてくれるか」

タニが言い、


「オッケー」と双子が言い出て行った。


*****


深夜、ある埠頭に車高の低い車が約50代集結している。


その中にはイオリとタマキも混じっていた。


その日の日中、イオリが以前警察に捕まったことのある暴走族の1人に接触し、

ドリフト走行に興味があるという話を仕掛けた。


すると、今日の深夜にやるから来てみれば、ということで、来てみた、というわけだ。

初めましての挨拶とか必要かと思っていたが、他の車に続いて入り込んでいたら、すんなり潜り込めた。


走りたい奴が来ればいいだけのものらしい。

確かに、これではリーダーが誰かわかりにくい。


そもそもリーダーという存在がいるのかどうかも怪しい。

誰かが今日やろうと言い、それが口コミで広がり、集まる。

それだけなのかもしれない。


イオリとタマキは車から降り、1台1台、運転席に座っている者たちを何気なく見て回った。

そうすると、向こうの方から、イオリに今日のことを教えた男が声をかけてきた。


「おーい、来たんだな、どうだ、すごいだろ。

ちょっと声をかけただけで、これだけ集まるんだぜ」

男は得意げに言う。


「アンタが声をかけたのか、すごいな」

イオリが言うと、


「俺じゃねぇよ、加賀美さんだよ。

いつも加賀美さんが声をかける。

じゃないと、こんなに集まらんだろ」


「へー、加賀美さんてすごい人なんだな」

無邪気にイオリが言う。


「まあな、この界隈じゃ知らない人はいない。

ただし、名前しか出てこないんだ。不思議だよな。みんな顔を知らないんだ」


「謎だな、見て見たくないのか」

イオリが煽る。


「いや、知らねぇ方がいいってこともある」

男は割と慎重な奴のようだ。


「ふーん」

イオリが言い、話を終わらせる。

あまりしつこいと怪しまれるかもしれない。


それにしても、名前が有名なのに誰も顔を知らないなんてことあるのか…。

イオリとタマキは顔を見合わせる。


「どうやって割り出すか…」

2人で考えていると、タマキが思いついたように言い出した。


「ユゲさん、今日暇かな」


イオリもすぐに察した。

タマキがすぐにタニに連絡する。


あと30分ほどで最初の車が走り出すらしい。

ルートは、埠頭から出て、海沿いを走り、環状線を横切って戻ってくるらしいが、

海沿いのカーブや環状線を横切る時に、他の車との接触を避けることができる奴がどのくらいいるのか。


そして今日も加賀美は捕まらないのか…。

「加賀美って、本名かな」

イオリがボソッと呟く。

「違うだろうな」タマキが答える。

「だな」


そうこうしているうちに、先頭の車が走り出した。

次々に後に続いていく。


イオリとタマキも「やるしかねぇな」と、お互いグータッチして

それぞれの車に乗り込んだ。


イオリの前にいる車が走り出した。

イオリもそれに続く。


前の車はタイヤを軋らせ、音を立ててブレーキをかけ、エンジンをふかし、大回りしながらカーブを曲がっていく。


イオリとタマキの運転技術は高いので、ドリフト走行をしても大回りせずにカーブを曲がることができる。


しばらく行くと、空にチカッと光るものが見えた。

「きたー!」

イオリが満面の笑みを浮かべる。


ユゲの操作するドローンだ。

ドローンに搭載されたカメラで、運転手の顔を拾っていく。


あとで調査部に照合してもらえば、身元が判明するだろう。


イオリはドローンに向かって、親指を立ててニカッと笑う。

おそらくカメラの向こうでユゲが苦笑していることだろう。


1周して埠頭に戻ると、車の台数が極端に減っていた。

途中、パトカーのサイレンが追ってくる音が聞こえたいたし、事故った奴もいるのだろう。


イオリに声をかけてきた男は残っていた。


「よお、お前たち無事だったか」

男は煙草に火をつけながら、イオリたちに近づいてきて声をかける。


「いつもこんなに減るのか?」

タマキが尋ねた。


「ああ、今日はまだマシなほうだな。

腕が未熟な奴はすぐに捕まる。って言っても、俺もあるけどな」

と言って、ハッハッと笑う。


「加賀美さんていう人は捕まらないんだろうな」

タマキが言うと、


「だろうな、そんな話は聞かねぇし…

それにしても、あのドローンなんだろうな、運転中も見たぞ」


男は思ったより目ざとかった。

2人は、

「ドローン? どこ?」と惚けていた。


*****


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。