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カンとミヤの仕事

*****


新しい依頼がきた。

シキミが、カンとミヤ2人を組ませようと言って、タニに説明をさせる。

念の為、シキミがオブザーバーとして見守ることにする。


タニが、

「いや、2人はもう経験者だから見守りって必要か?」

と呆れ顔で言う。


「念のためだ、念のため」

シキミはきっと自分が仕込んだので見届けたいのだろう。


(コウの過保護がうつったな)

タニがため息を吐いた。


タニが2人に説明を始めた。

「ターゲットはこいつら、3人。

車のディーラーをやっているが、事故車や整備不良の車を平気で売りさばいている。

見た目はレアなクラッシックカーなんかを扱っているが、購入しても故障続きでアフターケアもなし、部品もなし、すぐに廃車になるような状態で、買った者は泣き寝入りだ。


で、当然事故が起きた。

先日車を購入した男性が、ブレーキが利かずに他の車を巻き込むまいと急ハンドルをきって、ガードレールを突き破った。

その先は大きな川だ。

すぐにレスキューが来たが間に合わず、男性は死亡した」


「そんなディーラー、もともと悪評が立ってたんじゃないんですかね」

ミヤが言う。


「ああ、その通りだ。

しかし、男性は3人のうちの1人と同級生だったんだ。

そのよしみで車を購入。

売る時は、『これは他のとは違う。整備士がきっちり整備しているから大丈夫だ』と言っていたと、恋人が証言している」


「同級生を騙してまで…ひどい奴らだな」

カンも言葉を荒げる。


「まったくだ。で、その恋人と男性の両親の依頼だ。

きっとまた同じような事故が起こる。その前に排除しないとな」

タニが言い、

「やり方は任せる。思いっきりやって来い」


2人は力強く頷き、打ち合わせをすべく席を立った。


シキミがついて行こうとするので、タニが止めた。

「見守るだけなんだろ、口を出すなよ」


「出さねぇよ」

シキミが渋々戻ってきた。


カンとミヤはそれを見て、苦笑しながら部屋を出て行った。

2人はリクとナツの並びの部屋を1つずつ使っている。


ミヤがカンの部屋へ行き、打ち合わせを始めた。

「なあ、3人が揃ってる時にそのディーラーの店に行けば、簡単だよな」

ミヤが言う。


「ああ、それにさ、車もお釈迦にしちまった方がいいと思うんだよな」

カンが言うと、


「それな」

ミヤも同意した。


「人を殺るのはいいとして、車はどうやる?

火をつけると周りに迷惑だよな」


「だな。潰すか、何台くらいあるんだろうな。

廃車屋まで運転して行くとして、何人必要か調べるわ」


ということで、翌日カンが現地を確認しに行った。

さすがに最近は売れていないのか、車は3台ほどしか並んでおらず、閑古鳥が鳴いている様子だ。


会社に戻り、ミヤに伝える。

「もう1人はシキミさんに頼もうか」


シキミにこの計画を話すと、大喜びで手伝うと言ってきた。



当日、日が暮れてから、ミヤとカン、それにシキミの3人でディーラーの店に行った。

奴らは3人とも揃っており、シキミたちを客と思って笑顔で出迎えた。


シキミたちは車を見ながら、試運転をさせてもらうよう話を持っていく。

当然ディーラー3人組はほくほくで「どうぞどうぞ」とドアを開ける。


シキミたちは、

「俺はこれがいい」

「俺はこれだな」

「じゃ、しょうがない、俺はこっちにするか」

といいながら、1台ずつ選んで乗り込む。


ディーラーたちは慌てて、それぞれが助手席に乗り込み、説明を始めようとする。


「説明はいらないかな」

カンは言い、キーを回す。

ギアをいきなりトップに入れ、タイヤを軋ませながら急発進する。


「あー、そんな乱暴に扱われては…」と焦るディーラーを尻目に、

ミヤとシキミも後を追う。


「どうせどっか故障してんだろ、今更乱暴もないもんだ」

カンが言う。


「お、お前たち…客じゃないのか…」

やっと気づいたディーラーが、慌ててシートベルトを締めようとするが、右へ左へカーブの度に90度に曲がる車に、シートに座っていることができず、必死で掴むところを探している。


「どこへ行くつもりだ」

必死で言葉を絞り出し、ディーラーが聞く。


「しゃべると舌を噛むよ」

楽しそうにカンが言うと、ディーラーは黙りこんだ。


20分程走ると、廃車置き場に到着した。

カンが急ブレーキをかけて停まると、ディーラーの体がフロントガラスに突っ込んだ。

ディーラーはそのまま気を失う。


続けて到着したミヤとシキミも、キーーーっと音を立てて車を停車させた。

そちらの方のディーラーは、ドアを開けるなり嘔吐したり、ヘッドレストに頭をつけて目を瞑ったりしている。


相当参っている様子だ。

「よしよし」

カンとミヤが、1つの機械に近づき、電源を入れる。

ブーンという音が鳴り始め、機械が準備を始める。


「これから行くか」

カンが言い、フロントガラスに頭を突っ込んでいる男を外に放り出し、再び運転席に乗り込む。


そして機械の中に車ごと入ると、ドアを開けて出てきた。


機械のスイッチを入れる。

ガタンガタンと大きな音を立てながら、上から鋼鉄の分厚い板が降りて来る。


「や、やめろー」

ディーラーたちが慌てて機械を止めようとするが、行かせない。


カン、ミヤ、シキミの手にはいつの間にか銃が握られていた。


ディーラーたちは、自分たちの置かれている状況を、今やっとはっきりと理解することができた。


車を潰すのが目的ではない。

標的は俺たちだ。


すぐに1人が逃げ出そうとする。

ミヤがその背中に向かって発砲した。


男はゆっくりと前に倒れ、ピクリとも動かなくなった。


それを見ていた男は、もう動くこともできなくなっていた。


「な、なんで…なんで俺たちが…」


信じられないことに、自分たちがやってきたことの自覚や罪悪感がないようだ。


機械に2台目の車を入れ、またスイッチを入れる。

さらに3台目…。


それらが無残に潰されていく様子をボーっと見ながら、男は座り込んだ。

もう一人はまだ意識が戻らない。


「こいつらはさ、人殺しの車なんだよ。

知らなかったわけないじゃん」

ミヤが男に向かって、吐き捨てるように言う。


「何の罪もない人を傷つけるんだから、それなりの覚悟はあったろ」

カンが言い、男の眉間に弾を放った。


あと1人、意識が戻らない男にミヤが近づく。

「こいつ、もう死んでるんじゃないの」


首筋の脈を確認する。

「うーん、生きてるね。死んだふりかよ」


そう言うと、ミヤが男の腹を蹴った。

男はウッと呻いてめを開ける。


「死んだぶりして逃げられると思ったんだ。浅はか~」

ミヤはそう言うと、男の腹に向けて3発続けて引き金を引いた。


*****


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