カンとミヤの仕事
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新しい依頼がきた。
シキミが、カンとミヤ2人を組ませようと言って、タニに説明をさせる。
念の為、シキミがオブザーバーとして見守ることにする。
タニが、
「いや、2人はもう経験者だから見守りって必要か?」
と呆れ顔で言う。
「念のためだ、念のため」
シキミはきっと自分が仕込んだので見届けたいのだろう。
(コウの過保護がうつったな)
タニがため息を吐いた。
タニが2人に説明を始めた。
「ターゲットはこいつら、3人。
車のディーラーをやっているが、事故車や整備不良の車を平気で売りさばいている。
見た目はレアなクラッシックカーなんかを扱っているが、購入しても故障続きでアフターケアもなし、部品もなし、すぐに廃車になるような状態で、買った者は泣き寝入りだ。
で、当然事故が起きた。
先日車を購入した男性が、ブレーキが利かずに他の車を巻き込むまいと急ハンドルをきって、ガードレールを突き破った。
その先は大きな川だ。
すぐにレスキューが来たが間に合わず、男性は死亡した」
「そんなディーラー、もともと悪評が立ってたんじゃないんですかね」
ミヤが言う。
「ああ、その通りだ。
しかし、男性は3人のうちの1人と同級生だったんだ。
そのよしみで車を購入。
売る時は、『これは他のとは違う。整備士がきっちり整備しているから大丈夫だ』と言っていたと、恋人が証言している」
「同級生を騙してまで…ひどい奴らだな」
カンも言葉を荒げる。
「まったくだ。で、その恋人と男性の両親の依頼だ。
きっとまた同じような事故が起こる。その前に排除しないとな」
タニが言い、
「やり方は任せる。思いっきりやって来い」
2人は力強く頷き、打ち合わせをすべく席を立った。
シキミがついて行こうとするので、タニが止めた。
「見守るだけなんだろ、口を出すなよ」
「出さねぇよ」
シキミが渋々戻ってきた。
カンとミヤはそれを見て、苦笑しながら部屋を出て行った。
2人はリクとナツの並びの部屋を1つずつ使っている。
ミヤがカンの部屋へ行き、打ち合わせを始めた。
「なあ、3人が揃ってる時にそのディーラーの店に行けば、簡単だよな」
ミヤが言う。
「ああ、それにさ、車もお釈迦にしちまった方がいいと思うんだよな」
カンが言うと、
「それな」
ミヤも同意した。
「人を殺るのはいいとして、車はどうやる?
火をつけると周りに迷惑だよな」
「だな。潰すか、何台くらいあるんだろうな。
廃車屋まで運転して行くとして、何人必要か調べるわ」
ということで、翌日カンが現地を確認しに行った。
さすがに最近は売れていないのか、車は3台ほどしか並んでおらず、閑古鳥が鳴いている様子だ。
会社に戻り、ミヤに伝える。
「もう1人はシキミさんに頼もうか」
シキミにこの計画を話すと、大喜びで手伝うと言ってきた。
当日、日が暮れてから、ミヤとカン、それにシキミの3人でディーラーの店に行った。
奴らは3人とも揃っており、シキミたちを客と思って笑顔で出迎えた。
シキミたちは車を見ながら、試運転をさせてもらうよう話を持っていく。
当然ディーラー3人組はほくほくで「どうぞどうぞ」とドアを開ける。
シキミたちは、
「俺はこれがいい」
「俺はこれだな」
「じゃ、しょうがない、俺はこっちにするか」
といいながら、1台ずつ選んで乗り込む。
ディーラーたちは慌てて、それぞれが助手席に乗り込み、説明を始めようとする。
「説明はいらないかな」
カンは言い、キーを回す。
ギアをいきなりトップに入れ、タイヤを軋ませながら急発進する。
「あー、そんな乱暴に扱われては…」と焦るディーラーを尻目に、
ミヤとシキミも後を追う。
「どうせどっか故障してんだろ、今更乱暴もないもんだ」
カンが言う。
「お、お前たち…客じゃないのか…」
やっと気づいたディーラーが、慌ててシートベルトを締めようとするが、右へ左へカーブの度に90度に曲がる車に、シートに座っていることができず、必死で掴むところを探している。
「どこへ行くつもりだ」
必死で言葉を絞り出し、ディーラーが聞く。
「しゃべると舌を噛むよ」
楽しそうにカンが言うと、ディーラーは黙りこんだ。
20分程走ると、廃車置き場に到着した。
カンが急ブレーキをかけて停まると、ディーラーの体がフロントガラスに突っ込んだ。
ディーラーはそのまま気を失う。
続けて到着したミヤとシキミも、キーーーっと音を立てて車を停車させた。
そちらの方のディーラーは、ドアを開けるなり嘔吐したり、ヘッドレストに頭をつけて目を瞑ったりしている。
相当参っている様子だ。
「よしよし」
カンとミヤが、1つの機械に近づき、電源を入れる。
ブーンという音が鳴り始め、機械が準備を始める。
「これから行くか」
カンが言い、フロントガラスに頭を突っ込んでいる男を外に放り出し、再び運転席に乗り込む。
そして機械の中に車ごと入ると、ドアを開けて出てきた。
機械のスイッチを入れる。
ガタンガタンと大きな音を立てながら、上から鋼鉄の分厚い板が降りて来る。
「や、やめろー」
ディーラーたちが慌てて機械を止めようとするが、行かせない。
カン、ミヤ、シキミの手にはいつの間にか銃が握られていた。
ディーラーたちは、自分たちの置かれている状況を、今やっとはっきりと理解することができた。
車を潰すのが目的ではない。
標的は俺たちだ。
すぐに1人が逃げ出そうとする。
ミヤがその背中に向かって発砲した。
男はゆっくりと前に倒れ、ピクリとも動かなくなった。
それを見ていた男は、もう動くこともできなくなっていた。
「な、なんで…なんで俺たちが…」
信じられないことに、自分たちがやってきたことの自覚や罪悪感がないようだ。
機械に2台目の車を入れ、またスイッチを入れる。
さらに3台目…。
それらが無残に潰されていく様子をボーっと見ながら、男は座り込んだ。
もう一人はまだ意識が戻らない。
「こいつらはさ、人殺しの車なんだよ。
知らなかったわけないじゃん」
ミヤが男に向かって、吐き捨てるように言う。
「何の罪もない人を傷つけるんだから、それなりの覚悟はあったろ」
カンが言い、男の眉間に弾を放った。
あと1人、意識が戻らない男にミヤが近づく。
「こいつ、もう死んでるんじゃないの」
首筋の脈を確認する。
「うーん、生きてるね。死んだふりかよ」
そう言うと、ミヤが男の腹を蹴った。
男はウッと呻いてめを開ける。
「死んだぶりして逃げられると思ったんだ。浅はか~」
ミヤはそう言うと、男の腹に向けて3発続けて引き金を引いた。
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