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偽札工場にて

*****



大きい工場だった。

こんなところで堂々と偽札を製造していて、よく見つからないもんだ。

コウはそう考えていた。


打ち合わせの翌日、コウは1人で下見に来ていた。

遠目に工場を見ながら1周する。


出入り口は表に大きいシャッターがあり、その横に通常の出入り口がある。

そして裏の方にも1つドアがあった。


窓は上の方にしかなく、中を覗くことはできない。

しばらくぶらぶらしていると、大きなトラックが敷地内へ入って行くのが見えた。

10トンはありそうな大きさだ。


そんなに運ぶのか。

コウはそのスケールの大きさにぞっとした。


おそらく暗くなってから運び入れるのだろう。

運転手はそこで時間まで待つのだろうか。降りてこない。


今日運び出す前にやってしまいたいな。

コウはそう考え、近くで見張っているレイに連絡をとった。


レイは、

「幹部らしき奴らは、今中に4人います」


「4人か、あと1人…どうせなら待ちたいが…

しかし、このトラック1台分の偽札が運び出されるとなると…」

コウは考え、タニに連絡した。


タニはそれを聞くと、

「やった方がいいな」と言った。

「俺がみんなに連絡する。コウも準備しろ」


それを聞いて、コウはレイにそのまま見張りを続けるよう言い、会社に戻った。



会社では皆が準備を終えて待っていた。

コウも銃と防弾チョッキを身につける。


「行こうか」

コウが言い、バン3台で出発した。


車を停め、工場を見る。

レイが来て、変化なし、と告げる。


コウが、シキミにトラックの運転手を眠らせるよう頼む。


任せろ、とばかりにトラックに近づき、運転手に何か話しかけている。

運転手が車を降りて、前輪のタイヤを見に行っている。

そこでシキミが後ろから腕を回し、運転手の首を締め上げる。

5秒で運転手が気を失った。


「じゃ、あとは計画通りに」と言い、

まずザビが表と裏の鍵を開けに行く。


ザビが合図をする。

表から1班、裏から2班と3班が入る。

みんなで時計を合わせ、20時ちょうどに突入する。


表から入った1班は、シキミを先頭に、全員が中に滑り込む。

全体を見回すと、倉庫のように広々として、中は全く区切られていない。

ただ、裏口に近いところに階段があり、2階の部屋へ入れるようになっている。


警備は入口にはいなかった。

機械の影に隠れながら、少しずつ進む。


外側の壁に沿って進んでいくと、中心に近い方に、警備らしい者の頭が見えた。

こちらを背にしている。


シキミは理解した。

警備は外からの侵入者を警戒しているのではない。

中で働いている者を監視しているのだ。


なるほど、やはり技術者を脅して連れて来ていたのか。


シキミは後ろの仲間に合図した。

皆が少しずつ広がる。


シキミが右手を上げ、振り下ろすと同時に、一斉に立ち上がり警備の者たちに向かって発砲した。


リクが、ナツが、そしてイサ、セリ、カンが一斉に両手に銃を構え、確実に警備の者だけを狙って撃っていく。


急襲をくらった警備の者たちも、すぐに銃を構え応戦してきた。

皆、機械を盾にして撃っていく。



裏口から入ったクロたちも、入口付近に警備の者たちがいないことに気づいた。

少しずつ頭を上げ、奥の方を見回すと、警備は中に向かって立っている。


続いて入って来たコウたちも、シキミと同じように、中で働く者たちを監視していることに気付いた。


クロは2階に続く階段を見つけ、その上に部屋があり、おそらく幹部たちはそこにいるだろうと当たりをつけた。


クロはコウに、2階に行くと合図を送る。

コウが頷く。


その時、シキミたちの発砲が始まった。


コウ、ザビ、ミヤは機械を操作している者たちが、驚き、頭を抱えて蹲っているのを確認した。


コウがその中の1人に近づき、

「あなた方は偽札を製造していましたね」と聞くと、

「無理矢理です! 無理矢理連れて来られて…」と、この状況についていけず、年配の男が泣きそうになっている。


「わかりました、逃がします。

あの人たちについて外に出てください。他に何人いますか?」


コウがザビとミヤを指さしながら聞く。

「他に8人です」


ザビがこっちこっち、と手招きする。


コウとミヤで、銃撃に巻き込まれないよう、身を低くして、他の機械の影に隠れている人達に声をかけていく。


シキミたちは関係ない人間に当たらないよう気を付けているが、警備の方は誰かれ関係なく撃ちまくっているように見える。


全員を外に出すのと、シキミたちが警備を制圧するのとほぼ同時だった。


あとは2階へ上がったクロたちがどうなっているのか…。



クロとアガタ、タマキ、イオリの4人は階下の銃撃戦を見下ろしながら、2階に上がっていった。

さすがに2階の部屋にいた者たちも銃声に気付き、ドアを開けて見に出てきた。


クロはすぐにその1人を撃った。

ドアの中を覗くと、スーツを着た男たちが3人、ソファから立ち上がり、銃をこちらに構えて待っていた。


男たちが一斉に撃ってきた。

クロはドアの影に隠れてやり過ごすと、手だけ出して銃を撃つ。


するとアガタが、ひょいとドアの中に入り、続けざまに2人を撃ち倒した。

残った1人が両手を上げ、降参の意思を示した。


アガタはニヤリと笑い、銃を持った腕を降ろす。

と、相手がすぐさま銃を撃とうとした。が、遅かった。

クロが後ろから男の眉間を撃ち抜いた。

「バーカ」とアガタが言う。


タマキとイオリは、というと、階段の途中で立ち止まり、上から下の警備の者たちに応戦していた。


機械を回していた技術者たちは、やはり皆脅されて連れて来られていた。

2週間ほど監禁状態だったという。


中を片付けてから警察を呼ぶので、あと少しだけ我慢してもらうよう頼み、その場にザビとミヤを残して、残りの者は中へ戻っていった。


警備の者たちが、「うー」やら「ぐー」やら「あー」やらと唸っている。

そう、警備の者たちは殺さなかったのだ。


コウとシキミは、やはり『皆殺し』というのが、

「あまりにも乱暴だよな」ということで意見が一致し、組織の幹部だけを殺ることに決めていた。


みんなで警備の者たちの両手、両足を結束バンドで拘束していった。


幹部があと1人殺れなかったことは残念だったが、工場の隅に積み上げられた偽札の山を見ると、

まあ、これでよしとしよう、ということになった。


アガタが、少しくらい盗ってもわかんねぇよな、というのを、誰も聞かなかったことにした。

まだ慣れていない、カンとミヤだけは、ギョッとした顔をしていた。



最後に警察に連絡し、技術者たちを残してコウたちは去った。



*****


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