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偽札

*****


久しぶりに大きな仕事が舞い込んできた。


タニが、依頼内容をコウとシキミに説明する。

「偽札を製造してる組織を壊滅させたいんだと」


「壊滅? 皆殺しってこと?」

コウが聞く。


「ああ、そういうことだ」

タニが頷く。


「なんか、乱暴じゃないか」

シキミが言う。


コウもシキミを見て、なあ、と頷く。


「だよな。ただまだ全容が見えてないんだ」

タニが渋い顔をして言う。


「偽札を製造している組織があるってことははっきりしている。

そしてそれが既に出回っていることもな。

日本に、じゃない。海外だ。日本円がな」


「それは大変だ」

なんとなく他人事のようにシキミが言う。

実際他人事だと思っている。


「それ警察の仕事だよね」

コウが当然のように言う。


「ああ、その通りだ。

だが…」


タニが言い終わる前に、コウが

「ああ、また証拠か」

と呆れたように言う。


「です」タニも呆れている。


「まあ、もっと具体的な話になってきたらみんなを集めるんで、2人は含んどいて」

タニが言い、コウとシキミは部屋を出た。


「また総動員かな」

シキミが言い、コウが頷く。


「新人の腕試しにちょうどいいんじゃないか」

コウが言うと、


「ああ、俺も考えてた」

シキミが答え、2人はそれぞれの部屋へ戻っていった。



*****



コウが部屋に戻ると、リクが来た。

最近、お互い忙しいので、一緒にいる時間が減っており、暇なときはこうやって覗きに来る。


「タニさんと話してたんですか」

リクが聞いてきた。


「ああ、今度大きい仕事がありそうだ。総動員だな」

コウが答える。


リクはソファに座り、少し嬉しそうに言った。

「コウさんと仕事ができますね」


まったく、なんてかわいい奴だ。

コウはリクを見て、微笑む。


「そうだな、どのくらい腕が上がったか確認できる」

コウが言うと、


「あー、訓練しとかないと」

リクが焦った顔で苦笑する。


コウはリクに近づくと、前髪を横に流した。

「髪、邪魔じゃないか」


「あ、前髪が伸びてきたかもですね。気にはなりませんけど…切った方がいいですか」

リクが自分の前髪を触りながら聞く。


「邪魔じゃないならいいよ。その方が俺も触りやすい」

笑いながらコウが言うと、


「じゃあ、このままにしときます」と嬉しそうにリクが答え、そのあと少し目を伏せて続ける。


「この前の仕事でナツが、ターゲットが気持ち悪かったって言うんです。

悪徳弁護士で、ナツを見た途端目の色が変わったって…。


ナツはまだ囚われてるんです。

俺よりもっとひどい目に遭ってきたんだって考えると、胸が苦しくなります。

どうにかしてあげたいけど、俺は何もしてあげられない」


リクは寂しそうにそう話す。


「リクよりひどい目に遭ったってことはないさ。

どっちもひどい目に遭ってきた。


ナツには時間が必要なんだよ。リクが自分を責めることはない。

ナツにはリクがいる。ナツにとってはそれ以上のことはないんだから」


コウがそう言うと、リクは少し顔を上げた。

「俺は、俺にとってのコウさんになってあげたい」


「もうなってるさ」

コウはリクの髪をもう一度撫で、しばらく指で弄んだ。



*****



タニから招集がかかったのは、それから数日後だった。


現在、この会社に所属するほとんどが集まった。

殺し屋12人、後衛部隊5人。


コウが言う。

「え、こんなに必要?」


タニが答える。

「俺にはわからん。とりあえず来れる者は来い、と招集をかけた」


「とりあえず説明する。

偽札製造の現場を押さえ、そこにいる者たちを殲滅する。

ただし、機械を回しているのが悪党とは限らんからな。そこは見て判断してほしい。


工場の場所はわかっている。

ただし出入りが厳重なんで、そこはザビの出番だな」


ザビが「オッケー」と親指を立てる。


タニが続ける。

「調べでは、警備が20人はいるはずだ。

その他に組織の幹部が数名、後は機械を回している者が10名程。


警備と幹部は全員殺っていい。

後は堅気かもしれんし、そうではないかもしれん。

コウが判断してくれ」


「わかった。

その機械を回してる奴らはどうやって集められたんだ?

誰もができるわけじゃないんだろ」

コウが尋ねる。


「うん、そうなんだがな、わからないんだ。

ただ、これは俺の考えだが、日銀関係のOBが連れていかれてんじゃないだろうか」

タニが言う。


「考えられるな。

だとしたら絶対に傷つけられないな…」

コウが呟く。


「あとは現場に任せる。

俺とユゲ、オキ、レイは待機だ」


「じゃ、打ち合わせをするか」

コウが言い、皆が大きなテーブルを囲んで円になる。


「3班に分かれよう。

1班はシキミが仕切る。主に警備の殲滅。

2班はクロ、主に組織の幹部。

3班は俺、機械を回してる奴や他に巻き込まれてる奴らがいれば逃がす。


警備と幹部が同じ場所にいるようなら、1班と2班の区別はない。

それ以外の者を傷つけないようにしてくれ。


ただし、その中にも悪党はいるかもしれないからな、向かってくるようなら容赦はするな。

質問は?」


誰もが流れるようなコウの采配に呆然としている。


「質問がなければ、班分けだな。

1班が多い方がいいな。リク、ナツ、イサ、セリ、カン

2班は、アガタ、タマキ、イオリ

3班は、ザビ、ミヤ

どうかな」

コウがとりあえず分けてみる。


「いいんじゃないか」

シキミが言う。


「じゃ、決行日はタニと相談する。

いつでも行けるように、銃と弾の確認、それと防弾チョッキを忘れないように準備しといて」

コウが言うと、皆がそれぞれ返事をして解散となった。


コウは残り、タニと日程の相談をする。

できるだけ幹部が多い時の方が良い。


「レイに張り込ませていたが、幹部らしい奴らは上限で5人らしい」

タニが言うと、


「じゃあ、そいつらが集まった日だな」

コウが決めた。


その日は3日後に到来した。


*****


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