偽札
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久しぶりに大きな仕事が舞い込んできた。
タニが、依頼内容をコウとシキミに説明する。
「偽札を製造してる組織を壊滅させたいんだと」
「壊滅? 皆殺しってこと?」
コウが聞く。
「ああ、そういうことだ」
タニが頷く。
「なんか、乱暴じゃないか」
シキミが言う。
コウもシキミを見て、なあ、と頷く。
「だよな。ただまだ全容が見えてないんだ」
タニが渋い顔をして言う。
「偽札を製造している組織があるってことははっきりしている。
そしてそれが既に出回っていることもな。
日本に、じゃない。海外だ。日本円がな」
「それは大変だ」
なんとなく他人事のようにシキミが言う。
実際他人事だと思っている。
「それ警察の仕事だよね」
コウが当然のように言う。
「ああ、その通りだ。
だが…」
タニが言い終わる前に、コウが
「ああ、また証拠か」
と呆れたように言う。
「です」タニも呆れている。
「まあ、もっと具体的な話になってきたらみんなを集めるんで、2人は含んどいて」
タニが言い、コウとシキミは部屋を出た。
「また総動員かな」
シキミが言い、コウが頷く。
「新人の腕試しにちょうどいいんじゃないか」
コウが言うと、
「ああ、俺も考えてた」
シキミが答え、2人はそれぞれの部屋へ戻っていった。
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コウが部屋に戻ると、リクが来た。
最近、お互い忙しいので、一緒にいる時間が減っており、暇なときはこうやって覗きに来る。
「タニさんと話してたんですか」
リクが聞いてきた。
「ああ、今度大きい仕事がありそうだ。総動員だな」
コウが答える。
リクはソファに座り、少し嬉しそうに言った。
「コウさんと仕事ができますね」
まったく、なんてかわいい奴だ。
コウはリクを見て、微笑む。
「そうだな、どのくらい腕が上がったか確認できる」
コウが言うと、
「あー、訓練しとかないと」
リクが焦った顔で苦笑する。
コウはリクに近づくと、前髪を横に流した。
「髪、邪魔じゃないか」
「あ、前髪が伸びてきたかもですね。気にはなりませんけど…切った方がいいですか」
リクが自分の前髪を触りながら聞く。
「邪魔じゃないならいいよ。その方が俺も触りやすい」
笑いながらコウが言うと、
「じゃあ、このままにしときます」と嬉しそうにリクが答え、そのあと少し目を伏せて続ける。
「この前の仕事でナツが、ターゲットが気持ち悪かったって言うんです。
悪徳弁護士で、ナツを見た途端目の色が変わったって…。
ナツはまだ囚われてるんです。
俺よりもっとひどい目に遭ってきたんだって考えると、胸が苦しくなります。
どうにかしてあげたいけど、俺は何もしてあげられない」
リクは寂しそうにそう話す。
「リクよりひどい目に遭ったってことはないさ。
どっちもひどい目に遭ってきた。
ナツには時間が必要なんだよ。リクが自分を責めることはない。
ナツにはリクがいる。ナツにとってはそれ以上のことはないんだから」
コウがそう言うと、リクは少し顔を上げた。
「俺は、俺にとってのコウさんになってあげたい」
「もうなってるさ」
コウはリクの髪をもう一度撫で、しばらく指で弄んだ。
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タニから招集がかかったのは、それから数日後だった。
現在、この会社に所属するほとんどが集まった。
殺し屋12人、後衛部隊5人。
コウが言う。
「え、こんなに必要?」
タニが答える。
「俺にはわからん。とりあえず来れる者は来い、と招集をかけた」
「とりあえず説明する。
偽札製造の現場を押さえ、そこにいる者たちを殲滅する。
ただし、機械を回しているのが悪党とは限らんからな。そこは見て判断してほしい。
工場の場所はわかっている。
ただし出入りが厳重なんで、そこはザビの出番だな」
ザビが「オッケー」と親指を立てる。
タニが続ける。
「調べでは、警備が20人はいるはずだ。
その他に組織の幹部が数名、後は機械を回している者が10名程。
警備と幹部は全員殺っていい。
後は堅気かもしれんし、そうではないかもしれん。
コウが判断してくれ」
「わかった。
その機械を回してる奴らはどうやって集められたんだ?
誰もができるわけじゃないんだろ」
コウが尋ねる。
「うん、そうなんだがな、わからないんだ。
ただ、これは俺の考えだが、日銀関係のOBが連れていかれてんじゃないだろうか」
タニが言う。
「考えられるな。
だとしたら絶対に傷つけられないな…」
コウが呟く。
「あとは現場に任せる。
俺とユゲ、オキ、レイは待機だ」
「じゃ、打ち合わせをするか」
コウが言い、皆が大きなテーブルを囲んで円になる。
「3班に分かれよう。
1班はシキミが仕切る。主に警備の殲滅。
2班はクロ、主に組織の幹部。
3班は俺、機械を回してる奴や他に巻き込まれてる奴らがいれば逃がす。
警備と幹部が同じ場所にいるようなら、1班と2班の区別はない。
それ以外の者を傷つけないようにしてくれ。
ただし、その中にも悪党はいるかもしれないからな、向かってくるようなら容赦はするな。
質問は?」
誰もが流れるようなコウの采配に呆然としている。
「質問がなければ、班分けだな。
1班が多い方がいいな。リク、ナツ、イサ、セリ、カン
2班は、アガタ、タマキ、イオリ
3班は、ザビ、ミヤ
どうかな」
コウがとりあえず分けてみる。
「いいんじゃないか」
シキミが言う。
「じゃ、決行日はタニと相談する。
いつでも行けるように、銃と弾の確認、それと防弾チョッキを忘れないように準備しといて」
コウが言うと、皆がそれぞれ返事をして解散となった。
コウは残り、タニと日程の相談をする。
できるだけ幹部が多い時の方が良い。
「レイに張り込ませていたが、幹部らしい奴らは上限で5人らしい」
タニが言うと、
「じゃあ、そいつらが集まった日だな」
コウが決めた。
その日は3日後に到来した。
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